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8.さよなら私の過去


 シャール様のお屋敷に移ってから私はまるで夢のような時間を過ごしていた。従順でイキイキとした使用人たちは私を大変歓迎してくれ、シャール様といただく夕餉はとても幸せだった。


「そうだ、お前の姉の嫁ぎ先が決まったよ」

 シャール様はステーキを小さく切り分けながら淡々と離してくれた。

「この国のはるか遠くの島領地であるデモンズ公爵閣下の後妻としてだ」

 デモンズ閣下といえば、遠方の領地で暮らす変人公爵として有名だ。しかも、彼の年齢は私たちの3倍ほど。お祖母様と変わらない年代だったはずだ。

「そ、そうですか」

「まあ、3日ともたないだろう」

「へっ?」

「デモンズ公爵が何人の後妻を娶ったと思う?」

「いえ、あまり……」

「今年だけでも4人さ」

 シャール様はニヤリと微笑むと

「俺との婚約を身勝手に破棄した罪は重いというものだ」

 と言った。お姉様は自分の判断で最悪の選択肢を手にしてしまったのだ。大好きだったお姉様が変わってしまったのは両親が死んだ後だった。

「さて、ロゼ」

「はい、シャール様」

「明日から、お前には俺の妻としてさまざまな場面に立ち会ってもらうこととなる」

「はい、わかっております」

「お前の姉はかなり社交界では顔が効くようだったし、マナーや交渉術は目に見張るものがあった。努力しろ」

「わかっていますわ」

「それとも、今からでもお前と姉を交換しようか」

 シャール様は冗談なのか本気なのか、チクリと口角を上げた。

「いいえ」

「冷たい女だな」

「そうでしょうか」

「気に入った」


 ナイフが銀の食器に擦れる音が響いた。私はここでシャール様と生きる。私の家族はもういないけれど、辛い人生にさよならをするのだ。




お読みくださりありがとうございました。

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スカッと、短編、女性向けは勉強中ですのでたくさん反応いただけたら嬉しいです!


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― 新着の感想 ―
[一言] ん~これは~ハッピーエンドで・・・いいのかな?
[一言] 文脈的に敢えて無視したのかもですが。 ナイフが食器に触れて音を立てるのはテーブルマナー違反ですよー。 最後の最後で、上流階級の雰囲気ではなく、下町くらいの下品な印象になっちゃいましたね。 残…
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