結果はドナドナ
「って勝手に主人公を殺すなぁぁぁぁああっ!!」
ゼェゼェと肩で息をしながら、16歳ほどの美少年が巨大な桃から姿を表しました。
「お屋形様っ!! 曲者ですっ!!」
「お二人は後ろへっ!!」
「者どもっ!!
出会えっ!!
出会えーーーっ!!」
メイド美少女のフランソワが二人を後ろへ匿い、執事のジョンが緊急事態を告げるや否や、周囲にはどこからともなく鎧武者姿の侍たちが十重二十重と桃から飛び出して来た少年を取り囲んだ。
「・・・・ぇ。」
既に厳重に包囲され、薙刀や刀を突きつけられ、瞬きさえもが許されないような状況となってしまった。
「さあ、吐け。
どこの手のモンだ?」
「素直に白状すれば、苦しまない方法を約束しましょう・・・。」
「執事さんとメイドさんの二人が、めっちゃ怖いこと言ってるんですけど・・・。」
涙目になりながら、少年は両手を万歳のポーズで固定して、降伏の意思を示した。
「んで? アンタは一体どこから来た何者なんだい?」
お婆さんも蓮っ葉な口調で詰問する。
「なんや、兄ちゃん。
昔ワシが暴れとった頃の仇討ちかなんかかい?」
お爺さんも一体昔何やってたの?
と、疑問とツッコミを入れたいような問いかけしてくるし・・・。
「ボ、ボクは、怪しいものじゃありません!!」
「ほんなら、なーんで桃なんぞに隠れとったんじゃ?
あ? フザケタこと抜かすと、このまま鳴門の渦潮に沈めんぞぉ!
あぁ?」
絶対この人カタギじゃ無いよね、って鋭い眼光と声音で、少年はその場でペタンとへたり込んでしまった。
「それが・・・ ボクにも分かんないんです・・・。
気付いたら、変な物の中に閉じ込められていて・・・。
それで、急に周りが寒くなって震えていたら、今度は光が差してきて・・・。
一緒に刀までボクに斬り付けて来て・・・。
ぁぅ・・・。」
フランソワが片手に構えたままの鮪包丁を見て、思い出したのか、また涙目になっていた。
「フン。そんな言い訳が通用すると思うのか?」
「このお屋敷へ侵入するために、そのような嘘を並べ立てるとは・・・。」
執事もメイドも信じる気配が無い。
ますます拗れる事態と味方が皆無な状況に、少年が追い込まれた時、意外な人物が手を差し伸べてくれた。
「・・・でも、確かにこの坊やの言う通り、桃には小細工の跡が見当たらないさね・・・。」
「婆さんや、こんなどこの誰とも素性の知れない坊主なんぞの言葉に惑わされちゃなんねぇ!!」
呟いた一言に爺さんが反論する。
確かに、この地域一体で一番の億万長者と名高い二人の屋敷へ侵入するなら、通常の手段では不可能だろう。
だからこそ、この様な手の込んだ小細工で侵入したのだろうと尚も疑いは晴れない。
だが、婆さんの指摘通り、小細工の形跡も無い。
すると、あとはこの少年から自白させれば良い。
「オイ、例の部屋へ通せ。」
「ハッ!」
短く応えるとジョンは左右に控える黒服サングラスの若者二人に顎を癪ると、二人は少年をガッシリと捕まえ、地下室へと連行してしまった。
「これで一件落着でございますね。」
フランソワがそう美声を響かせる頃には、侍たちも姿を消し、屋敷に平和が戻った。
めでたし、めでたし。
なかなか先へ進めないのは、きっと作者の文才の無さのせいだと思います・・・Orz
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