第四話 童帝は教室で厨二病に出会った
扉を開け教室に入ると、そこには今日からともに勉学に励むであろうクラスメイトたちがいた。なぜか覆面をしているもの、本を読んでいるイケメン(爆発しろ)、発光している少女(本当に発光しているとしか言い様がない)。その他にも様々な人たちがいるが、なぜか教室は騒がしかった。みんなが見ている方向を見てみると、そこには厨二病がいた。どういうことかって?銀髪オッドアイで無駄にイケメンないかにもキザって感じの奴がいるんだ。身長はそこまで高くなく中性的な顔立ちであるが、その顔はとても自信に満ち溢れ、無駄に爽やかな笑みを浮かべている。それでもまぁ、ただそこにいるだけなら心の中でイケメン爆発しろと呟いた後にこっそり呪いをかけるだけで終わらせるつもりだったが、あろうことか奴はナンパをしていた。誰を?四葉を。何故だろう、ものすごくイラッとした。目の前でイケメン野郎は無駄に爽やかな笑顔で話をしながら四葉の頭を撫でようとしているが、四葉は迷惑そうにその手を払いのけている。こいつは四葉が嫌がっていることが分からないのか?
「えっと、そのやめてくれませんか?」
「ハハハ、そんなに恥ずかしがんなって。そうだ!!今日の放課後「チェストォォォーーーーー!!!!」ぶふぉう!!」
…しまった、気が付いたらイケメン君にシャイニングウィザードをかましてしまっていた。どうしよう、とりあえず謝っとくか。
「ごめん、気付いたらつい…」
「とりあえず謝るならそこからどきやがれ!!ってギブギブギブ!!」
…おぉ、しまった。今度は逆エビ固めしてたや。
「すまんすまん、ところで大丈夫だったか四葉?変なこととかされてないか?」
「ええっと、大丈夫だったけど流石に不意打ちでシャイニングウィザードはどうかと思うよ…?」
「えっ?なんでそんなに落ち着いてるんですか?」
よかった、もし四葉に何かしてたらこいつにはシャイニングウィザードじゃすまなかっただろうしな。
「よかったぁ、さっきの奴に何かされてなかったか心配で…先に一人で行かせて悪かった、ごめん!!」
「大丈夫だったから気にしなくてもいいよ、それに助けてくれて嬉しかったし///」
「そっか、ありがとう。ところで後半はなんて言ったんだ?よく聞こえなかったんだが…」
「き、気にしなくていいよ!!ところでその子は?もしかして善ちゃんまた…」
少し四葉の声が暗くなる、なぜだろうか?
「ああ、こいつはさっき廊下でであったんだ。教室おなじだったし一緒に来たんだ」
「ああ、そう…」
四葉はホッと胸を撫で下ろした、たまによくわからん行動をするな
「えっと、私の名前は淡雪です。よろしくお願いします!!」
「私は希望ヶ丘 四葉です。…えっと、たぶんさっきみたいな事はこれからもよくあると思うから気にしたら負けですよ」
「…大変ですね」
淡雪は遠い目をしてあらぬ方向を見つめている。おいおい、流石にいつもはしないって
「いやいや、出会い頭に一発はよくあることだけど、流石にシャイニングウィザードはそんなにしないって」
「ちょっと待てキサマァァァァァーー!!いきなり攻撃してきて無視するな!!ってかこれからもこんな事がよくあるなんてふざけるな!!それに最後の逆エビ固めは絶対いらなかっただろ!!」
さっきから五月蝿いな、これでも妥協してるのに…。それにしてもさっきから周りが騒がしいな、「なんて美しいシャイニングウィザードなんだ、奴と組んでプロレス部に入ればマスク・ド・アブノーマル二世の全国は間違いなしだ!!」とか「なるほど、ここで衝撃的な出会いをした二人は、お互いに惹かれあってそして一つになるのね!!腕がなるわ!!ところで、どっちが受けかしら?」とかちょっと聞こえた話だけでもろくな奴がいなさそうだが、なんだかんだで今回も楽しいクラスになりそうだな…ところでそこの黒髪ポニーテールのお嬢さん、そろそろこっちに向けて殺気を放つのやめて欲しいんですけど!!もしかしてあれか?この中二病のファンの子だったのか!?無茶苦茶怖くてちびりそうだわ!!
「貴様らいい加減にしないか!!」
「「いでっ!!」」
言い争いをしているといきなり頭を叩かれた、無茶苦茶痛い!!
「全く、入学早々問題起こすな。面倒だろう?」
「いってー、何すんだよ!!…って、お前は!!」
殴られた頭をさすりながら頭を上げて殴ったであろう人物の方を見て思わず声を上げてしまった。青色の髪の毛はボサボサで手入れなんて全くしている様子はなく、髪と同じ色をした目は死んだ魚の目のようだ。身長は無駄に高く、顔は無駄に整ってるけど色々残念な人間は一人しか知らない。
「なんだチェリーか、そんなこといいからさっさと席に付け」
それはウチの近所に住んでいるお兄さん、かつてはよく一緒に遊んでくれていた浅葱 恋牙だった!!どうしてここにいるんだ!?さっきの口ぶりからして教師だが、このロリコン野郎が高校の教師だって?そんなのありえねぇだろ!!そんなことを考えてるとさっきまで黙ってた厨二病がプルプルと体を怒りに震わせながら声を発した
「てめぇ、俺にこんなことしてただで済むと…」
「お前のお父さんにそのねじ曲がった根性を叩き直すように言われている」
「なっ!?そんなはず…」
「あるんだよなぁ、それが。それでも信じられないなら後で自分の親に聞いとけ、そしてちゃっちゃと席に座れ」
そういって教卓に向かうと、厨二病も渋々自分の席に座った。とりあえず俺も座っておこう、…隣の席に関してはもう言わない、もはやホラーだ。それにしてもあのロリコン野郎が教師か…本当にこのクラス、いや学校は大丈夫なんだろうか?そんなことを思っていると、いきなりロリコン野郎が机をバンッと両手で叩いた。クラス中の奴が注目する中、やつは口を開く。なんだか嫌な予感しかしないんだが…
「今日からお前たちの担任を勤める浅葱 恋牙だ。高校生なんぞには興味はない!!この中に幼女、ショタっ子、合法ロリが親戚にいるやつは後で俺のところに来い、内申点を上げてやる!!写真があると尚良しだ、以上!!」
「「「「「職務乱用ってレベルじゃねえぞこのロリコン野郎!!!!」」」」」
その時、クラスのみんなの心がひとつになった。やっぱりやりやがったよこいつ!!しかもあの頃より進化してやがるよ!!なんだよショタっ子って!?あの時はロリこそ至高、その他は邪道とか言ってたくせに!!
「さて、自己紹介は終わりだ。このあと体育館で入学式が始まる、プリントを配り終わったら体育館に迎え。…それと一ノ瀬、チェリー、次問題起こしたら親に連絡な」
…マジかよ、こいつのせいでとんだとばっちりだよ!!…って、え?今コイツのこと一ノ瀬って言ってたか!?
「ちっ、今回は見逃してやるがこの一ノ瀬 緂舞から逃げられると思うなよ!!」
わーお、こんな捨て台詞言ってる奴始めて見たよ。にしてもたしか一ノ瀬は、貿易会社で成功した家だったっけ。イケメンの上に大金持ちとかマジで爆発しろ!!…それはともかく、プリントも配り終わったみたいだしそろそろ体育館に行くか。放課後が楽しみだなー!!