『雉』登場! ~ 不安しか残りませんけどぉっ!? ~
気が付くと、ボクはシロと一緒に見知らぬ天井をボンヤリと見つめていた。
「アレ・・・?
ココは・・・・・?」
周囲を見回すと、先程までボクたちが居た煌びやかなお店の中とは違う場所のようだ。
簡素な事務机に折り畳みのパイプイス。
「まったく。だから気を抜くなって注意したのに・・・。」
側にいてくれたサオリさんが、僕に向けて呆れ顔を向ける。
「え? 一体なにが・・・?」
「一杯盛られたのよ。薬よ。薬。」
「へ?」
「いわゆる、ボッタクリバーというヤツと同じ手口でしょうけど、貴方たち二人とも最初の一杯で眠らされていたのよ。」
隣を見ると、僕がソファーの上に、駄犬が床の上に寝転がされていた。
駄犬シロは、幸せそうに口の端から涎と舌を垂らして、ニヘラ笑いを浮かべている。一体どんな夢を見ているというのだろうか?
「サオリさんはどうして・・・?」
彼女も最初の一杯目を空にして見せていたハズなのに?
「私は、最初の一杯目を口に含んだままで、ハンカチを口元へ当てたのよ。」
ズルイ!
そんな方法があったのなら、最初から教えておいて欲しかったのにっ!!
「・・・慣れてるんですね・・・。」
「そうじゃないと、生きて行けなかったのよ・・・。」
愁いを帯びた表情で遠くを見るサオリさん。
横顔まで美しいな・・・。
「ようやく気が付いたか?」
事務所のドアが開くと、首に金色の鎖を巻いた茶髪ロン毛のイケメンホストが入って来た。
「・・・まったく。アタイの連れにまで一杯盛ってんじゃないわよっ!!」
サオリさんが物凄い剣幕でホストへ食ってかかる。
「ソレがココでの流儀だっつーの(笑)」
余裕の人懐っこい笑顔で流すイケメン。
むぅ。やはり男は顔かっ!?
顔が良ければ何をしても許されるのかっ!!
「だからアンタなんか嫌いなのよっ!!」
あれ?
なんか、この二人の間には、昔何かがあったのかな・・・?
短い遣り取りだけど、そんな風に感じられた。
「あ。自分。ココの顔で、源氏名を『ハヤブサ』って言いまっす!
シクヨロぉ~~~~~~っ!」
急にイケメンが僕の方を向いたかと思うと、名刺片手に名乗りだした。
え、シクヨロって何?
業界用語とか、何かかな?
「はぁ、桃太郎と言います・・・。
でもって、そこの床に転がってるのが、駄犬シロです。」
「ププっ 駄犬とか超ウケルーーーーっ!!」
なんだろう、『鬼ヶ島へ鬼退治』へ行くと言うのに、メンバーの『犬=駄犬。猿=美女。雉=イケメンホスト』とかって、構成に超不安しか残らないんですけど・・・(汗)
せめて、『剣士。戦士。賢者。』とかだったら、万全じゃね?
きっと理想は、『盾役(戦士や騎士)・中堅(武闘家や武闘僧侶系)・後衛(魔法職)』かなと。
現実はキビシイと言うことですよね?
 ̄ー ̄)ニヤリ