新年記念外伝 ぼーい・めっと・おーが! 【後編】
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私の正体が鬼之助さんに知られてからしばらく経って、私は以前聞かせて頂いた熊の子どもに会わせてほしいと鬼之助さんに頼み込みました。
鬼之助さんは最初、『危険だからやめたほうが良い』といって反対しましたが、私の説得についには折れて、承諾してくれました。
さすがに五時間も誠意をもって話していれば、私の気持ちもよくわかってくださったようです。
そんなわけで、今私は近所の山を登っている所です。
まったく舗装されていない、けもの道がせいぜいという険しい道のりを、うっそうと生い茂る木々やその根を頼りにして、私達は目的地を目指しています。
鬼之助さんは慣れているようでスイスイ登っていきますが、私の場合体が小さいのでついていくのがやっとでした。
体力差はともかく、体格差はいかんともしがたいです……。
……いっそのこと、全部薙ぎ払って……!
そんな危ない思考が頭をもたげ始めた瞬間、目の前に何かが差し出されました。
少し驚きながらもよく見ると、それは大きな掌であり、持ち主の鬼之助さんは心配そうに私を見ていました。
……私は、大丈夫です。
そう言って断ろうとしましたが、なぜか体は勝手に『ありがとうございます』と言葉を発し、私の両手はその無骨ながらも温かくやわらかな手を握っていました。
そのあとも自然を装って手をつなぎ続ける私の体をどうにかしたいと思いつつも何もできずにパニックになり、司令塔がダメになっているのを良い事に体はどんどん暴走していき、最終的には鬼之助さんにおんぶされて山を登っている私という構図が誕生していました。
……いやいやなんでこうなってるんですかでもなんだかあったかいなぁそれにとっても広くてお父様におんぶしてもらった時みたいって違いますっ!!
そろそろ自制しないと『お姫様抱っこしてください』とか口走りそうになるのため必死で自分の中の悪魔をマウントポジションでフルボッコにしていると、自分の体に響いていた定期的な振動がとまった。
そして自分の体をしっかりと支えていた腕の力が緩んだので、目的地に着いたのだと理解する。
少々もったいないと思いながらも鬼之助さんから離れて地面に降り立つと、すぐさま隣のくさむら(私の背丈ほどの高さがあるのでそこに何がいるかは見えない)がガサガサとゆれ、幾分か後に焦げ茶色の毛玉が飛び出してきた。
「――おおっと、元気にしていたかい?」
おそらくこうなることを予測していた鬼之助さんの所へその毛玉――子熊は突っ込んで行き、手を広げて待ち構えていた鬼之助さんに抱きしめられたうらやましい。
ともあれ、この様子からしてこの子が話に出てきた子熊なのだろうと確信し、鬼之助さんに体をこすりつけて甘えているうらやまけしからん子熊をおびえさせないようにゆっくりと鬼之助さんに近付き、話しかける。
「この子が、鬼之助さんの話していた子、ですよね? 私が触っても、大丈夫、ですか……?」
「うん、ゆっくりと優しくしてやれば大丈夫だと思う。一応僕が押さえておくけど、もし暴れ出したらすぐ離れてね?」
そう言うと鬼之助さんはその子の正面を私の方へ向け、自分の体で覆うように抱きしめた。
何が何だかわからない様子で鬼之助さんと私を見比べているうらやましい(いつかこんな風に抱きしめてもらおうと固く誓った)子熊の頭に、私はゆっくりと手を伸ばす――
――その瞬間、先ほどよりも大きな音が、背後のくさむらから響いてきた。
私はそこから感じる気配に驚き、それから何が起こってもいいように姿勢を整える。
しばししてくさむらから出てきたのは、見上げるような大きな姿の、
体高二メートルほどの、熊だった。
「……珍しいな、お母さんまで出てくるなんて」
鬼之助さんはそんなふうにのんきな構え方をしていましたが、私にはとてもそんな真似はできそうにありません。
……だって、こんなに大きいなんて思いませんよ!?
