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「お姫様、歩くの遅い」
「いや、あんたが速すぎるんだって。大人げない」
コンビニ帰り、ひよりちゃんはラムネの瓶を片手に、俺の二歩後を歩いていた。
「ラムネって、ビー玉取れないのが不満」
「それ取ったら、ラムネじゃなくなるだろ」
「でも、ビー玉欲しいじゃん。なんか、夏って感じするし」
確かに、ビー玉の向こうに揺れる光は、夏の象徴みたいだ。
そういや俺も昔、ラムネの瓶をわざと割ってビー玉を取り出していたな。かと言って、ここでラムネの瓶を割るのも危ないしな。
「じゃ、ビー玉だけ買ってやるよ」
「それ、意味ある?」
うーん、どうだろう。似たようなものじゃないか。