第十六話 童帝は変身した
久しぶりの主人公登場、取り合えず本編をどうぞ
ここら辺は学校の通学路でもある市街地で、この近くには国道があり人の行き来が激しい。
「確かこの辺だよな……?」
あのあと二人の魔王にぶっ潰された俺は、手紙に書かれた待ち合わせ場所に向かっている。ちなみに今回も一人だ、みんなを危険に晒したくないというのが大半の理由だが、ちょっとだけもしかしたらという期待もある。とはいえ昨日襲ってきた相手になんの装備もなしというわけではなく、ちゃんと小太刀の木刀を持ってきているし、昨日出てきた新しい魔法も覚えた。身体能力強化魔法、肉体能力強化魔法、耐久能力強化魔法は簡単に覚えられたけど、魔力伝導能力強化魔法と魔法陣の固定化方法は覚えるのに時間がかかった、というかまだそんなに出来てない。
「こっちを曲がって……それにしても、人がいないな?」
道を曲がって国道沿いに出てそんなことを思って周りを見れば、不自然なほど人影は一つもない、今思えば昨日もそうだった。一体どうなってやがる、もしかして人払い的な魔法か?ってうおぅ!?
ズシン ズシン
「な、なんだよこれ!?」
大地を揺るがす振動に、思わずよろけてしまう。振動はまるでなにかの足音のように一定の間隔で、さらにこちらに向かってくる。振動はどんどん大きくなり、ついにその振動の正体が目の前に現れる。
「……嘘だろ?」
目の前に現れたのは巨大な石像だった。いや、石像というには語弊がある。3mはあろうその巨躯、灰色をした硬質的なゴツゴツとした肌、人のような四肢を持っているが、腕は地につくほど長く足は短く太い。首はなく頭と肩はつながっていて、目の部分には割れ目がありその隙間から赤い光が漏れている。そしてなにより、ぎこちなくではあるが生き物のように動いているのだ。正しくそれはファンタジー小説に出てくるモンスターの定番、岩石の巨人、ゴーレムだった……
「……ってこれはやばいだろ!?」
ゴーレムを目の前に呆然としていると、いきなりゴーレムがその長く大きな腕を振り上げて、俺を叩き潰そうとしてきた。それを横に飛んで回避すると、俺がいたところは粉砕されていた。
「おいおいおい!!どうなってるんだよこれ!?」
どうしてこうなった、これもあの自称勇者の仕業か!?……いや、でもどちらかというとこれって勇者じゃなくって魔王側だよな?ってことはこれは魔王の仕業?そうなると本当に魔王がいることになるよな?ってまた来る!!
「ちくしょう、こうなりゃやるっきゃない!!」
そうだ、このままだと殺られる、なら殺られる前に殺るしかない!!カバンの底から木刀を取り出し、魔力を解放して魔法陣を展開する。桜色の幾何学模様の魔法陣が足元に現れ、それを踏みつける。
「枷よ解け、我が真価を見よ!!『我が身は風の如く』!!」
対象の素早さを上げる身体能力強化魔法、『我が身は風の如く』。そのより速く動くための魔法を自分にかけ、そのままゴーレムの懐に入る。体が風のように軽く、そして速くなる。
「鎧を纏え、この身は不滅なりや!!『我が体は大地の如く』!!」
大振りなゴーレムの攻撃を軽々と避け、次の魔法を展開する。対象の防御を上げる耐久能力強化魔法、『我が体は大地の如く』。今度は桜色の魔法陣が木刀の先に展開し、先から持ち手まで通って消える。それを確認して次の魔法を展開しようとした時に、今度は薙ぎ払いの攻撃が来た。
「おいおいそれは無いだろ!?」
勢いよくゴーレムの足元に転がり込んでなんとか避ける。こいつの動きは遅いが、そのデカさで思わずひるんでしまい圧倒されてしまう。それに速さで勝ってもこのいかにも頑丈そうな体は、そう簡単に傷ついてくれないだろう。今度は魔法陣を目の前に展開、その魔法陣に向かって両手を突き出す。
「爆ぜろ、思うがままに突き進め!!『我が力は火の如く』!!」