四つん這いの状態ですら私を見下ろせるのですから、立ち上がったりしたらとんでもない大きさになるでしょう。
基本的に『体の大きさ=強さ』となるのがこの世界の常識だと考えれば、このお母さん熊の強さはとんでもない、ということになります。
私は鬼之助さんからもっと詳しく話を聞いておくべきだったと後悔しながら、若干の震えをごまかしつつそのお母さん熊に向かって話しかけようとして、
「こ、こんにっちは! 本日はいいお天気でっすね!?」
思い切り噛んだ。
それも、短いあいさつの中で二度も。
「――ぅう……」
大事なところで失敗してしまった私の頭をなでながら、隣に子熊を連れた鬼之助さんがお母さん熊に向かって言う。
「こんにちは。彼女は僕の友達で、鬼々島 稀輝さんといいます。今日はあなたの息子さんに会いたいと頼まれたので連れてきてしましたが、許してくれますか?」
私の前にさりげなく出てそう言う鬼之助さんの言葉は、表情とは裏腹に少しだけ緊張していたように思えた。
最悪の場合、問答無用で襲われることも考えているのだろう。
しかし、お母さん熊は鬼之助さんを少しだけ見て、それから私をじっと見た後、興味を無くしたように後ろ向きになり、くさむらをかき分けて出てきた場所に戻っていった。
「……ふぅ、どうにか許してもらえたみたいだね。良かった」
そう言いながら額の汗をぬぐう鬼之助さんだったが、私はそれにかまうことなく、
「すいません鬼之助さん。少しあの方と一人でお話してきても良いでしょうか?」
と頼み込んだ。
当たり前だけど、鬼之助さんは驚いた顔をして、
「ダ、ダメだよ稀輝! 今は偶々何もなかったけど、今度も何もない保証はないんだよ!?」
「……わかってます。でも、大丈夫ですよ。ほら、私って鬼ですから、力強いですし!」
「だけど、それでも――」
私の事を心配して食い下がる鬼之助さんに少しだけうれしくなりながらも、私は強気で頼み込む。
「お願いします、行かせてください!! 何かあったらすぐに声を出しますから、だから――!」
そうやって何度も何度も頼むと、鬼之助さんはしぶしぶながらもようやく許可を出してくれた。
「……わかった。でも、何かあったらすぐに僕を呼ぶんだよ? 良いね?」
何度も言い聞かせるように繰り返す鬼之助さんを背中に、私は熊のお母さんを追いかけてくさむらへと飛び込んで行った。
途中何度か見逃しそうになりながらも、音がする方へと歩いていき、そしてくさむらが開けた時、目の前には大きな洞窟の入り口があった。
熊のお母さんはその番をするように丸まって寝ていたので、私もそこへゆっくりと近付きながら声をかける。
「……もしもし、熊のお方。少々、お話を、伺ってもよろしい、でしょうか?」
私がそう言うと、熊のお母さんは片目だけを開けて私の方を見て、すぐにまた目を閉じてしまった。
無視された、というのはすぐにわかったが、それでも私は話を続ける。
「単刀直入に、言わせていただきます。――あなたは、普通の熊ではなく、妖熊ですね?」
その言葉を言った瞬間、空気が変わったのを感じた。
静かで穏やかな空気から、同じく静かだけど、でもぴんと張りつめたような空気に。
私も一瞬反応しそうになって、しかし警戒させてはいけないと自然体を保ち続けた。
「……いかが、ですか? 間違いは、ないはずですけど」
同じく身動き一つ見せなかった熊のお母さんだったが、その実いつでも飛び掛かれるように重心などを移動させているのはなんとなくわかっていた。
しばらくお互いに不動の探り合いが続き、そして不意に終わりを告げた。
『――なんで、わかったんだい? 鬼の娘』
張りつめていた空気がフッと緩むのと同時、熊のお母さんの口元あたりからそんな声が響いてきた。
口を直接動かしてはいないようだが、何せ人と熊では発声方法も違うため、それは参考にできない。
だが、その声が聞こえたのは間違いのないことで、その事実に私は安堵し、言葉を紡ぐ。
「……最初に、おかしいと思ったのは、いくら自然が多いとはいえ、こんな町の近くに熊がいるのか、という点です。そしてその疑いは、鬼之助さんから、『今でも熊の子と遊んでいる』という話を、聞いた時に、はっきりした物になりました。普通、熊の親子が、いるとわかったら、住民の安全を守るために、消防などが動き、大騒ぎになるはずですから」
熊を抱えた鬼之助さんが噂になった以上、熊がいるという話も公になっていなければおかしい。
そう考え、黙って目を閉じているお母さんに、私は話し続けた。
「それに、鬼之助さんが、あなたに出会ってすぐに、近くにいることを許容された、というのも手掛かりの一つでした。いくら子どもの恩人とはいえ、普通の熊が人間に気を許すには、時間が短すぎます。なのでその方は、ある程度高い知能を、持っているのだと、推測しました」
はたから見れば完全に寝ているように見えるだろうが、私が話すごとに耳がぴくぴく動いているので、聞いてはいるのだろう。
「そして、鬼之助さんの行った獣医さんは偶然にも、こちら側の、人間以外の方がやっている、獣医さんでした。そこまでわかれば、後は簡単に『その親子は普通の熊ではない』という推測が立ちます。実際に、その獣医さんにも、確認を取りましたし……」
そこまで聞くと、お母さん熊は口をゆがめ、息を一つはくと、
『なんだ、あたしに確かめるまでも無く知ってたんじゃないか。カマでもかけられたのかと思ってひやひやしたよ』
「……それは、申し訳、ありませんでした」
どうやらいらぬ誤解を与えてしまったようです。反省しなくては。
『……それで、人間の坊やはこのことを知ってるのかい?』
