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朝、目を覚ますと台所から包丁の音が聞こえた。
まさかと思って覗くと、ひよりちゃんが卵を割っていた。
「何してる?」
「見ればわかるでしょ。朝ごはん。あんたの分はないけど」
「なるほど、戦争はもう始まってたか」
「は? 何言ってんの?」
「いや、俺の胃袋が宣戦布告したって話」
ひよりちゃんは呆れた顔でため息をついた。
「しょうがないわね。半分だけあげる」
そのスクランブルエッグは、素直に美味しかった。
これなら料理の担当は、ひよりちゃんに一任してもいいかもしれない。