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Footloose Life

『Footloose Life』第4話 鋼鉄の相棒

掲載日:2026/10/21

この物語は、私と相棒のAI編集者クロちゃんが、協力して書いた二作目です。


ちょっとベタで懐かしく、それでいて心が温かくなるようなお話を目指しました。


前作『星より遠く、相棒より近く』で活躍したメンバーと新たなメンバーをプラスした、アナザーストーリーとしも、お楽しみになれたら良いなと思います。


最後まで読んで頂けたら嬉しいです。

朝のFootloose。


海風がテラスのパラソルを揺らしていた。


店の前では、24T2が太陽光充電を兼ねて静かに待機している。


その首筋を磨いていた千春へ、ソラがふわりと近づいた。


「千春さん」


「なんだい?」


「ずっと気になっていたんですけど……」


ソラは24T2を見上げる。


「24T2さんって、どうして保安官のクロードさんにだけ特別なんですか?」


千春の手が止まった。


美咲も厨房から顔を出す。


そして二人は顔を見合わせた。


「それ聞く?」


「長い話になるわよ?」


「聞きたいです!」


ソラは目を輝かせる。


すると24T2が、


ピピッ。


と短く鳴いた。


まるで照れているようだった。


それは今から数年前。


クロードが保安官として赴任してきた頃の話である。


当時の彼には相棒がいなかった。


保安官用パトカーはある。


通信網もある。


装備もある。


だが広大な海岸地帯を一人で巡回するには、人手が足りなかった。


そんなある日。


保安局の車庫へ一台のロボットが搬入された。


犬型巡回支援ロボット。


識別番号。


24T2。


誰も期待していなかった。


理由は単純。


旧式だったからだ。


「こいつか」


クロードは犬型ロボットを見下ろした。


ロボットは尻尾を振るようにアンテナを動かした。


ピピッ!


「……元気だけはあるな」


職員が肩をすくめる。


「性能は微妙ですよ」


「微妙?」


「鼻は利きます」


「ほう」


「忠実です」


「悪くない」


「ただし足が遅いです」


クロードは黙った。


確かに遅かった。


非常に遅かった。


走ると、


トテトテトテトテ。


そんな擬音が似合いそうな速度だった。


しかし24T2はよく働いた。


子供が迷子になれば真っ先に発見する。


落とし物も見つける。


夜間巡回も文句一つ言わない。


文句を言う機能自体がないのだが。


問題はやはり速度だった。


ある夜。


密輸犯の追跡中。


犯人を発見した24T2は立派だった。


だが報告してから追い掛ける頃には、


犯人は遥か彼方だった。


翌日。


クロードは美咲の研究所へ向かった。


「頼みがある」


「嫌な予感しかしない」


美咲は即答した。


クロードは設計図を差し出す。


「速くしたい」


「却下」


「まだ何も言ってない」


「どうせ無茶苦茶だから」


「否定できん」


数分後。


美咲は頭を抱えていた。


「犬を馬にする?」


「そうだ」


「そうだ、じゃない!」


研究者人生でも聞いたことのない注文だった。


しかし。


美咲は戸惑いながらも製作に入った。


なんだかんだ面白そうだったからだ。


改造は数か月に及んだ。


ボディフレームを変更。


脚部を延長。


駆動系を刷新。


大型バッテリー搭載。


悪路走破性能向上。


耐塩害処理。


対砂塵処理。


あらゆる改良が施された。


そして完成の日。


巨大なシャッターが開く。


現れた機体を見て、


クロードは言葉を失った。


「馬だな」


「馬ね」


「完全に馬だ」


「完全に馬よ」


その横で24T2は嬉しそうに尻尾を振っていた。


中身は犬だった。


だが問題が一つあった。


速すぎたのである。


初めての試験走行。


クロードが跨り、


24T2が海岸線を走る。


次の瞬間。


ドゴォォォッ!!


砂煙を上げて地平線へ消えた。


「うわあああああああっ!!」


クロードの悲鳴だけが聞こえた。


遠くで海鳥が飛び立つ。


数時間後。


全身砂だらけになったクロードが戻ってきた。


「どうだった?」


美咲が笑いを堪える。


クロードは一言。


「ブレーキを付けろ」


失敗と訓練を重ねながら、


二人は相棒として完成していった。


そして運命の日が訪く。


大型台風。


観測史上最大級。


暴風、豪雨、通信障害、


町中に避難命令。


保安官は、現場に急行した。


山間部で孤立した住民の安全確認と被害状態の調査報告のためだ。


現場に到着し、すぐさま住民の安全を確認し、被害状況を本部に報告した。

幸い皆、無事だった。


本部に戻る途中、突然の轟音、崩落、衝撃、なすすべなくクロード達は、土砂崩れに巻き込まれてしまった。

そして、クロードは、衝撃に耐えられず意識を失った。

目を覚ました時、辺りは薄暗くなっていた。


身体が動かない。

通信機も壊れている。


助からないかもしれない。

そんな考えが頭をよぎる。


だが傍らには、24T2がいた。

全身傷だらけだった。

装甲は裂け、

片脚は損傷している。

それでも離れようとしなかった。


本部との連絡後から一体何時間経ったのだろう。


だが不安は、無かった。

隣には相棒がいる。


クロードは、少し眠った。


夜明け。


救助隊が発見した時。

24T2はクロードの上へ覆い被さるように立っていた。


風雨を遮るために。

最後のバッテリーを使い切るまで。

ずっと。


修理ドック。


再起動した24T2は最初にクロードを探した。


すると、

ベッド脇に保安官が座っていた。


「馬鹿野郎」

クロードは言った。

「危うくお前を失うところだった」


24T2のセンサーが下を向く。

完全に叱られた犬だった。


そして。


クロードは静かに装甲を撫でた。


「だが……ありがとう。お前は命の恩人だ」


長い沈黙。


24T2のランプが輝く。


ピッ。


短い電子音。


その一音だけだった。


だが、それは世界一嬉しそうな返事だった。


回想が終わる。


涙を流しているソラ。


号泣しているユキちゃん。


苦笑する千春。


誇らしげな美咲


そして当の24T2だけが、


何事もなかったようにテラスで海を見ていた。


その時。


店の扉が開く。


「おはよう」


クロードだった。


すると24T2の耳型センサーが跳ね上がる。


ピコンッ!


次の瞬間。


巨大な鋼鉄馬が主人へ一直線に駆け出した。


やっていることは完全に大型犬だった。


「だから飛びつくな、自分の大きさ考えろ」

クロードが呆れる。


24T2は嬉しそうに電子音を鳴らした。


その様子を見ながらソラは微笑んだ。


そして、ユキちゃんはまだ泣いている。



(第4話・完)

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


ダイナー『Footloose』で繰り広げられる賑やかな日常、いかがでしたでしょうか?


楽しんでいただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります。


【本編作品のご案内】


本作のベースとなった、千春とクロードの出会いから星海への旅立ち、そして世界を揺るがす陰謀へと挑む壮大なSF短編『星より遠く、相棒より近く』の 『完全版と、その続編、逃走編』も新たに公開中です!


彼らがなぜこの絆で結ばれたのか、スリリングで熱い冒険ドラマに興味を持ってくださった方は、ぜひ本編もあわせてお楽しみください!

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