対象の攻撃力を上げる肉体能力強化魔法、『我が力は火の如く』。魔法陣が前からゆっくりこちらに向かって進んでくる、それでは遅いので前に突っ込んで無理やり終わらせる。しかし無理をしたせいか魔力が通常より多く減ってしまった、それでもまだ余裕はあるが……
気がつくと周りが少し暗くなっていた、嫌な予感がして上を見ると、ゴーレムの大きな足が俺を押しつぶさんとしていた。
「てめぇなんかに潰されてたまるかよ!!」
また転がるように避け、すぐに体制を整える。標的のいなくなった場所は、ゴーレムの足によって見るも無残な荒地になった。そこでゴーレムは足が引っかかったのだろうか、体制を崩して尻餅を付いた。するとその衝撃で道路がさらに破壊され、それにより恐ろしい程の振動が俺を襲って立ってはいられなくなった。
「うおおおおお!!どうなってんだよこれ!?」
体を丸め、頭を守る。暫くすると揺れが収まり、少しよろけながら立ち上がる。これ大丈夫かよ?道路とかめちゃくちゃじゃないか……
そんなことを頭の片隅で考えながら、ゴーレムが起き上がる前に攻撃しようと接近する。ひとまず足を木刀で切り裂こうとしてみたが全く効果がなかった、まぁ木刀は切るための物じゃないから当たり前の結果といえばそうだが、傷ひとつ付けられないのは少しショックだった。
「くそっ!!このままじゃジリ貧だ!!」
これで攻撃が聞かないのは痛い、唯一攻撃が効きそうなのはあの頭だが、あそこまで届きそうもない。ゴーレムが上体を起こして拳を上げる、ってやばい!!
「おりゃあぁぁぁぁ!!」
全力で攻撃範囲から離れ、国道に出る。するとゴーレムは体を完全に起こし、こちらに振り向く。その目の光が残光を残し、赤い線ができたそれが俺の未来を告げているようで思わずひるんでしまう。
「!!……こんなんじゃダメだ、俺はこんなところで死んでいい人間じゃないだろ?まだ目標すら達成してないのに、こんなところで朽ちてたまるか!!」
雄叫びをあげゴーレムを睨みつける、すると一瞬ゴーレムが怯んだように見えたが、こちらに向かって歩いてきた。その振動は死へのカウントダウンにも聞こえたが、もう俺は怖くない。
「さあ来い化物!!目にものを見せてやる!!」
ゴーレムが両手を広げて襲いかかってくる、おそらく両手で俺を潰そうとしているらしい。死の抱擁が刻一刻と迫ってくるが、恐怖はない。俺だって何もしていないわけじゃない、今準備しているんだ。
「溢れでろ、我が心は無限の源泉なり!!『我が心は泉の如く!!』
魔法陣が足元に現れて消える、そのあとにもうひとつの工程を始める。やつの射程範囲に入った、よし今だ!!
「おいこっちに誰かいるか!!ってゴーレム!?なんでこっちにいるんだ!?」
ゴーレムの後ろから女の声が聞こえる、その聞いたことがある声の主がゴーレムの足の股の間から見えた。その声の正体は源仙 紗友、俺を呼び出した少女であり昨日俺を殺そうとした張本人である。ゴーレムは彼女の声を聞くと、俺に背を向け勇者の方に向かった。
「マズイ源仙!!逃げろ!!」
そう叫んだが無意味だった、源仙はどこからともなく木刀を取り出し、それを構えている。どうやらあいつは戦う気でいるらしい。さすがに奴であってもゴーレムの攻撃には耐え切れないだろう、俺は昨日のことなんか忘れて彼女のもとへ走った。彼女に巨岩の拳が迫る、その寸前でなんとか彼女に突撃し、頭をぶつけないように保護して地面に激突する。そのまま数メートル転がり壁にぶつかってなんとか止まる。源仙の木刀はどこかへ転がっていき、俺の木刀は近くに転がっている。
「何やってんだお前は!?死にてえのか!!」
「それはこっちのセリフだ馬鹿!!今ので二人共潰れてたらどうしてくれる!?」
すぐに源仙から離れて説教しようとするが、すぐに反論される。確かにそうだがお前だって危ないことしようとしてたじゃないか!!
