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俺は猫とメンヘラがキライだ。  作者: 反射的な司馬懿
新たな生活

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整理整頓清掃3

「ネコちゃ〜ん、お前さんの為にがんばったぜ」



 俺は、この独り言を猫に聞いてもらおうと言った訳ではない。


 ただこんな事でも声に出せば、そんな気がしてくるからだ。


 本当の意味で、冷静なったらダメだ。

 今は猫がいる事を受け入れよう。


 明日の事だ、今はどうすることも出来ねぇんだよ。

 だから、猫と暮らすと今だけは思い込まないといけない。


 俺は一仕事終えて、また電気の光を見つめてしまう。


 こんな事の繰り返し。

 生きてきた中で最も非生産的なんじゃないか。


 なんなら、いくら払ったよ……。

 とんでもねぇ会計だったわ……。


 あーやめ、やめ、これを今は認めないといけない。

 どうすることも出来ないんだからさ。


 そもそも、俺の不注意だろあれは。



 彼女が出て行って、猫が残されちまって、俺は猫なんて困るし、解決も出来ない。


 こんな事ってあっただろうか。


 なんだかんだ、何でも自分でやってこれて問題を解決するのも得意だって思い込んでいた。


 それがこのザマ、なんにも出来ない。


 分からない事は、こわいこと。

 いや、猫なんて、こわくないさ。


 想像できないことはこわいこと。

 そうだ、だから、こわいんだよ。


 不安だらけだ、家具を置き去りにされたんじゃない。



 こいつ、生きてるんだぜ。


 横目で、悩みの根源を見てみると床を掘っているような仕草をしている。


 

「なんだよ、ココホレワンワン、ニャンニャンなのか?」



 サカサカとしつこく床を掘る猫。



「下の人に迷惑だからやめろや」



 俺はそう言うと、まだ天井の電気を見ていた。

 ぼんやりと。




ーーーー俺は目を見開いた。



 猫を見ていた訳じゃない、でも想像はきっと間違ってない。



 なんか、オシッコしてね?



 何故この答えに行き着いたのか、正直わからない。

 視線をやると見る間に水溜まりが広がっていく。



「なんでぇ?なんで、なんでぇ?」

 


 俺ってば笑っちゃってんのよ。

 そんで笑ってるだけなのよ。



 「おい!」



 側の柱を引っ掻かかれたところで俺は止めにはいった。


 何というか、止めたというのは大きな声を出して追い払った形だ。


 跡地を確認すると、どこに詰まってたんだというぐらいの雨上がりがそこにあった。


 

「トイレ……」


 俺はこれまで猫の住処ぐらいに思っていた、ドームに目をやった。


 いや、今初めて知った訳じゃない。

 これはおそらく猫のトイレだって知ってたはず。


 しかしこのトイレを覗いたことはなかった。


「あー……」


 このトイレどうなってんの?



 俺ってさ、学校の飼育委員とか苦手だったのよ。


 そんな子供みたいなこと言ったって、このトイレを見ないといけない……俺は大人だからな、理解出来るんだ。



 しかし、その前にこの雨上がりをどうにかしなければ。


 追い払ったはずの猫はそう遠くないところでこちらを見ている。


 俺は視線で牽制しながら、そこに近づかせないよう猫を見つめ続けた。


 さっと、キッチンペーパーを戸棚から取り出すと猫が駆け寄ってきてしまった。


 隣の扉に餌が入っていたからだろう。


 俺は冷静にもう片方の扉、つまり隣の扉をあけて餌を持った。


 そして、餌皿に猫を釘付けにすることにしたのだ。


 猫は刷り込まれた雛のように俺の後をしっかりついてくる。


 カラカラといつもの山盛りとは違う量で気持ちばかりを入れてやり、急いでキッチンペーパーを使った。


 もう何枚かとかじゃない、全て撒く。


 水溜まりを埋めるように、じわじわと染み込む様子を確認しつつ、侵食が止まるまで見届ける。


 きっと吸い切れたであろう山盛りのキッチンペーパーの量に安堵し、俺はゴミ袋をその上に被せて、そのままひっくり返し中に収めた。



「天才だ……」



 俺は馬鹿な事を呟きつつ、しっかりと口を結んで台所へ……いや、玄関にあるゴミ箱へ捨てた。


 跡地は既に何事もなかったようだが今のままでは禁猟区だ。


 俺は猫を一瞥してから、自室へ消臭剤を取りに行く。


 それはもう、再び水溜りになるんじゃないかってほど床にふりかけて今度はティッシュペーパーでおおった。


 残しておけばよかったキッチンペーパー……。


 同じ動作で、またゴミを捨ててひと段落。


 ひと段落だ、ひと段落。

 次があるぞ。


 俺はここでの現実逃避はとてもできなかった。



 ドームは窓のようなものがついていて、下が引き出しのようになっている。



「おしゃれなお家……」



 ついて言葉が出た自分に、セルフビンタをかましてドームの窓を開ける。



「……」



 よく見えなかった。





 意を決して、引き出しを開ける。



「……」



「……」




 俺、飼育委員は苦手なんだよ。



 ゴミ袋、ゴム手袋、マスク。


 俺は小屋の中の1匹のニワトリ。

 ここで過ごしているんだ、平気だ、平気。


 目を細めながら、そんな事を考えながら猫のオシャレなお家の掃除をする。



 馬鹿やろう、こう言う事を書き残せよな……


 俺はゴム手袋で掬いあげた、宝物をせっせとゴミ袋へと移していった。



 




ーーーー猫なんて飼えねぇ……


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