お母さんのその問いに、私は静かに首を横に振ってから、
「いえ、まだ知らせていません。あなたが知らせていないのなら、何かしらの考えがあると思いましたので」
『そうかい』
つぶやくようにそう言った熊のお母さんは、しばし何かを考えるように黙っていましたが、
『あたしたちはただ、ここで穏やかに暮らしていたいだけだ。だから町にも下りて行かないし、森も荒らしまわったりはしない。あくまで自然の摂理の中で納まるように暮らして行っている。……それでも、むやみに騒ぎ立ててあたしたちの暮らしを奪ってしまうやつもいるのさ』
そう言う熊のお母さんの声は、どことなくさみしそうなものでした。
『だから、そういうやつらにあたしたちの事を知られるわけにはいかない。あの人間の坊やはあの子の恩人だ。そこはいくら感謝してもしきれないさ。――だけど、それでもあの子と人間の坊やを天秤にかければ、あたしはあの子を取る。たとえあの子を悲しませることになったとしても、あたしはあの子を守るためなら何でもする』
そのためなら――
『――そのためなら、人間の坊やを傷つけることだって厭わない』
その言葉には強い意志が込められていまいた。
込められた意思はとても固く、たとえ鬼でも砕けないでしょう。
そのことを直感的に理解した私は、率直な言葉として、つぶやきをこぼす。
「……大切に、思っているんですね……」
『当り前さ。子どもを大切に思わない親なんて、そもそも親じゃない。ただの血のつながった他人だよ。……まあ、今のあんたにはまだわからないか……』
「――いえ、私にもよくわかります」
ほぉ、と驚いたように声を漏らしたお母さんに、私は言う。
「確かに、私は子どもを産んだことがありませんから、自分の子どもへの愛情を知りません。……ですが、誰かを大切に思う気持ちはよくわかります。それは、お母さんの子を思う気持ちには負けるのかもしれませんけど、それでも私の中では一番大きな気持ちです」
茶々を入れる事も無く黙って聞いていてくれる彼女にありがたさを感じながら、私は私の心のままに言葉を紡いでいく。
「私は、彼の強さにあこがれています。この気持ちは、まだまだあなたの愛情には敵いませんが、いずれそれ以上の物になると、確信しています」
そう言った途端、熊のお母さんは『はっ!!』とあざけるように笑うと、
『ははは! なんだ、鬼の方がよほどけだものらしいじゃないか。強さこそが正義であり、憧れるのもそこだけ。……じゃあ、強ければ別にあの坊やじゃなくてもよかったんじゃないかい?』
馬鹿にしたように笑う熊のお母さんだったが、私は怒ったりはしない。
むしろこれは、とてもありがたい事だったから。
「――心配していただかなくても、大丈夫ですよ? 私自身、その事についてはもう解決できてますから」
『心配? あたしがあんたの何を心配するって――』
「――私は、」
失礼だとは思いつつも、彼女の声にかぶせる形で言葉を放つ。
「私は、お察しの通り鬼です。それも、かなり純血に近い部類に入ります。だから、大柄で力の強い鬼之助さんの事を気にして、そして好きなのだと自覚した時、私が彼を好きになったのは力の強さに惹かれる鬼だからで、力さえあれば誰でもよかったのではないかと、そう思いもしました」
実際、最初に見た時には彼の事を同族だと思い込み、『今この学校に鬼は自分だけのはずでは?』という疑問も得た物だ。
その後彼が部活をやめてから、当時の生徒会長に確認して彼が人間だと知り大層驚いた。
「そして、実際に彼の持つ物にあこがれもしました」
一緒に活動してみて、彼が今の自分と同じぐらいの力を持っていることはなんとなくわかっていた。
だが、彼はその力を隠すことなく、自然にふるまっていた。
しかも、自分にとっては希少ともいえる、純粋な優しさまで持っているというのだから、
「正直、嫉妬に近い感情も得ました。だって、私達鬼は、常に根っこの方にある獰猛な気持ちを抑えて生きているんですから。私たちに近い力を持っていて、だけど厄介な衝動は持ち合わせていないなんて、利点しかないじゃないですか」
実際には、そんな彼にも大きな悩みは有ったのだが、当時の私はそんなことを知りもしなかった。
「だから、同じ種族だと思っていた頃は同族意識から、彼が人間だと知ってからは純粋な興味の対象として、私は彼の――私では持ちえない優しさを持つあの人のそばにいました」
あくまで自分の知的好奇心による利己的な行動であったため、あの事件にかかわったことで彼を責める気にはならなかった。
だって彼は、その可能性もきちんと示してくれていたのだから。
「でも、あるとき事件があって、私は彼を馬鹿にして傷つけた人に対して、我を忘れて――いえ、鬼を思い出して、飛び掛かってしまいました。自分の中のどす黒い物がどんどん大きくなって、憎しみや怒りにとらわれて、そして暴れることもだんだんと楽しく感じてきてしまって……」
おそらくあのまま行けば、私は鬼としての本能のまま、破壊をまき散らしていただろう。
そしてその後に残るのは、絶望だけだったはずだ。
「でも、あの人はそんな私を止めてくれました。それはいけないことだと、私がそうありたかった私のままでいられるように留めてくれました。私の力を、私の醜さを受け止めた上で、私を見てくれたんです」
ただ感情に任せて暴れるしかなかった私を、私が最も嫌いだった私を知ってもなお、彼は私に対する接し方を変えず、なりたい私でいられるように協力までしてくれた。
「その時、私は心から『この人には敵わない』と実感しました。肉体の力はともかく、心の強さには絶対にかなわないと確信したんです」
