表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デコとトオル  作者: 黒蜥蜴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/6

りんごスイーツは初恋の味

実家からりんごが送られてきた。一人暮らしなのに一箱は多いって〜!小さい方の箱ではあるけれど、6玉って普通に食べてたら飽きるでしょ!その上すぐにでも食べてくださいと言わんばかりに強烈な甘い芳香。これ日持ちしないのでは?

せっかくの秋の味覚、大事に美味しく消費したい……そんな切実な思いで昨日発見した動画が、その日に投稿された【りんご消費レシピ2本立て!ケーキとジャム】!タイトルだけじゃなくサムネイルのチーズケーキとジャムがめちゃくちゃ美味しそうなので視聴しました。

『デコとトオルちゃんねる』というまだまだ登録者が少ないMYTUBEチャンネルだけど、見たら面白かったし救世主すぎたのでチャンネル登録もしちゃいました。35人目のチャンネル登録者で〜す。この動画の再生回数は32回。

さてさて材料はメモって購入してあります!あと調理器具。ケーキ型なんて持ってなかったから百均のホールケーキ型と、使えると思って、りんごの上から押し付けるだけで芯を抜いてカットできちゃうりんごカッターも。楽チンでとっても良い。大きめのジャム瓶もなくてキトリで買いました。ちなみにデコちゃんとトオルくんのとこと同じジャム瓶です!

動画の概要欄のレシピを見ながら作るので、視聴履歴を遡っていざ再生!オープニングトークを聞きながら手を洗う。軽やかな音楽と男女の声が耳に心地良い。


「ほう……美しい……おまんがナンバーワン……まだあげ初めし前髪の!」

「林檎のもとに見えしとき?島崎藤村じゃん。という訳で今回はつやつやなりんごを使ったレシピです。どうもトオルです」

「トオルくんはノンデリなのかね。もうちょい余韻に浸る時間くれないの?どうもデコです」


島崎藤村の『初恋』という詩にりんごが出てくるらしいです。動画見たあとグルグルで調べたから付いていけるぞ!二人は文系なのだろうか?ジャムに使う砂糖の量を計算するためにキッチンスケールでりんご2個分の重さを計る。皮と芯除いて430g。


「始まりました『デコとトオルちゃんねる』。デコちゃんが今日ずーっとりんごに向かって『可愛いね』『綺麗だね』『大好きだよ』って言ってるのを嫌でも目にしてる僕の心情を10文字以内で答えよ」

「はいは~い!ジェラシー!」

「当たり。なので第5回はりんごを余すことなく煮たり焼いたりして憂さを晴らします」

「珍しくトオルちがやる気あるので嬉しいな!それでは早速行ってみよ〜!」

「全部デコちゃんのせいなんだけどな〜!行ってみよ!」


♪«デコとトオル»

というジングルが鳴ると、真っ赤に熟れたりんごが映る。私は概要欄のレシピを見ながらりんごカッターで切った櫛切りのりんごの皮を剥き、更に半分の厚みに切る。それを1cm幅くらいのいちょう切りにしていく。動画のジャズピアノの音色と包丁のタンタンと切る音が混ざり合って楽しくなってきた。


「材料こちらです」


トオルくんが言うと画面には材料が並んだキッチンと【りんごのベイクドチーズケーキ、直径12cmケーキ型。りんご1個、レモン汁大さじ1、砂糖大さじ1、クリームチーズ200g、卵1個、薄力粉大さじ2】【りんごとセロリのジャム、作りやすい分量。りんご2個、セロリ1本、砂糖りんごの重さの8割、レモン汁大さじ1、シナモンパウダー小さじ1】というテロップが表示されているだろう。その間にもりんごを切って剥いて小さく切る。下ごしらえはこれに1番時間がかかるのだ。砂糖の量は8割だから……344g!


