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Zさんの場合

『怨霊の背景を探る!』……。

 このコーナーでは、怨霊の方々にどんな無念があるのか? を、霊界通信を通してインタビューします。

 その無念を知ることで、我々人間が怨霊にならないようにしよう……というコーナー……なのですが!

 霊界通信の調子が悪いのか、ちっとも繋がりません……。

 数日前から調子悪かったんですよね。何度か試してみたんですが、電波? 霊波? よくわかりませんが、そういったものが入らない。

 このコーナーを楽しみにしてくれているリスナーの皆さんには大変申し訳ないのですが、この『怨霊の背景を探る!』、本日で最終回とさせていただきます。

 霊界通信が繋がらなければ、怨霊の方のお話も聞けませんからね。


 最終回、ちゃんと番組になる? と心配しているそこのあなた!

 ご安心ください……。最終回は誰の話を聞くか、このコーナーがはじまったときから決めていました。

 本日インタビューするZさん──それは、私です!


 なんと! 私! わははは!

 驚いたでしょう。

 えっ、アイツ怨霊だったの? なーんて、リスナーさんの心の声が聞こえてくるような気がします。霊界通信は壊れちゃいましたけどね。


 さて、それではパーソナリティの私について、少し自己紹介をしましょう。

 私は30代、男性、生き霊です。死んでません! 生きてますよー!

 職業は、皆様ご存知の通り、ラジオパーソナリティですね。


 では、なぜ生き霊になったのか?

 ──これは……私が「空気を読めない無念を抱えた男」だからです!

 えっ、なんでスタッフさんたち、うなずいてんの?

 そうそう、あいつ空気読めないよねー的な……。

 ここは「えー! そんなことないよ!」って言うところだよ!


「エー! ソンナコトナイヨ!」


 棒読み! ものすごい棒読み!

 ……なんか、スタッフの思いが伝わってきますねー。今日最終回なのに!

 スタッフさんたち、録音ブースの後ろでクスクス笑ってますけども。

 今回は私がゲストとして話すんだから、盛り上げて!


「ワー」


 うん……。ものすごい棒読みですね。ちょっと落ち込む……。

 一旦CMはさんでいいですか?

 CMのあと、Zさんこと、空気を読めない私の無念とは? をお話していきます! 続きはCMのあとで!


***


 はい。『怨霊の背景を探る!』、最終回です。

 本日はZさんこと、私の話をしていきます。

 よろしくお願いしまーす!


 まず、この『怨霊の背景を探る!』のコーナーをはじめたきっかけについて、お話ししましょうか。

 まあ、プロデューサーから「この企画、やってみない?」と提案してもらったのがきっかけです。霊界通信というものがあるよ……ってね。

 この企画を担当するうちに、ふと、気がついてしまいました。

 あれ? 私も無念、抱えてない? ──と。

 ミイラ取りがミイラになってしまったような状態ですね! わははは!


 私は子供の頃から「人の話が聞けない」「空気が読めない」と、よく言われてきました。

 ものっすごくマイペースなんですよ。わはは。

 人の話を聞いているんだけれど、理解や返答がズレている。

 空気が読めない。笑ってごまかしてる──なんて言われたこともありましたね。


 はい、スタッフ! そこ! うなずかない!

 ブロークンハートZになってしまいますから!

 最終回だよ! 放送止まってもいいの!?


 ……はい。

 私の仕事はラジオのパーソナリティですが、この番組をはじめる前、ちょっと落ち込んでたんですね。

 スランプって言えばいいのかなぁ。仕事があんまりうまくいってなかったんです。空気が読めないから。


 インタビュアーとしては、相手の話をうまく引き出さなくてはいけない。

 これは瞬発力ですね。

 インタビューで相手が答えてくれた内容に、しゃしゃり出すぎず、気分よく会話が弾む返しをしなくてはいけない。

 ……難題です。

 私は結構我が強いというか、自分の考えを話してしまうこともありましたね。

 お聞き苦しいところも多々あったかもしれません。すみません。


 ラジオのパーソナリティとしては、リスナーの皆さんの反応を予想して、聞きたいことは何か? を考えて話さなくてはいけない。

 ざっくりとした台本はありますよ! ありますけど、会話って生き物ですから、変わっていく。

 それに合わせて、リスナーの皆さんの反応を考えなくてはいけない。

 ……私、これも苦手なんですよねぇ。

 だって、空気が読めないんですから!


 放送後にスタッフさんから「またちょっとズレてるよ……」なんて言われたこともありました。

 ヅラみたいな言い方するもんじゃないよ! なんて笑ってましたけど。


 共感することが大切だ──。

 そう考えていた私にとって、この『怨霊の背景を探る!』のコーナーは、大変勉強になりました。

 ラジオのお悩み相談コーナーって定番ですけど、相手が怨霊ですからね。何が起こるかわからない。あははは!


 もし自分だったら、どう思うのか?

 共感って、ここからはじまるんですよね。

 怨霊になってしまった方々の無念を聞いて、共感できるところは共感する。

 ……あまり共感しすぎると、怨霊に引きずられて私自身も怨霊になりかねませんから、一定の線は引いた上で。

 まあ、生き霊にはなってたわけですが。わははは!


 そうして、ラジオは姿が見えませんから、説明を加えて、リスナーの皆さんにわかりやすく伝える。

 そんなことを、私なりに努力したつもりです。


 今日の放送も含めたら、全27回ですね。

 いろんな方の無念をインタビューしてきました。

 いかがでしたでしょうか?

 リスナーの皆さん、全27回を聞いてくださって、ありがとうございました!


 さて、それでは本日の『怨霊の背景を探る!』のコーナー、最終回、まとめ!

 ……『人を知ることは、社会を知ることでもある!』……。

 ちょっとカッコつけちゃいましたが、私はそんなふうに、この番組を通して受け止めました。


 番組がインタビューしなくても、怨霊、人間、どちらにも、恨みつらみや無念は生まれるでしょう。

 ……でもそれ、「生きてる」あるいは「生きてた」ってことでもありますからね。

 無念を抱えた人たちを孤立させないのが共感の力でしょうし、怨霊を生み出す機会を減らすってことなんじゃないかなぁと、私なんかは思います。


 さて。この『怨霊の背景を探る!』のコーナー、本日が最終回です。

 それでは皆様、ごきげんよう! ばいばーい!

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