もし彼が小柄で病弱だったとしても、私はきっと彼を好きになっていた。
彼の本当の強さは、体の強さではないのだから。
「私を包み込んでくれるような心の強い人が、偶々力も強かった。ただそれだけの事です。私は喧嘩が強いだけの他の人より、あちらであなたのお子さんと遊んでいる鬼之助さんが、大好きです」
いつもならば赤面して言えないことだったが、人生の先輩であるからか、そもそも人間の姿をしていないからか、熊のお母さんに対してはなんの気負いも照れも無くそう言う事が出来た。
だが、当の母親は興味を無くしたようにプイとそっぽを向き、
『――まったく、あんまり暑苦しい事ばかり言うもんじゃないよ。これだから若い奴らは……』
と、呆れたような口調でこぼしてきた。
それを聞いて今更のように頭に血が上りかけたが、それでも何とか抑え、そして笑って言い返す。
「ふふ、お母さんだって、まだまだお若いですよ?」
『あんたみたいな小娘に言われたって嫌味にしか聞こえないさ。大体、ただでさえ身近に若さの塊がいるんだ。それに付き合う身としちゃあ年を感じざるを得ないよ』
「そういう物ですか?」
『そういうもんさ。あんたもあの坊やとの子どもを産んで育てればわかるようになるだろうよ』
いきなりの不意打ちを避けるほどの技量を私は持ち合わせておらず、私は今度こそ顔を真っ赤にしてあわててしまい、熊のお母さんをくつくつ笑わせてしまう結果となった。
それから少しの間彼女と話し、そろそろ戻らないと鬼之助さんに心配をかけてしまうと思った私は、お母さんに一礼をして去ろうとして、一つ言いたいことがあったのを思い出した。
「ああそれと、先ほどのお話の中で一つ、気になったことがあるので、伝えておきます」
『……なんだい?』
「先ほどあなたは、『あの子のためなら鬼之助さんを傷つけることも厭わない』と言いましたけど、それに関しては、私も同じなんです」
『………………』
私の言いたいことが分かったのか黙り込んでしまったお母さんに、それでも私は言い続けることにした。
「あなたにとっての一番は、あの子かもしれませんが、私にとっての一番は鬼之助さんです。だから、もしあなたがあの人を傷つけるというのなら、私も容赦はしません。その時は、鬼々島の一族と――私との戦争になると、そう覚悟しておいてください」
私はなるべく感情を込めないように、淡々と言葉を紡ぎ続ける。
「私はあなたと同じで、彼の為なら何でもできます。――文字通り、鬼になることだって、できるんです」
近くの樹に手を付き、
「愛の為に狂うことができるのは、母親だけの特権ではありません。私だって、本気になれば、あなたに負けたりは、しませんから」
思い切り握りしめる。
たったそれだけのことで一抱えほどもある大樹の一部が抉り取られ、新鮮な木肌を晒す羽目になった。
私は握りつぶした樹の一部だったモノを手を叩いて払い落とすと、改めてお母さんに向かい、
「そこのところを、お気を付け下さい」
言った。
お母さんは私の目をじっと見て、そして笑うように息を一つはくと、
『あたしだって女の端くれだ。同じ女の怖さはよくわかってる。こうなったときの女は何でもできてしまうからタチが悪い。だから今のあんたと事を構えるのはやめておくさ。……たとえ、今の言葉がハッタリだとわかりきっていてもね」
……やっぱり、ばれちゃいますよね……。
さすがに自分のような小娘では腹の探り合いに勝つのは無理らしい。
だがまあ、自分の意思だけは伝えられたことに満足し、今度こそその場を去ろうとすると、
『……また遊びに来な。あの子の遊び相手は多いほうが良いからね』
静かな声でそう言われ、私は思わず振り返ると尋ね返す。
「……良いんですか?」
『良いからそう言ってんだよ。あんたたちはあたしとあの子のためにきりきり遊びに来ればいいのさ』
……素直じゃないなぁ……。
そう思い、なんとなく笑いがこみあげてくるのを我慢して、そして最後にもう一つだけ尋ねることにした。
「前から思ってましたけど、あの子に名前は付けないんですか?」
「付ける意味もなかったからねぇ……。私達は誰かを識別する必要に迫られるほど多くの個体で集団生活をしないし、呼ぶときも『おい』とか『こら』とかですむしね。もちろん私にも名前はないよ」
やっぱり、と思った。
そう言う事情があるのならば仕方ないと思うが、それでもなんだかさみしい事には変わりないので、
「でも、私達と遊ぶときには困りますよ? せめてあの子にだけでも付けてあげた方が――」
『……じゃあ、あの坊やに考えさせな。あの子もあの坊やが考えた名前なら喜ぶだろうさ』
というぶっきらぼうな返事が返ってきて、後は私が何を言っても寝たふりを決め込んでしまった。
私はまた笑いがこみあげてきて、幸せな気持ちのまま鬼之助さんと、後にゆーたと名付けられる子熊の元に戻ると、一つの提案をするのだった。
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『――おい! 誰だこの場に『鬼殺し』なんて持ってきたのは!? 縁起が悪いじゃねぇか!? 仕方ねえから俺が全部一人で処理してやるよ!!』
『てめえただ酒飲みたいだけじゃねえか! 俺にも寄越せ!!』
『うるせぇ! 年寄りは黙って茶でも飲んでろ!!』
『んだとこん若造ぁ!?』
『やんのかコラァ!? 棺桶の用意は良いんだろうなぁ!?』
――おい、鬼由と鬼三太爺さんがまた喧嘩はじめたぞ。
――あきねぇ二人だなぁ……。この間はどっちが勝ったんだっけ?
