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多少気を持ち直して部屋の中を観察すると、本棚には数冊の本が収められており、机にはペンと便箋が置かれている。キッチンはないがベッド脇のサイドテーブルには水差しとグラスが一つ用意されてていた。

小さいが高い位置には窓もついていて向こうに青空が見える。

採光は十分ではないが暗いというほどではない。

トイレは付いているが浴室は無いようだ。


格子に鍵、塔の天辺、小さな窓と部屋から抜け出すのは不可能なようだ。

一方でガラス製の水差しやグラス、ペンなど危険物になり得るものは普通に置かれている。

死にたくなったらご自由に、と言うことだろうか。

しかし便箋とペンがあると言うことは僕は絵を描ける。

そしてこの2つの存在が強く僕を勇気付ける。


僕の祝福を察知してこの塔に押し込めたのなら、絶対にこのようなものは置かないだろう。

もしかしたら僕の絵の祝福は知られていないか、別の物と勘違いされているのかもしれない。


そんな事を考えているとコツコツと靴の音が下から響いてきた。

誰かが塔を上がってきたようだ。

先ほどの使者か、やんごとなきお方とやらか、後で来ると言った騎士か。

隙を見せないように息を殺してじっと格子の向こうを見つめていると、姿を現したのはあの騎士だった。


「王がお呼びだ。一緒に来るように。」


硬い声でそう告げて鍵を開ける騎士の元に近寄ると、ガチャガチャとわざと大きく音を立てて鎖を解きながら騎士はまた小声で話しかけてきた。


「私はジェンダー家に縁あるものです。ローズ様に言伝を頼まれています。『王は何も知らない。何も話すな。私達も動く』と。」


「ありがとうございます。」


「いえ。」


それから騎士は一際大きな声で「さあ、こちらに。抵抗はなさいませんよう。」と言い、僕の前に立って塔の階段を降り始めた。



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