巡り合い
お待たせしました。
「マイシス〜」
そう言って、烏の濡れ羽色のように美しい色の髪を持つ一見気が強そうで凛とした髪と同じ色の瞳の色の女性が号泣しだした。
号泣した女性にどう対処したものか私は考えあぐねていた。
そうすると、もう1人の男性ーー空のように青い髪と瞳で、凛々しい表情をしたーーの静かな声が響く。
「君はマーシャだろう?」
「えぇ?!」
私は思わぬ出来事に声をあげた。
ダグディスに関しては口をあんぐりと大きく開けていた。イケメンが台無しね。と思った事はもちろん声には出さない。
「俺の前世はヒューゴさ。今の名前はノアだ。久しぶりだな。」
「「ヒューゴ?!」」
「あぁ。ところで、そちらの方は誰ですか?」
彼はダグディスに向かってそう言った。
「俺はダグディスだ。そして、前世はダスティンだ」
「なんだって?!ダスティンなのか?」
「ダスティンですって?!」
ノアのリアクションは当然のものだったが、私は、号泣しながらも驚いた反応をした女性に疑問を抱いた。
そして、前世に遡るとあることが蘇ってくる。
それを言葉に出してみる。
「もしかして、カーラ?」
「……ええ。そうよ!マイシス〜。今の名前はガーネットよ」
「久しぶりね。私は今はマルティーナって名前よ」
「えぇ。久しぶり。そう。マルティーナなのね。っていうか、マイシス〜は気づくの遅いわよ」
ガーネットはそう言って、私の肩を全くもう!と言った感じで軽く叩く。
それに昔の私たちの関係性を思い出してふふっ。と笑いながら答える。
「マイシス〜。って言葉を忘れていたなんて。
異国語で"私の妹"の意味の"マイシスター"を略していたわよね。私が思うに、略してもあまり文字数はわからないのだし、やっぱり最後まで言った方が良いと思うわ」
「マイシス〜っていう響きがいいのよ」
「そうなのね」
「なんだって。カーラなのか?」
「ええ。そうよ。久しぶりね」
そう遅れてダグディスが反応する。
すると、その言葉を後から拾ったノアの表情が一気に歪む。
「はあ?カーラだと?」
「あんたこそヒューゴなの?」
そんなこんなで、口喧嘩を始めようとする。
この2人は良く口喧嘩をしていた。
喧嘩するほど仲がいい。というし、私は2人は気があっているのだと思っているのだが、何と言ってもタイミングが悪い。きっと彼らは情報屋だ。
これが騎士団長にバレたら大変なことになる。
なんとしてでも穏便に速やかに対応しなくてはならない。
「喧嘩は後でにして。2人はどうしてここに?」
「知っての通り、俺らは情報屋だ」
「マイシスのことだから、影人をつけていたでしょう」
「えぇ」
ほらやっぱり。2人はやっぱり似ているわ。だって、私が影人をつけていたのは、今の2人にはお見通しだもの。
「なんだって?!マルティー、そういうことは前もって言ってくれ。もしも危険な目に遭ったらどうする!」
ダグディスは気づかなかったみたいね。
そう思いながらも、私のことを心配してくれているダグディスに感謝しながら答える。
「えぇ。ごめんなさい」
「マルティーナとダグディスは帝国の騎士だよな。俺らはドワ王国にさっき帝国男からもらった情報を流そうとしていた」
「そうなのね。今まで帝国の情報をドワ王国に売っていたの」
「いいえ。初めてよ」
「急にどこぞの男が声をかけてきて帝国の情報を俺らに持ってきて、俺らがそれをドワ王国に売って金にしようとしていた。だから情報はまだどこにも流していない」
そうなのね。なんとかヒューゴとガーネットは助けられそうね。
そう思いながらも転がっている男性を見遣る。
今ここで、闇魔法で帝国の情報と彼のこれまでの行動を記憶喪失にして、元の生活に戻すこともできる。
でも、どこから情報が流れたのか。
この男性は誰と繋がっているのか知る必要があるわね。
そう思っていると、勘の良い2人はこう言った。
「俺らがこいつに黒幕をはかせてやるさ」
「私たちが、彼をしっかりと見張るわ」
私は、ヒューゴとカーラを信頼している。
任せても良いと思ったけど、私の今世はただの騎士。
多くの帝国民を守る判断を下すには、前世の彼らを信頼しているから。という理由では足りない気がした。
すると、ダグディスはが私に強く頷いた。
「こいつらはお前のためならなんでもするだろうよ。安心して任せろ。頼んだぞ。ヒューゴとカーラ。今世ではノアとガーネット。お前らを信頼しているぞ」
私はダグディスに頼もしさを感じたと同時に、私が死んだ後でも彼らが強い絆を築いてきたことを感じ嬉しさと少しの寂しさを感じ、彼らを見る。
「あぁ。勿論だ。ギリアード伯爵令息。アクランド公爵令嬢」
「えぇ。私の可愛いマイシス〜のためだもの。
「お前ら、知っていたのか」
「勿論よ」
「俺らは帝国に移り住みながら、色々と情報を集めておく。お前らとはいろんな手段で連絡を取ろうと思っているから、気にするな」
「えぇ。わかったわ」
そう答えながら、私は今世での新しい友達を紹介しようと、ずっと側にいながら、空気と化していた彼を紹介する。
「私の友達のフェンよ。よろしくね」
「ん?熊くらいのデカさなのになんで俺ら気づかなかったんだ?」
「大きいわね。というか、マイシス〜はマイペースね」
「ん?なんか神獣っぽくないか?」
「そうね」
私は、フェンは気配を隠すことも得意のようなのね。と友達の長所を見つけて嬉しくなっていたところ、現実に戻される。
「ウィリアムがくるぞ」
そういうと、賢い彼らは次に取る行動がわかっていたように、寝ている男を2人がかりで運んで森の中に隠れていた。
そして、私の賢い友達もミニサイズに変わった。
残されたのは、私とダグディス、小さくなったフェンに黒亜馬だけだった。
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