柚子は九年の花盛り
「わあ、きれいな花束、これを先生に?」
「そう」
「ありがとう、でもどうして?」
「彼氏とケンカした先生のために、そなえようと思って」
「供養しないで!」
「この花は、ペチュニア、バーベナ、ラベンダーね」
「ちゃんと食べられる花にしたから」
「さて、どう料理してくれよう」
「でも花束は嬉しいな」
「そう?」
「先生だって、花も恥じらう乙女ですから」
「えーっ」
「そこ、飾る努力をして」
「一緒にされて花が恥じてるから、あやまろ?」
「コノッ、あたら若い命を散らすか」
「ねえ、なんで喧嘩したって知ってたの?」
「お母さんに聞いた」
「噂…は、根も葉もなくても、花を咲かせてるよね?」
「言わずもがな、そこに花も、ましてや仏もないよ」
「先生、桃栗三年柿八年って知ってる?」
「もちろん」
「なら柚子は好き?」
「まあ好きかな」
「これから先生のために”備える”から、花盛りを待っててよね」
「桃栗三年柿八年、柚子は九年の花盛り」と続きます。
柚子の他にも色々なバージョンが存在していますけれどね。