「まあいいそんなことは後だ!!お前、あいつのこと知っているのか?知ってるんだったら弱点を教えてくれ」
「貴様正気か!?一般人があれに勝てると思ってるのか!!」
「そんなのお前だってそうだろ!!アレを見ろ、あのままじゃお前だってミンチにされてたじゃないか!!」
今ちょうどゴーレムが拳を引き抜いた場所を指差す、そこはコンクリートが剥がれ、地面がむき出しになっている。すると源仙の顔がみるみる青くなる。
「……な、何だあの威力は!?ゴーレムは頑丈さだけが取り柄なはずだろ……って危ない!!」
「くっ、これでどうだ!!」
源仙の叫び声に反応して振り向くと、後ろからゴーレムの拳が迫ってきた。突然の出来事に俺は、咄嗟にさっきまで用意していた魔法を展開する。
「土を肥やせ、『肥えた大地』『固定化』『遅行魔法』!!」
かつて小石を粉々にした魔法を固定化する、すると目の前に現れた魔法陣が現れ盾の代わりとなり、ゴーレムの拳を受け止める。その時魔法陣に蜘蛛の巣状に罅が入り、それを高速で修復するために大量の魔力が流れる。そして後ろに押されながらもなんとか拳を食い止めることに成功した。
「ぶっつけ本番だったがなんとかうまくいったか……」
昨日普通の魔法陣ですら源仙の攻撃を耐えていたから、魔法陣の固定化を使えばきっと防げると思っていたけど、本当に成功してよかったぁぁぁぁ!!
「貴様あんなこと言っておいて何をやっているんだ!!」
「いきなりだったから仕方ないだろ!!それにうまくいったんだし結果オーライだ!!そこ退いてろ、危ないぞ?」
「言われなくてもわかってる……痛っ!?」
「大丈夫か!?」
源仙の足を見てみると、真っ赤に腫れていた。どうやらさっき足を痛めたらしい。源仙はその苦痛に耐えながら、涙目で俺を睨みつけてくる。
「どうしてくれる!!このままだと私は……」
「……ならこうするしかない!!」
「うわっ!?何をする!!」
なにって通称お姫様だっこってやつだ、仕方ないだろう?木刀を拾って源仙抱きかかえながら横に飛び、魔法を解除する。するとさっきまで俺たちがいた場所はゴーレムの拳に潰された。
「頼む源仙、やつの弱点を教えてくれ!!」
「……」
バックステップで奴との間合いをはかりながら移動する、流石に人一人抱えながらの行動はきつい、早くしてくれ。その問に顔を伏せた源仙は、しばらくしたら決心したのかついに口を開いた。
「……正直貴様に任せるのは大変不本意であるが仕方がない。ゴーレムは生まれた大地の性質によってその強さが変化する、おそらくあいつの体はコンクリートだ。生半可な攻撃じゃ傷ひとつ付けられないだろうが、もちろん弱点もある。それは頭の中にある核だ、それ以外に弱点はないはずだ」
「サンキュ、助かったよ。それじゃ行ってくる」
「待て、その武器だけでは危険だ、これを持って行ってくれ。……それと、絶対帰って来い」
そう言って彼女はどこからともなく先ほどの木刀を取り出し、俺に差し出した。俺は彼女を安全なところに置いてそれを受け取り、ゴーレムの方に向かう。
「大丈夫だ、借りたものはちゃんと返す主義だからな」
