インタビュー
改行がうまくいかず、読みづらい部分があると思います。申し訳ないです。
インタビュー
―――では、先生はなぜ小説家になろうと?
(A)あぁ、私なんかはね、もう見えてくるんですよ。いろいろなものが。えぇ。
―――見えてくる、というとストーリーがですか?
(A)まぁそうだね。眼を閉じると自然に浮かんで来るんだよ。
そうだな、頭の中で上映された映画を、そのまま文章にしているという感じかな。特別なことは何もない。
―――それは素晴らしいことだと思います。では、小説家を志す若き作家の卵たちへ、何か一言いただけますか?
(A)うーん・・・といってもさっきの通り、勝手に思い浮かんでくる映像を書き起こしているだけだからねぇ。 まぁ、沢山本を読んで、想像力を養ってくれたまえ。といったところかな。
―――基本的なことが、その素晴らしい才能に繋がっていくということですね。
(A)まぁ、そういうことにしておこう。
―――全ての作品が、そのような過程をもって書かれているのですか
(A)え、あぁ。
―――それらは本当にあなたの脳内で「上映された映画」のようなものを書き起こしたものですか?
(A)・・・そうだと言っているだろう。
―――次回作のインタビューでもそのようにお答えになりますか
(A)何をさっきから言っているんだ!失礼じゃないか?
―――何人もの売れない作家の卵たちが涙しているのです。あなたにストーリーを奪われ、夢を壊された新星たちが。
(A)馬鹿なことを言うな!あれは私がすべて・・・
―――ゴーストライターに書かせたものでしょう!
こう問い詰めるとA氏はうな垂れ、真実を語ってくれた。
かつてはベストセラーを何本も排出したA氏。
だがそれらは全てゴーストライターに書かせたものだということが今回のインタビューで明らかになった。
近年、めっきり名前を聞かなくなったのは、ゴーストライターたちに愛想を尽かされてしまったからか。
私は今後も、知られざる作家たちの真実を暴いていく。
次回は、20年前に1冊のベストセラーを出版するも、ここ数年全く姿を見せなくなったK氏の実態に迫る。
(インタビュー:F坂)
【A氏の過去の作品はP105を参照!ぜひ御一読を。】
「いやーF坂さん!今回もすごい記事でしたね。まさかあのA氏が・・・。社内でも評判ですよ!毎回暴露記事を上げるなんてすごいです!」
「あぁ、いやあれね。君は信頼の置ける部下だから言うけど、あれは全部嘘だから。」
「え、どういうことですか。」
「A氏みたいな過去の作家、今じゃ全く本が売れないんだ。そこでこういうデマを流して少しでも話題づくりをするのさ。人間は卑しい生き物だから、他人の汚点が大好物。A氏は一時的ではあるがまた小説が売れるというわけさ。」
「・・・で、でもあの記事の運び方はすごいですね。」
「あぁ、あれは・・・」
(記者B) 上司はそこで、にやりと笑って言ったんです。
『頭のなかで上映されるインタビューというプログラムを、ただ書き起こしているだけなんだよ』って!
――それは、F坂氏もゴーストを使用していたと?
(記者B)おそらくそうだと思います。いやー記者として尊敬していたのでショックは大きかったですよ。ああはなりたくないですね。
―――ご協力ありがとうございました。
「△△ 春号」『新人記者が暴露!売れっ子記者の衝撃の実態』より抜粋
読んで下さってありがとうございました。