――確か先週は、爺さんのヘラクレス流星群が決め手じゃなかったっけか……?
――そりゃぁ先月のだろ? 先週は鬼由のウルトラ卍落としが入ってKOだったじゃねえか。
――その前は勢い余ってお嬢の膳に突っ込んで泣かせちまって二人とも土下座してたっけなぁ……。
――それで、今日はどっちが勝つと思う?
――俺は鬼由にこの金平を賭ける。そろそろ爺さんの若作りも限界だろうさ。
――何言ってやがる、鬼三太もこれから脂がのってくる時期だろうが。そんなわけで俺は鬼三太にこの煮魚を賭けるぜ!
――じゃあ俺は……
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座敷から大晦日恒例の喧騒が聞こえてくる中、台所で手伝いをしていた僕は、隣に立っている魅緒さんの大きなため息を聞いた。
「全く、あのバカどもはいつまでたっても懲りないねぇ……。――鬼之助さん、ちょっと悪いけど、届け物を頼まれてはくれないかい?」
魅緒さんのその言葉に、僕は皮を剥いている最中だったかぼちゃ(丸々一個を林檎のようにまわし剥き)をまな板の上に置いてから答える。
「僕は構いませんけど、ここは大丈夫ですか?」
「さっきまで所用で出ていた魑香さんも帰って来たし、大丈夫だよ。――稀輝、あんたも一緒についていってあげなさい」
「……え? 私も……?」
僕の隣で胡桃の殻を(素手で)割っていた稀輝は、驚いたように聞き返した。
「手伝っていただいているとはいえお客様を一人で使いに出せるわけがないだろう? ちょっと歩くことになるけど、神社の見回り警備をやってるうちのモンたちにさしいれ持って行ってやって頂戴」
「……はい、わかりました」
そう言われて、稀輝は戸惑いを隠せないながらも頷いた。
「そう。それじゃあ二人とも外に出られる格好をしてきなさいな。その間に私は差し入れをまとめておくから」
ああそれと、と魅緒さんは続ける。
「あんたたち、クリスマスもこんなことしててまともに過ごせなかったろう? 届け物したら自由に過ごしていいから、ゆっくりデートでもしてきな!」
この人には本当に敵わないと、改めて思い知らされた。
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料理の入った重箱(十段重ねが六個)と、魔法瓶に入った鬼々島家特性甘酒(甘酒ならば神社にもあると思うのだが、何やら秘密があるらしい)十リットルほどを神社の係員控室にいた魋貴さんに手渡した後、僕と稀輝はお参りを済ませ、近所の公園のベンチに並んで座っていた。
本当ならば神社で甘酒をもらって飲んでもよかったのだが、大晦日の今は人が多く、僕たちにとっては安らげる空間にはなりえないため、少し歩いたところにある誰もいない公園で休むことにしたのだ。
「寒くないかい、稀輝?」
「これがあるので、大丈夫です。鬼之助さんこそ、大丈夫ですか?」
「僕は寒いのは平気だから、大丈夫」
淡い色のコートとマフラーを巻いている地味な僕と違い、隣に座って湯気を立ち上らせるカップを抱えている稀輝は桃色を基調にボタンなどの花をあしらった色鮮やかな装いの着物を着ている。
当初は鬼々島の家から僕用の紋付袴(鬼々島家の物なので般若の家紋付き)を貸し出してくれるという案もあったのだが、さすがに他の家の紋を身に着けるのは恐れ多いので遠慮しておいた。
……なぜか魅緒さんは残念そうにしていたけど……。
『既成事実が……』みたいなことをぶつぶつつぶやいていた魅緒さんを一瞬思い出したが、今はどうでもいいことなので頭の隅に追いやって稀輝の方へ目を向ける。
僕の視線の先では、稀輝が両手で抱えたプラスチック製のコップに注がれた甘酒を少しずつ飲んでいる。
冬の夜だけあって吐く息は白く、見ているだけで凍えてしまいそうな光景ではあったが、当の本人の顔色はほんのり朱がさしているので、先ほどの言葉の通り大丈夫ではあるのだろう。
そう考えて少しだけ安心した僕は、先ほど買った缶入りのホットコーヒーを少しだけ飲む。
甘酒も嫌いではないが、深夜の眠気を打ち払うにはコーヒーが適している。
一緒に飲むつもりで陣中見舞いの甘酒を(勝手に)拝借してきた稀輝は少々残念そうにしていたが、眠気に負けて頭が回らない状態で夜道を歩くのはまずい。
僕一人ならまだしも、一緒にいる稀輝だけは無事で帰してあげないといけないからだ。
それが、一応とはいえ大切な一人娘を預けてもらっている僕の務めだと思うから。
