夢の詠み手
……夢を見た
ぼんやりしているのに、印象深い
はっきりしないのに、覚えてる
忘れてしまうのに、心に残る
不思議な、不思議な、夢の物語
自分の世界に、誰かの世界
知らない世界に、知っている世界
……夢を見て、夢を詠む
おぼろげな印象を、力強く
ところどころ欠けた物語を、補って
どこか懐かしい場面を、重ねて
希薄な夢が、詠われて華となる
味気ない夢が、詠われて胸を打つ
曖昧な夢が、詠われて完成する
……夢が、夢で終わらずに、咲いてゆく
夢が、夢物語で終わらずに……、誰かに届く物語になる