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01 Prologue
残念ながら、人間というものは平等ではない。
特に巨大な才能を目の当たりにした時、人はそう思うだろう。
自分が何年も努力を積み上げて、やっと到達出来た場所の遥か先に、まだ努力らしい努力をしていない天才がそこにいる。
こんな不平等なことがあるだろうか?
そして、圧倒的な才能を目の当たりにした人間には、容赦なく“二つの選択肢”が突きつけられる。
“追い付き、追い越す努力をする”か────
────“潔く夢を諦める”か。
高校二年生の私に……今、そんな決断が迫られていた。