「……鬼之助さん、何か難しいことを、考えてますか……?」
と、どうやら無意識のうちに寄っていた眉を目ざとく見つけた稀輝が心配そうな顔で僕を見つめてきた。
別にそこまで重要なことを考えていたわけでも――あるが、稀輝本人に伝えるようなことでもないため表情を元に戻し、
「いや、なんでもないよ。大丈夫」
と返した。
……ホント、なんで稀輝は僕の表情が読めるんだろう……?
自分で鏡を見ても微々たる変化しか発見できない僕の表情を、稀輝は的確に見極めてくる。
それは、稀輝と出会ってから二年程経った今でも慣れないことだ。
もしかしたら彼女はサトリか何かの血を引いているのではないかと考えた事もあるが、魅緒さんと魎太さんに対してあまりにも失礼な考えだったので即刻破棄した記憶もある。
……まあ、嫌ではないけど……。
というか、むしろ口下手な僕としてはとてもありがたい事だ。
なにせ、口に出して言わずとも自分の気持ちをわかってくれるのだから。
……うれしいけど、甘えすぎないようにしないとな……。
今の関係に甘えて驕らないようにしよう、と新年の目標を一つ増やしたところで、
「――鬼之助さん」
と、隣の稀輝から声がかけられた。
「ん? なんだい?」
見ると稀輝は何杯目かわからないが甘酒をカップに注ぎながら、ポツリとこぼすように言う。
「さっきの、お参りの時、鬼之助さんは、何をお願いしましたか?」
そう問いかけてくる稀輝の目は、体が温まったせいか心なしかとろんとしており、今にも眠ってしまいそうだった。
だから僕は、稀輝の眠気を覚ますためにもその問いに答える。
「……とくに、大したことはお願いしてないよ。今年も一年、みんなで健康に楽しく過ごせますように、ってことぐらいかな。大学には推薦で合格したし、何か欲しい物があるわけでもないしね」
ちなみに、ここで言うみんなとは自分の両親と鬼々島家の一同も含まれているのだが、そこまでは言わないでおく。なんだか恥ずかしいし。
「稀輝は、何をお願いしたの?」
そう返されると、稀輝はとろんとした目を少しだけ顰め、それから手元の甘酒を一気にあおってから何かを覚悟したかのように目を引き締めると。
「……私も、鬼之助さんと同じです。鬼々島家の皆と、クラスの皆。それに鬼之助さんの家の方たちの分もお祈りしました」
やっぱり、稀輝は全部わかっていたらしい。
「でも、それだけじゃないんです……」
と、稀輝は続け、
「いつか、鬼之助さんと家庭を持って、元気な子どもを授かれますように、とも、お願いしたんです」
「――――――――!?」
コーヒーをこぼさなかったことを褒めてほしいぐらいだった。
「……ええっと、いきなりどうしたの、稀輝?」
「この間ゆーた君と遊んでいたとき、思ったんです。ああ、こんな元気な子どもがいたらいいなぁ、って」
……そう言えば、最近ゆーたと遊んでいるときの稀輝って、なんだかさみしそうにしていたような……。
「私は、鬼之助さんが好きです。大好きです! 愛してます!!」
「っちょ、稀輝!? いきなり何を……!?」
顔を真っ赤にしながらも僕ににじり寄ってそう叫ぶ稀輝に、僕はたじろぐことしかできなくて、
「だから、鬼之助さんの赤ちゃんを産みたいです! 育てたいです!! 鬼之助さんと一緒に、温かい家庭を作っていきたいです!!」
それでも距離を詰めてくる彼女は、自分の中の思いを全部吐き出すように放ち続け、
「……鬼之助さんは、いやですか……?」
「嫌なわけじゃない」
僕もそれに、反射的に答えてしまった。
「僕も稀輝が大好きだ。いい家庭を作りたいと思うし、子どもだって欲しい」
だって、思いのたけをぶつける稀輝の目はとても切実で、適当なことを言うのは許されないと思ったから。
「……でも、今はまだ駄目だ」
だから僕も、稀輝の目を見つめて、嘘偽りのない言葉を渡す。
「僕はまだ高校生で、バイトはしていてもまとまった収入はない。世間知らずだし、自分のしたことに対する責任能力もまるでない」
おそらく、今のままでも幸せな家庭は築いていけるだろう。
でも、それは無理の上に成り立つ危うい物だ。
「だから、僕がもっとしっかりしたら。その時に稀輝の気持ちが変わっていなかったら。その時に、もう一度同じ質問をしてください」
逃げだと思われても構わない。問題の先送りでしかない事なんてわかってる。
でも、
「――はい! その時にはもう一度、鬼之助さんの気持ちを聞かせていただきます!!」
……稀輝が笑顔になってくれるのなら、それでいい。