そう言って源仙から借りた木刀を左右に振って見せると、後ろで源仙が微笑んだ気がした。そのまま後ろを振り向かずに一気に走り出す。やつの右腕は所々ひび割れていた、先程俺の魔法陣を殴った時に発動した魔法が効いたらしい。もちろん狙うはそこだ、源仙の木刀に『我が体は大地の如く』をかけて突き進む。するとゴーレムは頭が悪いのか壊れかけている右腕の方で殴ってきた。俺は軽くその攻撃を避けると同時に罅に木刀で切りつける、するとそこまで深くないけれど、やつの腕にはしっかりと傷が付いた。一体俺は何を恐れていた、こいつはこんなにも脆いじゃないか!!バックステップで一旦距離をとり、体制を整える。やつの右手は先程地面のコンクリートを殴ったせいか少し形が崩れていた。ゴーレムがこちらを向いたので構えると、すぐに向きを変えて源仙の方に向かっていった。
「おいおいなんでそっちに行くんだよ!?」
俺のことなんて眼中に無いのか、見向きもせずに源仙の方へ向かって行った。なんで俺じゃなくて怪我して動けない源仙を狙うんだよ、ふざけんじゃねぇぞ!!魔法を展開して一気に距離を詰める。まず相手の右膝の関節を狙ってバランスを崩し、そのまま地面につこうとしていた右腕を斬る。すると深く傷が付き、そのまま地面に手をついた衝撃のせいかそのまま腕が折れて倒れてしまった。
「大丈夫か源仙!?」
そのままのスピードで源仙に向かって走って駆け寄るが、彼女は苦しげな顔をあげて大声を出してきた。
「ああ助かった、だが油断するな!!」
源仙の叫びとともに、後ろから強大な魔力を感じて振り返った。そこには魔力の反応など全く感じない俺でもわかるほどに強大な魔力を発するゴーレム、その右腕は元に戻っていて、周りの地面が抉れてさらに腕の周りに纏っていく。そしてさらに魔法を使ったのか先程までとは比べ物にならないほどのスピードでこちらに飛びかかってくる。そして禍々しい豪腕がこちらに向かってきて、視界がそれでいっぱいになる。
(あぁ、何か前にもこんなことあったな……)
迫り来る拳を前に浮かんだのは、そんなどうでもいい考えだった。せめて後ろにいる源仙だけでも助けようと両手を広げるが、多分意味はない。それでも最後の悪あがきかいつの間にか魔法陣を目の前に展開して盾にする。そして魔法陣とゴーレムの拳がぶつかる瞬間に思わず目を瞑る、そして大きな音とともに世界が真っ白になる……
「……あれ?俺まだ生きてるのか!?」
いつまで経ってもこない衝撃に恐る恐る目を開くと、そこにはゴーレムの拳を阻むひとつの魔法陣、いやただの魔法陣じゃない、あの時源仙の攻撃から守ってくれた魔法陣だ。だけどこの前のあいつを出すだけでは勝てるはずがない、そんなことを思っていると、直接頭の中に声が響いた。
―手を伸ばして―
全く知らない女性の声、でもどこか懐かしいような声。何故か自然とその声の言うとおりに手を伸ばす、目の前には俺の称号と同じ魔法陣、そしてもう一度攻撃しようと振りかぶるゴーレム。魔法陣に手が届くと、手が魔法陣の中に埋もれていく。ここからでは中は見えないが、不思議な感覚が手を包む。すると手の先に何かがあたっている感触がある。さらに手を伸ばすと、どうやらそれは剣の柄のようだ。
―掴んで、引いて―
それを掴んで、一気に引き抜くと同時にゴーレムの拳が飛んでくる。そしてそのまま手に持ったものを拳に向かって振るうと、幾つもの魔法陣が展開してその攻撃を阻む。その直方体の刀身から桜の花びらのように六角形の魔法陣が舞い散り、それを中心に今まで使ってきた様々な魔法陣が形成された。その刀身は優しい桜色で、刃の部分は燃えるような赤、そして鍔と柄は桜の若葉のような緑色。そのどこか美しい剣は大きく長く、刀身は盾のように幅広い、それはまるで斬るためにあり守るためにある、そんな矛盾を持っているように見えた。
