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日々の夏  作者: 那須茄子
9/13

 ゴロロロ!!

 

 もの凄い音とともに、夕立が突然きて、外が急に暗くなる。

 窓の外に目を向けると、細い線のようなものが見えた。きっとあれは稲妻だ。


「ねぇ、雷落ちたの?」


 ソファに身を寄せるひよりちゃんは、心配そうな目で俺を見る。


「大丈夫。こっちには落ちてないよ。さっきのは遠い向こうの方だからね」

「ほ、本当に?」

「本当だ」


 念押しすると、ひよりちゃんも安心したような顔をして、そっとソファの背にもたれかかった。

 安心したひよりちゃんを横目で見ながら、俺はふと、ちょっとした悪戯心に駆られた。雷が苦手なひよりちゃんには悪いけど、今ならきっと面白い反応が見られるだろう。


 俺はスマホを静かに取り出し、効果音アプリを開いた。雷の音を再生できるものがあったはず──あった。音量を少しだけ上げて、タイミングを見計らう。


 ひよりちゃんが目を閉じ、ソファにもたれかかって落ち着きを取り戻したその瞬間。


「ゴロロロロ……ドガーーーン!!」


 スマホから響く凄まじい雷鳴に、ひよりちゃんはビクッと飛び上がった。


「きゃあっ!?  まぁ、また落ちたの!?  今度は近くだよ!! ねぇ本当に大丈夫なの!?!?」


 俺は必死に笑いを堪えながら、「ごめん、今のは俺のスマホ。効果音。冗談だってば」と告白した。


 ひよりちゃんはしばらく呆然としていたが、やがて頬をふくらませて俺を睨んだ。


「 ひどい、最低っ! ほんとに雷、怖かったんだから」

「でも怖がってる顔もかわいいし……って、痛」


 クッションが飛んできて、俺の顔に直撃する。

 次も。その次もクッションが見事に俺の顔に命中。防ぐ隙がない。

 

 これは雷よりも、よっぽど手ごわい“嵐”だったかもしれない。




 




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― 新着の感想 ―
ふふっ♪ 可愛らしいですねぃ♪  (´∀`*)
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