同行希望者現る! ~犬飼山志郎登場!~
「この桃印キビ団子贈答セットを一体どこで・・・?」
そんなに珍しい物だったかな?
お爺さんとお婆さんの屋敷には、山積みであったけどなぁ・・・?
そんな風に思っていたけど、この人にとっては違うのかな。
「ボクがお世話になっていたお爺さんとお婆さんの屋敷で貰いましたけど?」
「屋敷・・・お爺さんとお婆さん・・・・っ!?」
突然若者の纏っていた雰囲気が変わった。
「もしや、それは若い頃『浜の黄金カップル』と呼ばれていた二人のことではありませんか?」
「あー そういえば、そんな通り名で呼ばれたこともあるって言ってましたっけ・・・。」
まさか、あんな痛い通り名が本当に知れ渡っているなんてことは無いよね?
ボクだったら恥ずかしいと思うけど、この地方の人たちだと感性が違うのかな。
「そうでしか・・・。
分かりました。
そのようなご事情でしたならば、私も配下にお加えください。
必ずやお役に立って見せましょう。」
「ハイ?」
どうしてそうなるの?
全くの理解不能な出来事が起こると人間反応できなくなるって言うけど、この時のボクが正にソレだった。
目をパチクリさせて、ボー然としているボクへ若者はなおも言葉を続ける。
「失礼。私は犬飼山志郎といいます。
年齢21歳。今は鳴門海峡研究大学の三年生です。
好きな論文は『鳴門の謎に迫るアトランティス的論考』と
『ムーへの入り口と鳴門渦潮』。
血液型はAB。
2月29日生まれの希少種です。
どうぞよろしくお願いします。」
「ハァ・・・?」
爽やかに白い歯を輝かせながら、犬飼山が片手を差し出して来た。
「鳴門・・・お好きなんですね・・・。」
「ええ。
一晩でも二晩でも鳴門愛についてなら語れます。」
キリリっと無駄にカッコ良くポーズをキメる犬飼山青年。
ボクには一発で分かった。
コイツ、駄犬だ。
って。
「それで・・・ どうして急にボクと一緒に行く気になったんですか?」
話題を変えようと思って聞いてみた。
「それは・・・」
犬飼山はスゥっと遠い目をしたかと思うと、知的に見える眼鏡を片手でクィっと持ち上げ直し、三時間ほど語った。
正直、長かった。
長すぎる。
要するに、犬飼山が語ったことを纏めると
1.爺さん婆さんに昔バイト時代の恩がある。
2.もし、桃印贈答品を持った者が助けを求めたら助けてやって欲しいと言われてた。
3.『助けてくれたら、アンタにも良いことがあるかもよ?』
的なことを言われている。
この三点だった。
今北産業さん!
纏め、お疲れ様でした!
めでたしめでたし。
同行者として、駄犬である犬飼山志郎が加わった桃太郎一行。
その行く手には、精強な鬼どもが棲むという『鬼ヶ島』が待ち受けている!
桃太郎一行の運命や如何に!?
次回『最強狒々(ひひ)現るっ!! 桃太郎絶体絶命!!』お楽しみに!
あ。大学や論文名も適当ですから検索したりしないでくださいね?(念のため)
『妹がヤンデレ過ぎて怖い件について』
https://ncode.syosetu.com/n0825fd/
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