ねがいを かなえたくない ながれぼし
冬童話2022投稿作品です。
書いているうちに長くなってしまいました。
三分割しておりますので、休憩しながらお読みいただけましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
ながれぼしに おねがいを さんかい いうと
そのおねがいが かなうといいます。
ひろしくんも そのはなしをしんじて いえのまえで
よるのそらを みあげていました。
きょうは りゅうせいぐんのひ。
たくさんのながれぼしが ながれるので おねがいを
する ぜっこうのチャンスです。
「げんきな あかちゃんが うまれますように……」
するとそらに ひとすじの ひかりが ながれました。
「あっ えっと あ あかちゃんが……」
しかし いいおわらないうちに ひかりは きえて
ひろしくんは がっかりしました。
「ちぇっ」
あしもとをみた ひろしくんは ほしのかたちのいしが
おちているのに きがつきました。
せっかくながれぼしが みえたのに おねがいを
いえなかった くやしさで ひろしくんは そのいしを
けとばしました。
「いてっ!」
「えっ!? いしが しゃべった!?」
あわてて ほしがたのいしを ひろいあげると
いしは ひろしくんに ぷんすか おこりました。
「やいやいやい! ながれぼしの ジョーさまを
けっとばすとは どういうりょうけんだ!」
「ご ごめんなさい! きみ ながれぼしなの?」
ひろしくんの ことばに いしは ふわりとうきあがり
むねをはるように からだをそらしました。
「おうよ! ながれぼしかいの スーパースター!
りゅうせいのジョーとは おれさまのことよ!」
「えっ でも なんでながれぼしが ここにいるの?」
「ながれぼしは ねがいをきいたら かみさまのところに
もっていかねえと いけないんだが きょうは
おれさまに だれもおねがいを しなかったんでな
ひさびさの ちじょうを まんきつしてたところよ!」
ひろしくんは おどろきながらも よろこびました。
「ねえ! そしたら ぼくのおねがい かなえてくれる?」
「やなこった」
「えっ?」
ジョーとなのった ながれぼしは ふんとはなを
ならしました。
「にんげんってやつは どいつもこいつも じぶんで
がんばるまえに おれさまたちに ねがいばっかり
かけやがる! もううんざりだ!」
「そうなんだ……」
ひろしくんは がっかりしました。
でも ジョーのいう ながれぼしの たいへんさも
すこしわかる きがしました。
「じゃあぼくが ジョーのねがいごと かなえてあげる」
「えっ? おまえが?」
「うん! ずっとおねがいごとを かなえてきたんだから
たまには かなえてもらうのも いいとおもう!」
「……おまえ いいやつだな」
「えへへ…… それで おねがいごとは なぁに?」
「そんなこと いわれても かんがえたこと なかったな」
ジョーは うーんと かんがえこみました。
「そしたら ねがいごとが みつかるまで あそぼう!」
「お おう わかったけど なにしてあそぶんだ?」
「うーん…… おにごっこは つかまえられそうにないし
かくれんぼはみつけられないよね」
「そうだな おれさま とべるからな」
ひろしくんも うーんと かんがえこみました。
とべるとなると ブランコも すべりだいも あまり
たのしくなさそうです。
「ぼく ながれぼしと あそんだこと ないからなぁ」
「おれも にんげんと あそぶのは はじめてだ」
「いしでなら あそんだこと あるけど」
「へぇ どんなあそびだ?」
「どこまで いっこのいしを けれるか ちょうせんする
いしけりとか」
「だ だめだ!」
「かわに いしをびゅってなげて たくさんはねさせる
みずきりとか」
「だ だめだ!」
ジョーはじぶんが けられたり なげられたりしたら
たまらないので あわてました。
「ならジョーは なにして あそぶのがすき?」
「うーん とんだり ひかったり いろをかえたりだな」
「ぼく どれも できないや……」
ひろしくんは しょんぼりしました。
そんなひろしくんに ジョーはやさしくいいました。
「そしたら このまちの あんないを してくれよ
おまえの すきなところ いっぱいみせてくれ!」
「うん! じゃあ あした いっしょに おさんぽ
しようね!」
ひろしくんは そういうと ジョーをりょうてに
のせて おうちに はいりました。
読了ありがとうございます。
流れ星界のスーパースター『流星のジョー』。
星三つです!
すみません。言いたかっただけです。
中編もよろしくお願いいたします。