「まずクリームチーズは常温にしておいてねッ!次にケーキとジャムに使うりんごを切ります!皮を剥いて大体1cm幅厚み3mmから5mmくらい!ざっくりで良いよ〜ん!りんごが終わったらセロリの葉を取って、茎を5mm幅くらいに斜め切り!筋取りはしません!」

「セロリの葉っぱはどうするの?」

「う〜ん晩ご飯のスープにぶち込めば良いんじゃない?ウインナーとお野菜のコンソメスープにしちゃお!」


りんご3玉を一度に加工するって難しいのね……よし切れた!セロリも順調にカット出来てる。次は砂糖を使うはず……


「ジャムの準備をします。鍋に切ったりんご2玉分とセロリとお砂糖を入れて軽く混ぜます」

「シリコンの大きなスプーンがあると混ぜやすくって便利なのさあ!」

「砂糖が混ざったらしばし放置です。チーズケーキの下ごしらえに移ります」


ありゃ。ボウルにドサッと砂糖を入れて計ったら340g。4gは誤差でしょイケるイケると思いながら、アルミの片手鍋を引き寄せる。鍋にこんもり山になったりんごとセロリの上に砂糖をかけて。混ぜながら砂糖を全量入れた。りんごから水分がじゅあっと出てくる。


「フライパンにりんご1玉分とレモン汁、お砂糖を入れてしんなりするまで炒めるのだ!焦げないように注意〜!」

「最初は中火で、だんだん弱火にしていくと焦げにくいです」


デコちゃんの言う通りにフライパンでりんごを炒める。水分はしっかり飛ばした方が良いかな?焦げないように混ぜつつ、常温に戻したクリームチーズをボウルに入れる。ハンドミキサーじゃなくて泡立て器でざっくりほぐす。チーズが泡立て器にくっついてもったり重い。


「ボウルにクリームチーズを入れて泡立て器で滑らかになるまでひたすら混ぜてください」

「トオルっぴはりんご炒めてて!チーズケーキ生地はデコの方が上手いから!」

「了解〜」

「さてクリームチーズが練り練りして滑らかになったらば!卵とお砂糖を入れて混ぜるのよ〜ん!卵は溶き卵にしておくと混ぜやすくてGOOD!」


なんとなくクリームチーズが柔らかいクリーム状になったので、卵を小さい器に割り入れてカカカカカッと菜箸で溶く。ボウルに溶き卵を流し込み、砂糖の容器から小さじ1掬ってボウルに投入。しっかりと撹拌する。ケーキにしては砂糖が少ないレシピだ。ヘルシーでイイよね。りんごは時折混ぜていたので焦げていない。水分が飛んでいるのでお皿にりんごを移して冷ます。


「トオルちりんごに火ィ通った?」

「水分飛んでるよ〜!火から下ろして冷まします!」

「よしよしチーズケーキは一旦置いといてジャム行きまっしょい!中火でとろみが出るまで煮詰めるのぜ!ここでオーブンを170℃に予熱しておきます!トオルくんはケーキ型と百均の敷き紙用意してちょ〜!」

「OK。デコちゃん、レモン汁最初に入れないのはどうして?」

「切って生で食べるりんごならレモン汁はすぐ付けるべき。酸化で色が変わるのを防ぐためなのじゃよ!でもジャムの場合加熱して最後にレモン汁を入れることで色を鮮やかに戻すことができるし、レモンの酸っぱい風味が飛びづらいの!このジャムはりんごもセロリもしっかり形残ってる『食べるジャム』だからレモン汁のさっぱりを残しておきたい!シナモンパウダーも香りが飛ぶから最後に入れます!」

