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第1章「ふたりの一年生」
春。星乃学園の入学式。
新入生たちの中には、白咲あかねの姿があった。あどけなさを残しながらも目には強い意志が宿る少女だ。彼女の目標はただ一つ、姉・ひかりを超えるアイドルになること。
だが、同じく一年生の教室にはもうひとりの“白咲”がいた。白咲あかり。16歳、本来は2年生だが、昨年成績と出席不足で留年していた。
「……また、1年生からやり直しか。」
あかりは人前に出ることが苦手で、レッスンでも自信を持てずにいた。姉のようになりたい気持ちはある。でも――姉のようにはなれない。
クラスメイトたちは“伝説のアイドルの妹”という期待をあかりに押し付けるが、当の本人はその重圧に押し潰されそうになっていた。