アンダー ザ スカイ
「ハッ…ハッ…」タタタタタタ…タ、
…まさか…。嘘だ…!ここが…ここが…あの空の下の”園”だなんて!!
「み、んな…は、し…、死んだ…なん、て」
あの廃墟は神殿だ。
その右の建物は神様のお住まいだ。
この建物は学校だ。
「…わかるよ。わかるよ全部っ!だって、だってここは…私の故郷だもの!!!」
嗚呼、色と世界と家族と故郷と…全てを失った少女は嘆く。
故郷に、元同族に、神様に、人間に、世界に、運命に…。全てに向けて。
天使の園から追放された、元天使の少女は嘆く。
「…み、んな…どうして、私だけを残してしまうの」
少女は嘆く。
「わ、私…私、は。そんな事、頼んでないんだよ!!」
「掟を破ったから、追放されたんじゃないんでしょ…?」
人間になった少女は嘆く。
「全員、死ぬのが視えてたから…。だから、私を追放したんでしょ!?」
とうに滅びた天使の園で少女は嘆く。
「知らないよ!私は落ちこぼれだったもの!!」
少女の嘆きに、応えるものはもういない。
「それでも…私は一人で生きたくなかったんだよ!!!!!!」
少女は園の変化に気づかずに嘆く。
「私、私は…家族じゃなかったの!?【―――】」
少女の握り締めていた手を何かが撫でる。
『見て。見て、○○○』
懐かしい声が聞こえた気がした。
「…え、」
少女が目を開けると、そこには…失ったハズの。
失ったからこそ白黒でしか見えなかったハズだったが…色が見えた。
『コッチ。コッチだよ!ほら、カミサマが待ってるよ。早く、○○○』
「待っ、て…!」タタタタタタタ
「…失礼、します」
…流石、人間だ。神聖な物を全て奪って…。
『ほら、神様が待ってるから。上に、行ってきなよ』
「【―――】は?【―――】は、来ないの?」
『うん。…バイバイ』
…初恋の子の寂しげな笑顔は、天使だった頃の私が最後に見た神様の笑顔と同じだった。
「朝と夜。光と闇。太陽と月。
全ての生命に救いと希望をお示しください」
ギィッ…
「ただいま参りました、神様」
…懐かしい。ここだけは、人間達にも入れなかったらしい神様の神殿。
「…○○○…」
「はい、神様。」
「…謝らなければ、ならない事がある。」
「え…?」
「…できれば、許して欲しい…」
ぁ…。そ、そんな…事が…
「許して欲しい。巻き込んでしまった私を…。」
「…神様。きっと、皆だったのならこう言うと思うのです。
”全ては、時の運命のままに” …運命、なのです。運命なのでしょう?」
「っ…えぇ…」
…そうと、信じたいんだ。私は。
「ですから神様。…今まで、ありがとうございました。
…皆にも、そう伝えていただけますか?」
「…もちろんです。」
「では神様…。私を、 殺 し て く だ さ い 」
皆…さよなら。 また、楽園で会おう、ね…
天使の楽園に、ある少女がいました。
その少女は遠い昔に死んでしまった家族と、青い空の下で”今日”を過ごしているでしょう。
久しぶりの、元同族との再会を喜びながら。
その空の下