1.1
ブン、ブァン!ブン、ブァン!ブン、ブァン!
一定のリズムで音が響く俺の降る木刀と妹の降る木刀の音だ
お日様が山から顔を出し俺と妹を照らす。汗が頬を伝い顎から地面に落ちていく、朝日の光で汗は光の玉になり輝きながら地面に消えていく。
「ふぅー
朝の鍛錬はそろそろ終わりにしよう、父さんがそろそろお腹を空かしているはずだ」
顔の汗を拭きながら俺はの妹は後ろ姿にそう告げる、しかし妹から返事がなく
ブァン!ブァン!と大きな音を鳴らしながら深紅の髪を揺らし、木刀を振り続けていた
「おーい、もう終わりにしよう父さんがお腹空かして待ってるはずだよ」
先程よりも大きな声で言ったがそれでも妹は素振りを辞めなかった、どうしよう妹が集中しすぎて声が聞こえてないのかな?そう思い近付こうとした時
ザン!!
頭上から音が聞こえた、何事かと思い見上げると鳥が切られていた、いやよく見ると鋭いクチバシに細い体そして黒い体
落下鳥だ60センチはあるだろう大きな落下鳥だ、この鳥は地上の獲物に向けて落下しながらクチバシを刺しにくる、スゴイ、スピードで落下する為、気付きにくく
毎年多くのケガ人を出している。
でも、おかしいなこの鳥は夜に狩をするはずだから今の時間は居ないはずなのに、疑問に思っていると父さんの声がした。
「リムー、エリンーそろそろ終わりだ
父さん腹減って一人で食べてしまいそうだ」
父さんは赤茶色の髭を弄りながら俺と妹を呼びに来た
「うぉ!
こいつは落下鳥じゃないか、なんで朝に出てるんだ?まぁいいか、よく気付いたなエリン」
「別にこんなの簡単に気付くよ、まぁアイツは気付かなかったみたいだけど」
えーアイツって俺?
確かに気付かなかったけど、最近兄ちゃんって呼んでくれなくなったし会話もしてない。
これが反抗期なのか妹よ、兄は辛いぞ昔の可愛い妹はどこに行ってしまったのか。まぁ今でも可愛いけど、
母さんに似て真紅の髪や目で綺麗だし、顔も整って美人で強い。
さっきの落下鳥への攻撃は全く見えなかった流石は天才として巷で有名になりつつあるし
うん、ウチの妹はナンバーワンだ
それに比べて俺は何もかも普通だけど
誇れる事はある。父さんと同じ赤茶色の髪や目、目には少し真紅が入っていることそして、やっぱり強くて可愛い妹だ。
「ははっ
兄ちゃんに対してアイツはないだろうに
・・・まぁリムも余り気にするな、落下鳥の気配に
気付けるのはAランク冒険者でも難しいんだ。奴らは空から降って来るからな頭上は一番気配を察知し辛い」
父さんの大きなで俺の頭を力強くわしゃわしゃした
俺が落ち込んでいると思ったのか、ふん甘いな我が父よ俺はポジティブだけが取り柄な男だぞ
「父さんもそろそろ言いなよ、アンタには才能ないって冒険者なんてすぐに辞めて農業でもしろって、私より素振りも遅くて、あの程度の気配にも気づけないし私の動きを全然見えてないし、そんなんじゃあ、すぐ死ぬって死にたくないならさっさと身の丈に合った仕事をしな」
おぅ
なんて、どストレートなんだ妹よ、確かに兄いちゃんの素振りはブンに対しエリンはブォン!だから
だがお兄ちゃんには伝わったぞ妹の熱い応援、つまり努力が足りないからもっと努力しろってことだな?わかった兄ちゃん頑張るよ!
「エリン兄ちゃん頑張るよ」
「はっ?頑張らなくいいからさっさと辞めろ」
エリンは俺を睨み低い声でそう言い、家の方に歩いて行った。
「まぁ気にするなお前はまだ14歳だこれからさ、でも一つだけ言わせ貰うと」
「「可愛いは神だ!!」」
俺と父さんは同時に言った
「・・・ふっ流石は俺の息子わかっているじゃないか」
「当たり前だ俺を誰の息子だと思っているんだ、父さんの息子だぞ」
「「ぷっはっはっはっはっはっはっ」」
俺と父さんはしばらく2人で笑い合いながら朝日を眺めた
「ほんとバカじゃないの」
エリンは響く笑い声を聞いて呟いた
「よし帰るか、エリンが先に帰ってしまった。落下鳥は、あまりうまくは無いが、食えない事もない持って帰るか」
・・・・それにしても見事な切り口だな木刀とは思えんやはり・・・
「よし持って帰るぞリムも手伝え」
「おう」
俺と父さんは落下鳥を2人で持ちながらダッシュで家に帰った