癖っ毛な俺
朝、起床。部屋を出て階段をおりる。洗面台の前に立ち、鏡に映る自分の顔。朝の習慣、髪型チェック。
今日も爆発俺の癖っ毛。やりたい放題の無法地帯だ。寝ている間に一体何があったのだろう、そんな疑問が生まれるくらいに暴れまわっている。
ドライヤーで軌道修正。思春期ってやつに入った中学時代からだから、もう3、4年は経っているこの作業。高校入ってからバイトも出来るようになり、稼いだお金でヘアアイロンも購入。使用初日は感動で震え上がった。今までの俺の努力がゴミのようだった。まさにビフォーアフターだった。
うし、いつもの俺が完成。さらさらヘアーの前髪は目にかかるほど、襟足は軽く外にはねさせて、もう非の打ち所がないくらい決まってる。入念なチェックを終えて、学校に向かう。
今日は快晴。雨の予報は出ていなかったしな。癖っ毛に雨は天敵だ、濡れれば戻る俺の髪の毛、待てをかけられた犬が痺れを切らしたように暴れ回る。なんて扱いにくい相棒なのだろう。
昇降口で見かけた女の子…の髪の毛。綺麗に伸ばされた黒髪、俺のまがい物では太刀打ち出来ないナチュラルストレートってやつだろう。
「佐久間、おはよう。」
「あ、町田くん。おはよ。」
俺が恋する女の子。俺が憧れる髪の毛の持ち主だ。別にフェチとかじゃない、でも見れば見るほど羨ましい。それくらい綺麗な髪の毛なんだ。…本人も可愛いしな。
作り物の髪の毛…まるでカツラみたいな言い方だけれどまったく違う。むしろ努力の結晶と言ってもらいたい。そんな髪を持つ俺は、自然体のまま、そのままでいれる彼女が羨ましくて、自分が虚しく感じてしまえて。
とにかく恋する時期なんです、俺は。




