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勇者に非ず  作者: 天空 浮世
魔族とゴブリンは全く別の生き物

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13

「森に入ってから、絶対に気を抜くんで無いぞ」


 森に入る直前。ルミエーラから耳打ちされた刃。


 とりあえず、周囲を警戒しながらいつ、何があっても良いよう素振りをしていると、唐突な風切り音。何かが、目先を掠めて飛んでいった。


 飛んだ先を見ると、ジェヴィがルミエーラに押し倒されていた。その後ろの木には、矢が水平に突き刺さっていた。


 悪寒が走る。直感で剣を振り抜くと矢が弾かれた。


「その調子じゃ」


 矢の速度は速いが、集中して視れば、弾くことの出来る速度だ。


「それ、前に進むのじゃ!」


 ジェヴィを担いだルミエーラに背中を押されて、矢の飛んでくる方へと進ませられる。


「おい! 弾くので手一杯だが!?」


 目を見開いて剣を振り回す。前に進むごとに矢の速度は段々と上がっていく。弾くのも精一杯で、生傷が増えてきた。


「!?」


 突如、真右から飛んできた矢をルミエーラが腰に下げた小さな籠で弾いた。


「気を抜くなと言ったじゃろ。相手は二人じゃ」


 前の矢を弾きながらも右横に意識を向けていると、今度は左から矢が飛んできた。


「っぶね!」


 ギリギリで気付き、今度は自身で弾く。その間も前方からは、矢が止めどなく放たれていた。


 軽傷で森を抜けると、草原に二人の男女が立っていた。


「あいつら、俺の同郷だ」


 自身より大きな弓を持つ小柄な女子は仁美(ひとみ) 矢見(やみ)もう片方は船頭(せんどう) 航機(こうき)という方位磁針を持った糸目の男子だ。


「おい! 俺だ! 同じクラスの刃だ!」


 手を上げて無抵抗を示すが、仁美の番えた矢は無慈悲にこちらを向く。その目はうつろだ。


 躊躇なく飛ばされた矢を剣で弾く。


 船頭が指をクイっと動かすと、後頭部に強い衝撃が走った。ガクンと下に向けられた頭の上を弾いた筈の矢が掠める。


「気を抜くなと言っとるじゃろ」


 ルミエーラが俺の頭を籠で殴ったらしい。もし、そのままだったら綺麗にヘッドショットだっただろう。


「すまねぇ。あいつら……俺と同じか?」


「うむ、洗脳されとるの」


「そうか」


 俺は自分の頬を叩く。


「っしゃ。もう騙されねぇぞ」


 矢は軌道の歪みを隠すのをやめた。船頭は指を上下左右に素早く動かす。それに合わさって矢の動きも変則的に変わっていった。


「っく!」


 不規則な動きに合わせて矢の威力も上がっており、剣が重く弾かれる。


「ルミエーラ! 俺があいつらを抑えるから! 解呪してやってくれねぇか!?」


 防ぐだけで精一杯だというのに、(がら)にもない事を口走ってしまう。別に二人と特段仲が良かった訳ではない。それでも助けない理由にはならない。気合いで体を前へと動かす。


「ジ、ジンさん! これっ!」


 担がれたジェヴィの声に振り向くと同時に、飛んできたそれを反射的にキャッチした。

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