目覚めたら入学式当日
「・・・っ」
窓から差し込む朝日で目を覚ます。こんな小説みたいな目覚め方をするなんて、何かの主人公にでもなった気分だ。ここ最近は夜中に寝て昼近くまで起きないなんてことが当たり前だったからな。アラームも無しに早起きするなんていつぶりだろう。
徐々に意識が覚醒していく中、視界に入るのは寝室の天井。けど、俺の部屋の天井じゃない。
(あれ、昨日確かに自分の部屋で寝たはずなんだけどな。)
昨夜読書をしつつ眠気が襲ってくるのを待っていたことは覚えている。結局本に熱中しすぎて3時は過ぎてたけど。
ひとまず時間を確認するためにスマホを探す。
(あぁ、自分の部屋にあるんだったな。)
スマホのバッテリーが10%を切っても慌てない俺は、大抵充電切れしてから寝ている間に充電している。ここが俺の部屋じゃないことを再認識し、自分の寝相の悪さに驚きながら体を起こす。
すると、目の端に懐かしいものが映ったような気がした。その方向に視線を向けると、新品のランドセルと制服が鎮座していた。
(俺に妹とか弟はいないはずだぞ?隠し子がいるわけないしな。)
起きて早々、まだ上手く働かない頭を必死に回転させていると、足音が聞こえてきて、俺のいる部屋の扉が開かれた。
「あら、一人で起きられたの?偉いじゃない創真。今日から立派な小学生だもんね。」
声の正体は母さんだった。
「え?小学生?」
いきなり何言ってんだこの人は。とうとうボケが始まったのか?それとも馬鹿にしてるのか?
「そうよ。昨日新品のランドセルと一緒に寝るって言って今日の入学式楽しみにしてたじゃない。忘れたの?」
「・・・」
これ何のドッキリだ?ドッキリは小学生のころかけられたことあるからまさかの人生2回目?でも今日入学式だって言ってるから俺はまだ小学生じゃないのか?急展開過ぎて全く追いつかないんだけど。ラノベでも主人公の頭の回転遅いときイライラしてたけどさすがにこの展開をはいそうですかって受け入れられるようなことさすがに無理だろ。
「どうしたの?体調悪いなら今日はお休みにする?」
「いや、大丈夫だよ。顔洗ってくるね。」
とりあえず状況を整理するためにこの場を離れよう。頭がパンクしそうだ。
「そう?ならいいけど」
母さんは特に気にした様子もなく部屋から出ていく。俺は洗面所に行くためにベッドを降りようとする。
そこで初めて体の違和感に気が付いた。ベッドがいつもより高く感じる。改めて部屋を見渡してみても広く感じる。それに、今いる寝室は母さんしか使っていなかったはずだ。俺がこの部屋で寝ていたのは小学校卒業まで。
本能では一つの結論をとっくに出してはいるものの、あまりにも現実味がなさ過ぎてその結論を拒絶してしまう。急いで脱衣所へ向かい、鏡で自分の姿を確認することに。
「マジか・・・」
やっぱりというべきか、ありえないというべきか、色んな感情が頭をよぎる中、鏡には12年前の幼い小学1年生の俺が映っていた。