出撃準備!
館内にアナウンスが鳴り響き、緊急事態を思わせられる。
学校などの避難訓練で非常事態の対処などは練習させられたが、
この基地内で発せられるサイレンは、訓練とは違い、変な緊張感が体をめぐる。
初めてのことで、隊長より声をかけられたのに気づかず、その場で硬直してしまう。
「愁くん!さあ行くぞ!早くついて来い!」
「・・あ・・あぁ・・」
とりあえず言われるがまま早足でついていく。
部屋を出て、右に曲がりまっすぐ。
先ほどと同じように隊長の背中を追っていく。
程なく歩いてドアを開けると先ほどのオペレーター室のような部屋に戻ってきた。
「3番隊 金剛元!到着した!今回の防衛には我々3番隊が出撃する!」
オペレータールームに到着後、開口一番大声で放つ金剛元。
それに慣れているのか、オペレーターたちは動じることなくチェックに入る。
「金剛隊長。3番隊の出撃、承認いたしました。
こちらで捉えた敵戦力については端末に共有してますので見てみてください。」
「わかった。今回はこの子にも戦いを見てもらうつもりだ。
山口副隊長、今宮戎、恵比寿、宮野、山口の俺含めた合計6人で向かう。
皆を集めるよう要請しておいてくれ。」
その言葉の後、オペレーターは頷き、目の前のデスクにて出撃要請を各隊員へ行う。
「要請完了致しましたが、出撃するのがわかっていたのか、みなさんすでに準備室に向かっているようです。」
「さすがだな。私も急ぎ向かう。
君はここで待機!空いている椅子に座ってみていてくれ。
この場所だと空も見えるし大型モニターから戦闘の様子も見えるだろう。
きっと君にも得るものがあるはずだ。」
そう言って部屋を出ていく隊長は輝いて見えた。
やけに男らしく、かっこよかった。
正直、ここにきて何もわからないまま説明されてどうしろってんだとか思ってたが、
自分の中で少しの憧れが見え隠れしている気がした。
(見せてくれよあんたの言う防衛隊。かっこ悪い姿見せんなよ。)
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それから程なくして、金剛隊長が準備室へ到着する。
「あ!待ってましたよ隊長!!私は準備完了です!』
宇宙用の戦闘服を見に纏い、元気に挨拶してくるサラ隊員。
年相応の元気な振る舞いに周りの士気が上がるように感じる。
2年前の1件より防衛隊に入隊してから3番隊には欠かせない存在になっている。
「皆、揃ってるようだな!準備漏れがないように!」
「サラ。いい声量だ。今回の戦い、期待しているぞ!
私も負けてられん。しばし準備運動手伝ってくれ!」
「はい!和美副隊長にそんなこと言われたら・・・私頑張っちゃいます!!!」
副隊長と呼ばれた女性は山口 和美。第3防衛隊副隊長で金剛隊長の右腕である。
腰まで伸びた長い髪の毛を後ろで1本にたばね、誰がみても惚れ惚れする長身の女性。
男気もあり、誰もがついていきたくなるような人物だ。
「姉ちゃん・・・・・かっけぇ・・俺一生ついていきます・・」
「ん。じゃま・・。」
「うわっ!!ごめんよ澪。あまりにも姉ちゃんがかっこ良すぎて涙が出そうなんだ・・・・」
「それ言い訳・・・・・この前みたいに号泣しないでね・・・・」
姉ちゃん”LOVER”こと山口 大和。
ことあるごとにお姉ちゃんについて語り、有志を見守り、お姉ちゃんに近づけるよう背中を追い続けるシスコンである。
お姉ちゃんのカズミと同じく異性から好かれそうなイケメン。
髪の毛がパーマがかっており、目元は隠れないほどの長さで整えている。
ここだけの話、かなり異性からモテるはずなのに、お姉ちゃんが好きすぎて異性相手にもその話ばっかりするのでこう見えて女性関係0である。
口数の少ない少女は恵比寿 澪
肌、髪の毛が白く、生まれて以来アルビノ持ちの少女。
透けるような綺麗な印象を与えられる。
セミロングの髪の毛がさらに可愛らしく映る。
『今日も賑やかで楽しいな〜』
「うわっ!ごめんなさい!また勝手に・・・」
「浩太くん。今日も絶好調そうだな!」
「隊長・・・いつもありがとうございます。」
『そんなんゆわれたら、嬉しすぎて泣きそうです』
「ちょっと!!」
「ガハハハハ。やっぱその口は正直だな!」
手の甲から口がでて別々に話す少年は宮野 浩太。
気弱な性格で、引っ込み思案な本人とはかけ離れて話すのは彼の”オリジン”。
彼のオリジンは他の隊員に比べて特殊で、本音を口に出さなくても勝手に口が体のどこからか現れて喋ってしまう厄介な力だ。
その反面、戦闘モードに入ると凄まじい戦闘力を発揮する。
「聞け!!皆準備でできたか!!!
今回の規模は『メガ』だ。小規模艦隊1隻のみと聞いているがくれぐれも油断しないように。
普段の訓練も含めて宇宙空間での動きには慣れていると思うが、単純なミスが大怪我になる恐れもあるので、
何か危険を察知したら戦闘服についている緊急離脱用のボタンを押して即時基地まで戻るように!」
「「「「「はい!!!」」」」」
隊長以外の皆、威勢の良い声で返事をする。
今回の防衛戦でもいいチームワークを発揮できそうだ。
「今回は先日私が拾ってきた少年がこの戦いを見ることとなっている。
少々難癖のあるやつだが、我々の勇姿を見せつけ、彼に仲間になってもらいたいと考えている。
皆も知っているように覚醒者は自分に傷を抱えている奴も多い。
私もだが防衛隊に入って救われた。
自分だけじゃないと、仲間がそう思わせてくれた。
彼の力になれるように、皆で支えていけるように、
彼に道を示していきたいと思っている。
いくぞ皆!我々のかっこよさ、見せつけてやろぉぜ!」
「「「「「はい!!!」」」」」
6人気持ち一丸となったところで、通信機から連絡が入る。
『佐藤だ。出撃用リフターの準備は完了した。
皆、準備室よりリフターに移動してくれ。
五体満足に帰還するように。
3番隊にアマテラスの光あれ』
アマテラス防衛基地総司令佐藤 賢治からの激励をもらう。
そういうと短い通信は終わり、皆リフターへと足を踏み入れる。
全員がリフターの上に横一列で並び立ち、隊長が告げる。
「出撃準備完了。ハッチを開け、宇宙への出撃を開始する。」
『出撃準備完了報告受け付けました。これよりハッチを開け、リフターを上昇させます。』
次の瞬間、立っていたリフターが稼働。
エレベーターほどのスピードで10メートル上昇する。
ハッチが開いた瞬間、宇宙空間となり、上を見上げると綺麗な星々が見える。
皆、それぞれに気持ちを整えて上昇し切るのを待つ。
15秒ほどで上り切り、リフターのが止まった。
敵戦艦、目視で皆確認すると、金剛隊長が合図をする。
「目標確認!敵性戦艦確認!只今より、地球を守る戦いを行う・・・・・・
皆、私の手に触れろ!」
そういうと皆隊長のもとに集まり、左右の手にそれぞれ触れる。
皆が触れたことを確認すると隊長はいつもの言葉を口にする。
『スイッチ、オン』
その言葉を唱えると、触れていたほか隊員たち体全体に力がみなぎる。
効果を確認すると、再度皆横に並び直し告げる。
「さあ、3番隊!!!!防衛開始!!!!!」