僕の言葉を聞いた稀輝は、僕の目を見て微笑みながら、
「でも、私は一人で幸せになりたいわけじゃないんです。鬼之助さんと一緒に幸せになりたいんです」
だから、
「私も一緒に、成長していきたいです。そして、立派になった鬼之助さんにふさわしい私に、なりたいです」
「そう。じゃあ、これからも一緒に、頑張って行こうか」
「――はい!!」
僕の言葉を聞いて満足したのか、稀輝は元のように座り直すと、僕に体を預けてきた。
そうして稀輝は安心したように一つ息を吐くと、おかしそうにクスリと笑う。
「……なにが、面白いんだい?」
僕が尋ねると、稀輝は眠る直前のように安らかな顔で、唇の端をわずかに吊り上げながら、
「いえ、おかしいんじゃなくて、楽しみなんです。私、今のままでも十分幸せなのに――」
――これから、もっともっと、幸せになれるんですね……。
そう言って稀輝は、僕の胸に顔をこすり付けてきた。
その仕草が何だか猫のように見えて、僕はなんとなく頭に手を伸ばして撫でてみた。
「……うみゅぅ」
僕が撫で始めると、稀輝はそんな声をあげながらくすぐったそうに身じろぎ、でもすぐに頭を僕の手に押し付けてきた。
その仕草がかわいかったので、僕もまた撫でてみた。
そんなことを繰り返しているうちに時間が経ち、だんだんと寒さも厳しくなってきたので『帰ろうか』と言うと『ふぁ~い……』という返事をして、稀輝は僕から離れて立ち上がると、ふらふらと二、三歩歩いてから崩れ落ちそうに――
「――って、危ない!! 大丈夫、稀輝!?」
あわてて受け止めると、稀輝は真っ赤な顔で、息も荒くて、
「稀輝、もしかして具合悪かったの!?」
急いで額に手を当ててみると、確かにいつもより熱っぽかった。
これはいけないと急いで戻ろうとして抱き上げた時、一つの事に気が付いた。
……ん? お酒臭い……?
まさかと思いつつも、腕の中にいる稀輝に尋ねてみることにした。
「――稀輝、もしかして酔ってる?」
「よってまひぇんよぅ……。鬼はそう簡単には酔っ払いませんってばぁ!!」
「うん、酔っぱらった鬼の定型句だね。間違いないや。……でも、お酒なんていつ飲んで――」
そう思いながらふと足元を見ると、空になった魔法瓶が転がっていて、
「甘酒で酔った? まさかねぇ……」
アルコール分がほとんど入っていないはずの甘酒で、お酒に強いはずの鬼が酔っ払う訳がないとは思いつつも、そんな疑問をとりあえずは保留にして、稀輝を抱き上げると揺らさないように僕たちは家路についた。
最後はちょっと締まらなかったけど、あたりは寒さに負けないくらい、なんだか心はあったかくて。
新年にふさわしいいい日だなと、僕はそう思った。
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「――リア充共め、爆発しなさい!!」
「……会長何やってるんですかさっさと席について仕事をこなしてください関節という関節を曲げちゃいけない方向に曲げますよ?」
「一息で随分とバイオレンスなことを言い放ったわね!?」
「はいはいそうですね。ほら、手が止まってますよ」
「…………わかったわよ。まったく、なんで大晦日の夜に私達二人だけでこんなことを……」
「会長が一週間前に『忘年会をやりましょう! 全校生徒参加の大イベントとして!!』とか言い出して、いろいろ死に物狂いでイベントの企画・実行を行い、生徒会役員を含めた全校生徒で二時間ほど前まで騒ぎ続け、そして今後片付けと事後処理をこなさなければいけないからですが、何か言い残したことはありますか? ちなみに宿泊許可を取ってきたのも僕ですが」
「とりあえず謝るから、殺気立った目で私を睨み付けるのはやめてちょうだい、雨水君。……じゃあ、堤君とモモと冷子は?」
「堤先輩と明神先輩は、イベントの催し物として会長が『一発芸なんて生ぬるい! 生徒会役員による百発芸、見せてあげなさい!!』っていう無茶振りを見事にこなしたおかげで疲れ切って帰りました。それと副会長はこれまた会長の命によって馬鹿でかい氷のオブジェを十数個作りあげて倒れたので、保健室のベッドで寝ています。なので僕たちは現在二人で事後処理をしていると言う訳ですわかったらさっさと終わらせて僕を解放しろそして明日の朝日が拝めると思うな」
「本当にごめんなさいだからちょくちょく私を射殺すような視線を向けないでください!!」
「……まったく、思いつきで行動するのもほどほどにしてください。フォローする僕たちの身が持ちません」
