姐さんと呼ばれる女性 ~ 桃太郎困惑する ~
モヒ集団がボクたちに群がる中から、ザッと左右に集団が割れて、皮ツナギ姿の若くて美しいライトブラウンの髪が長い女性が登場した。
パッと見でも、ポン、キュッ、ポンなモデルを思わせるナイスバディで、とてもモヒ集団を従えているような怖いお姉さんには見えないほどの美しさだ。
「アンタら、なんの目的でこんな辺鄙なところをウロついてるんだい?」
辺鄙なところって・・・。
ハテ?
過疎化が進み過ぎて、人が離れてしまった限界集落、もしくは、崩壊集落ではなかったのだろうか?
「それを語ることは出来ない・・・。
私たちは、崇高な目的のために我が身を捧げようとしているのだが・・・。
決してその目的を口にすることは・・・・
口にすることは出来ないのだっ!!」
なんか、勝手に駄犬が語りだしてるけど、そんな言い方するってことは、むしろ逆に
「興味持って! 聞いて欲しいんだっ!!」
と言っているようなものじゃないか。
駄目だコイツ。
マジで知的に見えるのは、見た目だけだ!!
「ボクの名前は、桃太郎と言います。
お爺さんとお婆さんの屋敷に住んでいます。
これから、鬼ヶ島へ鬼退治の下見へ行くつもりです。
知らなったとは言え、貴女方の土地を勝手に通過しようとしたなら謝ります。」
こんなところで、モヒ集団なんかに捕まって、時間を無駄にするつもりは無い。
素直に目的を白状してしまえば、見逃してくれるかもしれないしね。
「桃・・・太郎・・・?」
「ええ、僕の今の名前です。
尤も、ここ2年より以前の記憶は失われているんですけどね・・・
・・・ハハハ。」
後ろ手で頭をかきかき照れ笑いをするボクをジーっと真剣な眼差しで美女が見つめて来る。
「な、なんでしょうか・・・?」
あまりにも真剣に見つめて来るから、すっごく気になってしまう。
「お前たちっ。
これからアタイは、コイツと出かけてくるよ。
留守は任せたよ。」
「「「「「へっ!?」」」」」
ボクを含めて、駄犬もモヒ集団までもが、超驚いたのなんのって!?
いや、美女が一緒に居てくれるなら、ボクも嬉しいけど・・・。
それにしたって、何で?