駄犬(シロ)のせいで話しが進まない件について②
「そないな所で騒いどらんと、ウチとこの店へ入りませんこと?」
「入ります。」
気障ったらしくメガネをクイっと持ち上げて、二人のギャルの肩へ手をまわし、エレベーターへ乗り込もうとする駄犬シロ。
駄目だコイツ。
ギャルの誘いに駄犬が簡単に乗ってしまいそうで困る。
「待てコラっ!!」
一応は止める僕だけども。
ン? 待てよ。
コイツ放置して、僕とサオリさん二人だけで、どこか別の楽園を探した方が良いかな?
そう思いかけた時
「馬鹿犬と言えども、今後の活動を考えたら一応メンバーに入れとかなきゃなんないんだから、勝手な行動は許さないよっ!!」
「キャィーンっ!!」
サオリさんが、どこから都もなく取り出した長いムチでピシャーンっと、駄犬シロのエレベーターに乗り込む寸前の尻を打っていた。
「ハァハァっ・・・。
クっ・・・ まさか、こんな新しい世界の扉をこんな場所で、しかも、猿相手に開くことになろうとは・・・。」
二人のギャルは、サオリさんの剣幕に恐れをなしたのか、シロを見捨ててさっさとエレベーターで移動してしまった。
オイ。
駄犬。
これ以上無駄に言葉を吐くなよ・・・。
駄犬が口を開く度に、話しが進まない上に、無駄に文字数ばかりが増えて行く。
そんな作者の強い思念が憑依したのか、僕は使命感に駆られてサオリさんへ最初の疑問を改めて口にした。
「それで、こんな場所に『雉』は居るのですか?」
サオリさんは、口元を色っろぽくニヤリとすると
「ああ、居るよ。
それも、この雑居ビルの最上階にね。」