「なるほど。あ、ジャムがちょっとぽってりしてきたかな。とろみ出てます」

「もーちょっと水気を飛ばしたいね!チーズケーキ用のりんごは粗熱取れたかしらん」

「生地と混ぜても大丈夫そう。ではボウルにりんごを入れてまんべんなく混ぜます。混ざったら薄力粉を加えて、シリコンのヘラなどでさっくり混ぜましょう」


ジャムの材料を火にかけたタイミングで、オーブンを予熱。ケーキ用のりんごが粗熱取れたのでチーズケーキ生地にin。薄力粉を大さじ2掬って、木べらで切るように混ぜる。ケーキ型は買ったけど敷き紙は買ってないんだよね〜。だってそんな頻繁にケーキ焼く訳じゃないし。概要欄にもクッキングシートで代用可って書いてあったから、底が抜けないタイプのケーキ型にクッキングシートをワサ!と広げて型に合わせるようにくしゃっと敷く。ジャムが焦げないように一度火を止める。


「ケーキ型に敷き紙をセット!クッキングシートを代用してもアリです!そこにチーズケーキ生地を流して上から2回落とし空気を抜きますわよ!」

「デコちゃ〜ん!ジャムこのくらいで良いかなあ」

「良いぞう!シナモンとレモン汁入れちゃって〜!事前に消毒しておいたジャム瓶がこちらです!煮沸しなくても洗剤で洗って乾かしてから35度以上のアルコールで消毒すれば大丈夫なのだよ!これはキトリの密閉耐熱ガラス瓶!」

「蓋の四角いボタンを押すと瓶の中の空気が抜けるので保存容器としてピッタリです」


とのことなので買っちゃいました、おんなじ保存瓶。食洗機で洗って乾燥させた後に、キッチン用アルコールスプレーを何度か吹き付けて蓋をし、シェイクしてあります。蓋を開けて清潔な菜箸に挟んだキッチンペーパーで余分なアルコールを拭き取ったら準備完了!ジャムにシナモンパウダーとレモン汁を入れてしっかり混ぜる。うーんいい香り!オーブンの予熱も終わったので天板を出す。


「オーブンの予熱終わったので型を天板に乗せて30分から35分焼きます!GO!」

「いってらっしゃ〜い!僕はジャムを瓶に詰めます。耐熱シリコンのスプーンで掬って少しずつ入れると中に空気が残りにくいです」

「同時進行でも以外とイケるもんですなトオルぴぴ」

「イケるもんですな」

「よっしゃここからはケーキが焼けるまでカット!」


「カットカット〜カットだよん〜♪」というデコちゃんの歌が挟まる。私もアツアツのオーブンにケーキ型を入れてタイマーセット。ジャムをもう一度火にかけてあと少し水分を飛ばしながら動画の続きを見る。


「完成で〜す!ふわぁあチーズの濃厚なかほり……!」

「焼き色綺麗すぎる。大成功では?」

「大成功かどうかは食べるまでのお楽しみ!ジャムも瓶に収まりました!実食楽しみ〜!」


画面いっぱいに、ケーキクーラー代わりの網の上できつね色になったチーズケーキがほこほこと湯気を立てている。粗熱が取れたら冷蔵庫で2時間半、というテロップが出た。おっ、ジャムのとろみがイイ感じ!瓶に詰めよう。


「それではいただきま〜す!」

「いただきます。僕はチーズケーキを、デコちゃんはジャムを食レポします。……りんごのおかげで一見重そうなチーズケーキがあっさり食べられて、ケーキのふわふわとりんごのしゃくしゃく食感が楽しいスイーツに仕上がっています。お砂糖も少ないからダイエット中のおやつにも」

「バタートーストに乗っけてジャムを……お〜いしい!セロリのじゃっくじゃくがくったりしたりんごを支える縁の下の力持ち!シナモンの甘い香りとレモンの酸味がバランス良くて、歯触りの良さと共に旨味が突き抜ける感じ〜!これは大成功デショ!」

「レシピを簡単にまとめたものを概要欄に掲載しておきます。ここまでご視聴頂きありがとうございました!」

「デコとトオルでした〜!」


«チャンネル登録し・て・ねッ!»

というデコちゃんの口ずさみで動画が終了した。これで半分のりんごが加工出来たし、チーズケーキは低糖質で素敵なレシピだから口に合えばまた作るかも。残りのりんごは普通に切って食べようかな……


現在のチャンネル登録者数は35人。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