[挿話] 400年前の日常
登場人物紹介の様なものです。
出てきていないメンバーもいます。
魔物討伐での帰り道は穏やかなものだった。
ゆっくりと馬に乗り、頰を優しく撫でる風を感じながら、ふと400年前の幸せな日常を思い出した。
きっと、今日ガーネットとノアに出会ったからだろう。
400年前、私は孤児グループのリーダーを担っていた。
私は生まれてすぐの状態で、孤児院の前に名前の書かれた札のようなものと共に置かれていたらしい。
孤児院は、満足に食事ももらえず、ひたすら仕事ばかりしていた。
成長期に食事をもらえないことで、倒れることもしばしばあったのだが、そんな時は鞭打ちの刑で、孤児院はよくぞ生きてこられた。という環境だった。
孤児院では、同じ魔法を使える子どもはある程度まとめられていて、私たちの孤児院の子ども達は、皆が闇魔法を使えた。
だから、孤児院の生活を限界に感じた私たちは全員で協力して脱走したのだった。
孤児院で人間らしい生活方を送れなかった私たちは、魔物を倒しながらも"いつか皆で英雄になる"という夢を見ていた。英雄になったら、きっと孤児でも人間として認めてもらえるのではないか。と一縷の願いを込めて。
それを思い出しながら、私は孤児メンバーの一人ひとりのことを頭の中に浮かべる。
最年長であり、副リーダーで私をいつもサポートしてくれたイーサン。
茶色の髪に金色の瞳。
孤児グループでは最年長で私の5歳年上で、みんなのお兄ちゃんのような存在の頼れる優しい人だった。
彼は闇魔法と光魔法を使えた。
特に光魔法は上級まで使え、みんなの怪我をすぐに治していた。
だけど、彼は常に兄らしく、お手本のように。ということを考えすぎて、本当の自分がわからない。自分には何ができるかわからない。と葛藤していた事もあった。
私を孤児院のリーダーとして指名したのも彼だったのだが、私は、彼が副リーダーとして存在してくれるだけで有難いということを伝えたのは、私と彼だけの思い出だった。
その後の彼は私にさらに優しくなり甘やかしていた。
そして、いつもキラキラの笑顔を浮かべながら、沢山の人からモテていた見目麗しいオスカー。
金色のサラサラした髪に碧眼という、孤児なのにまさに王子様という風貌だった。
彼は私の4歳年上だった。
彼はニコニコして、人当たりが良いのだが、人間不信でもあった。
それに気づいたのは、私たちが魔物討伐の拠点としていた町で商売している数名の女の人に、とある店に引っ張られ連れていかれた日だった。
私は心配で、その店の近くでブラブラしていた。
その時はダスティンと待っていたのだが、ダスティンが席を外した時に、彼はその店から下を向きながら歩いていた。
声をかけると、
「俺に近づくのは皆、俺の見た目しか見ていないからだ」
と急に怒鳴ってきたのだった。
彼の頭の様子から私は驚きを隠せなかったので声が出なかったため彼はこう続ける。
「お前もそうなんだろ」
私は、彼の本音を聞くのは今しかない。と思い、言葉を紡ぐ。
「いいえ。確かに、オスカーはかっこいいと思うわ。でも、あなたが光魔法以外の全属性を使えるようにするために努力しているところと、メンバーの前では無口だけど、皆の事を大事に思って、魔物の前では前線で戦っているのも知っているわ。あなたには勇気と優しさがあると思うわ」
「俺が、毒舌でも、この顔を利用して、目的を遂げる腹黒さを持っていてもそう言えるか?」
「えぇ。あなたの目的は、メンバーの事を思った目的だろうし、皆が魔法を使っているのと同じように、秀でた顔を使っているって事でしょう?カッコよさも才能の一部なのだから、良いと思うわ。毒舌だとしてもそれも個性の一部だわ。私は本音を隠されるよりは、毒舌でも素で話せる方が嬉しいわ」
「ふっ。マーシャはバカだな。お前は誰かに騙されそうだから、俺がずっと守ってやるよ」
それから彼は私を殊の外大切にしてくれた。
ダスティンは私のフザケ仲間のようなものだった。
洞窟に行った時も、2人の好奇心のようなもので、無謀なことに挑戦する時はいつも一緒にしてくれた。
兄様な存在で、私のことを1番にわかってくれる親友の様な存在だった。
カーラは運動神経抜群で闇魔法と風魔法を操っていた。
彼女の風魔法で足の速さは誰よりも速かった。
彼女の黒い瞳と髪は私の大好きな闇魔法を象徴している様で憧れだった。
彼女は、孤児院に私が来るまで誰も女の子がいなかったことから、私を妹の様に大事にしてくれた。
私も3つ上の彼女を本当の姉の様に慕っていた。
ヒューゴは頭脳明晰で、計算も早く、魔物退治の際にも沢山の計画を立てていた。
髪も瞳も青色で彼の冷静さを表していた様に思う。
彼は、魔力量が足りなくてできなかったけだ、私に新しい闇魔法の使い方のアイディアを出して、私が使っている様子みてアドバイスをくれたりした。
同じ年のカーラとは折り合いが悪く、よく喧嘩していたのだけれど、実際は気が合っていらんだろうな。と思っている。
そして、私たちが孤児院に出てから森の中で出会ったキリアン。彼も闇魔法と水魔法を使い、孤児だったことから私たちのメンバーにした。
3つ年下の彼は、私にとっては、初めての年下のメンバーとのことで弟の様に可愛がっていた。
私たちの国では珍しい髪の色は緑色、瞳は赤色だった。
彼との思い出は素晴らしいものだったが、とても大きな気がかりもあった。
2人で森の散策に行った時に、沢山の上級の魔物に襲われて、私は彼を庇いながら死んだのだが、彼は無事生き残れたのだろうか。
それがとても気がかりだった。
私が死んだ後の皆の状況は分からない。
リーダーとして死んでしまったことはとても申し訳ないけれど、皆で協力して少しでも幸せな生活を送っていたのならいいなと思う。
そう思いながらも、ダグディス、そしてガーネット、ノアに再び出会えたことは幸せな出来事だと思った。
今世で新たに彼らと共に素晴らしい時間を過ごせたら。
そう私は思った。
評価して下さった方ありがとうございます。
モチベーションになります。
今、折り返し地点くらいで、8月くらいに完結させたいなと思っているので、応援よろしくお願いします。
ここまで読んでくださった方、いつもありがとうございます。