―第一スロットの開放を確認―
先ほどまでの女性の声ではなく、今度は機械的な声が聞こえる。すると魔法陣が足元と頭上に現れ、足元の魔法陣は上昇、頭上の魔法陣は下降して来て全身をおおった。すると今度は服装が変化し、サクランボのような瑞々しい赤色のローブと指ぬきグローブをまとった姿になっていた。
―換装完了、“桜桃矛盾剣”及び“童帝王の王衣”の召喚に成功しました―
これが俺の、いや『童帝』の本来の姿。剣を強く握り締める、するとどこからともなく力が漲る。手を前に出して目の前の魔法陣に魔力を通す、すると魔法が発動し、やつの腕が粉砕した。そしてその衝撃で吹き飛ばされたやつを一瞥して後ろを振り向く。後ろにいる源仙はこの事態についていけないのか呆然としていて、どこか間抜けに見えた。
「取り合えずこれは返しておくぞ!!」
「……えっ?ってわぁ!?」
さっきまで借りていた源仙の木刀を投げて渡すと、慌てて木刀をキャッチした。すると攻めるような目でこっちを睨んできたが、すぐに睨むことをやめてため息をついた。なんでだ?
「全く、そんな隠し球があるなら早く出してくれ、心臓に悪い」
「いやぁ、これさっきわかったところなんだよなぁ」
「……はぁ、まぁいい、それよりもゴーレムだ。奴は頭の核を破壊しない限り再生し、その度に大地の魔力を吸収して強くなると言わなかったか?」
「そこまで詳しく聞いてねぇよ!?何でそれを言わなかったんだよ!?」
「……すまない、言い忘れていたようだ」
「忘れんなよ!?」
そんなうっかりで済まされないようなこと言い忘れるってどういうことだよ!?って言っても今回ほとんど運で生き残ってる俺が言えることじゃないな……
「まぁそれはもういい、それよりやつの頭を狙えばいいんだな?」
「あぁ、もちろんだ。しかし奴は本来の性質と違い防御力だけでなく攻撃力と俊敏性も高い、一筋縄ではいかないぞ?」
「大丈夫、そこは何とかしてみせるさ!!」
「……本当に大丈夫か?」
何かジト目で見てくるけど、今までとのギャップで可愛く見える……じゃなくって!!確かにやつに勝てるという確証はない、だけど他に方法がない限り殺るしかない。
「大丈夫だ、それに言ったろ?借りたものはちゃんと返す主義だって」
「ふっ、そうだったな……だが一人で大丈夫か?私ももう動ける、あんなやつが相手だ、一人より二人のほうがいいだろう?」
源仙はそう言って立ち上がるが、明らかに無理をしている。なにかの魔法を使ったのか見た目は確かに大丈夫そうだが、立ち上がる時にその顔が苦痛で歪んでいた。
「無理すんなって、お前はそこに座ってればいいんだよ」
「無理なんぞしていないってなんだこれは!?」
このままだと無理やりにでも戦闘に参加しそうなので剣をひと振りして、源仙の周りに魔法陣を展開して動けなくさせる。これなら流れだなが来ても大丈夫だろう、俺は彼女に背を向けて今度こそゴーレムを倒すために歩き出した。
「おい待て、私をここから出せ!!」
「そんなに暴れると治るものも治らんぞ?」
目の前では先ほどよりも強化されたゴーレムが立ち上がり、今度こそ潰さんとこちらを睨みつけてくる。その殺気のこもった視線を受け、俺はそれに答えるように両手を開いて口を開く。
「さぁ、今こそ『童帝』桜童 善次郎の晴れ舞台、我が活躍を刮目せよ!!」
やっぱり戦闘シーンは難しい……