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俺は猫とメンヘラがキライだ。  作者: 反射的な司馬懿
日常の兆し

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そう、長い一日(昼食前)

 俺は当ても無く出た訳じゃ無い。差し戻し書類があったのでその提出兼、説明を受けるべく、とある課へと向かったのだ。


 案の定というか、予測通りと言うか立て込んでるから少し待って欲しいと。


 説明を要するのであれば当然アポを取ってから、その時間を充ててもらう手順が正しい。


 時間を潰す為にそんな行動を取った訳だが、待ち時間になにもしない訳にはいかない。見栄えは悪いが社用スマホで書類の打ち込みをする。


 十五分は待っただろうか、声がかかった。


 この課は母ちゃんぐらいの歳の人ばかりで、俺は結構好きなんだよな。落ち着く。


 所謂お局様方が居て、魔窟なんて呼ばれているけど雰囲気もいいし俺は出入りする事に抵抗はない。



 ーーーーで、説明を受けたが全くちんぷんかんぷんだ。


 正と誤の違いが全くわからん、同じものにしか見えん。



「あのー、正直言いますが、分かりません」



「何が分からないのよ?」



「全体が」



 そう答える俺に対して目を一瞬見開き、無表情を装い説明をしてくれる。だんだん語気が強くなってきているが言っている内容は同じだ。そう思える。


 昼飯の事考えちゃってね、ごめんなさい。


 

「わかったの?」



俺が口を閉じて、気不味そうに視線だけを向けていると渡りに船の返事がきた。



「もー!!じゃあこっちで訂正するから、その内容を確認して、確認したら再提出してちょうだい!」



「ハイ!ありがとうございます!すいません!」



 やれやれと言った表情をされるが、忙しい中、本来俺がやらなければいけない事を代わりにやって頂くんだ。


 感謝して当然、申し訳なくて当然。


 俺はスマホをしまう時に、のど飴がポケットに入っている事に気づいた。



「これ、召し上がって下さい、美味しかったら皆さんに一袋買ってくるんで」



 俺は自分の中の精一杯の笑顔でにっこりとして、その場を後にした。



 思ったより時間が潰せた、しかも『使った時間』<『書類の訂正』だ。


 ラッキー

 必ずお礼をしないとな。


 アイツは今日外出が入ってた。もう居ない頃だし、課の雰囲気も元に戻ってるだろう。




**********




「富海君、帰ったのぉ?」



「もー何回説明しても理解してくれなくてね、全部分からないなんて言われたらこっちでやるしかないじゃない!」



「ウソぉ……富海君に気に入られようと思って引き受けちゃったんじゃないの?」



「そら、あの子可愛いわよ!娘がいたら結婚させたいわね!」



「え〜それじゃぁお義母さんでしょぉ?私は下の名前で呼んでほしいわねぇ……」



「そら、高望み!そもそも、アンタは椚ちゃん推しじゃなかったの?」



「椚ちゃんもねぇ、何っっ遍言っても分からないって聞きに来るのよぉ〜」



「たまに鉢合わせちゃうとねぇ、富海君が椚ちゃんに遊んでばっかりいるんじゃない!なんてねぇ」



「そーそー大きくはないけど筋肉質で……男らしいのよね、富海君。あの椚ちゃんと張り合ってて、頑張れー!!って応援したくなっちゃうの、可愛いわ」



「でも椚ちゃん、富海君は恋敵だって言ってたの!」



「はぁ?二人に()り合われてる訳??どこの女よ!!そんな女になりたいわ!」



「や〜ね〜」



「やーねぇー!!」




**********




 俺の知らないところで、何を言われているかは知らない。


 そんな事は勝手に言わせておけばいい。結局、本人に言わない事はどうだっていい事なんだ。


 俺は課を一人抜ける事になんの抵抗もなかった。何食わぬ顔で、いつも通りに自分の席に戻った。


 もちろん、アイツが居ない事を確認した上ではあったが居たとしても仕事なんだどうしようもない。


 ただ、同じ空間にアイツがいる状態で仕事に集中出来る気がしなかったのも事実だ。


 何の『におわせ』なのか、話してもない事を話し始めたのだから……喧嘩売ってんのか?


 険しい顔をしてパソコンに張り付いていると、俺の名前が聞こえたような気がした。



「……ト ノ ミ ク ン」


 ひっそりとした声だった。


 俺がその声に顔を向けると緑町さんがすまなそうに、一枚のメモ紙を渡してきたのだ。


 耳が付いている、猫を模ったメモ。


 それに気付いたからなんだってんだ、家にいる居候の心配を今してられんぞ。


 俺は無言でそれを受け取ったが、開く事はせずモニター下へと置いた。


 緑町さんの視線を感じたが無視だ。これが業務内容でない事に確信があったからだ。


 離席のおかげで飛び道具も手に入れたが、取り敢えず今日のタスクをこなさないとな。


 そう考えつつも、猫がこちらを見ているようなメモがチラつく。


 これを目の届く場所に置いたのは失敗だ、そう考えると同時に胸ポケットへとしまい直した。


 終わってから考える、そういうことだ。

 


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