「それについてはまあ、ごめんなさい……。でも――」
「……でも、なんですか?」
「――今日一日、楽しかったでしょう?」
「……ええ、とても楽しかったです。だから僕達もあまり文句が言えないんですよ……」
「それはよかったわ」
「……さっさと終わらせてください。あと三十分以内に終わらせたら、少しは回復しているであろう副会長と一緒におせちでも買ってきて食べましょう。コンビニならこの時間も開いているでしょうし、それぐらいの校則違反は多めに見てくれますよね、会長?」
「――それは良いわね! そうと決まったら雨水君、じゃんじゃん仕事を持ってきなさい!!」
「そう言うだろうと思って、もう持ってきています。どうぞ」
「……これ、多くない……?」
「そんなことは有りませんよ。会長が本気で頑張れば一時間で終わる程度の量です。ちなみに、今から三十分過ぎても終わらない場合は一分超過ごとにご褒美おせちのグレードが下がっていきます。最終的には先端に栗きんとんのついた爪楊枝を食べて頂きますので」
「それ半分以上食べ物じゃないわよね!? もはや罰ゲームよね!?」
「さあ、早くしないとおいしそうなおせちを食べる僕たちの前で『武士は喰わねど高楊枝』を実践することになりますよ?」
「ああもうわかったわよ全力全開でやればいいんでしょう?! ……ぬおりゃあぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」
「――計画通り……!」
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幸せの形は多々あり、迎える形も様々である。
そして皆、新しい幕開けに希望を託し、歩き続けていく。
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はい、そう言う訳で、スピンオフ作品である『ぼーい・めっと・おーが!』、いかがでしたでしょうか?
コメディーありシリアスありバトルあり砂糖ありと、いろいろな要素を詰め込みすぎた感はありますが、まあ大目に見て頂けるとありがたいです。
とまあいいわけじみたことはさておいて、裏話的な物に行ってみましょう。
まず、このお話の中では、『鬼々島家は鬼の頑丈さを利用したSP派遣会社を経営しており、かなりの実績も上げている』となっております。
彼らの家が大きいのも、鬼である社員を一つ所に集めて管理しやすくするという裏事情があったわけですね。
まあ、その分いろいろとトラブルも起こるのですが、大体は魅緒姐さんが活躍しておさめてしまいます。
姐さん最強!!
また、今回登場した養護教諭の濁音 はく先生も、人間ではありません。
どんな種族かは、出てきてからのお楽しみとさせていただきます。
……まあ、比較的わかりやすいと思いますので、わかった方は感想なりメッセージなりで答えてみてください。
正解でも不正解でも商品は出ませんが。
ちなみに大晦日のお話は、本編の未来です。
なので雨水くんは学校の事情をほぼ完全に知ってますし、そちら側の業務も手馴れてきてます。
慣れないながらも甘ったるい展開を入れてみたつもりですが、そこまででもなかった気がしてくる……。
そして、最後に出てきた鬼々島家特性甘酒ですが、実は酒に強い鬼でも温まれるように本当のお酒も混ぜられてます。
量自体はごく微量ですが、初めて飲んだお酒に稀輝さんは酔ってしまったわけですね。
新年早々鬼々島家は二日酔い地獄になりそうですww
また、未成年の飲酒は法律でかたく禁じられています。
今回のお話では間違えて飲んでしまっていますが、これは物語の中の事であり、本来は絶対にしてはいけないことです。
重ねて、未成年の飲酒は絶対にやめましょう。
さて、これでやっと外伝も終了。
本文のみの述べ文字数ざっと33000文字以上。
しかも最後の2000文字ぐらいは直前に加筆しました。馬鹿ですね、私。
最低限に削ってこれとか、どんだけでしょうね。
何気に生徒会役員の残りも名前だけ出てるし。
こんなグダグダなお話に最後まで付き合っていただき、ありがとうございました。
追申、というかおまけ
鬼々島家において行われた鬼由、鬼三太両名の勝負の行方ですが、『姐さん乱入による両成敗』で引き分けとなりました。
決め技は『大観覧車地獄』で、かけられたおかずは女性陣に持って行かれ、男性陣は少しさみしくなったごちそうをおとなしく食べていたそうです。