第十話 童帝は力を解放した
やっと物語が本格的に進み始めました!!やっぱり戦闘って難しいね!!
それと気が付いたら累計PV11,446アクセス、ユニークは2,832人になってました!!もう感激して涙が止まりません!!
もしよければ、これからもまほてんをよろしくお願いします
今俺は学校が終わって一人で帰っている。四葉に忠告されたが、今のところ特にこれといった被害はない。それでもまだ警戒は解かない、いや、解けない。しばらく歩いているとあの公園にたどり着いた、これもなにかの因果だろうか?今なら人もいないしある程度の広さもある、ここなら大丈夫だろう。
「おい、そろそろ出てきたらどうだ?」
そう言って振り向くと、後ろの曲がり角から誰かが出てきた。スレンダーな体は何か武術をやっているのだろうかしっかりと引き締っており、サラサラで思わず見惚れてしまいそうな黒い髪は後頭部の高い位置で結ばれている。その空のように蒼い目は鋭く、獲物を見つけた猛獣のようだ。うちの学校指定の服を身にまとい、手にはやはり学校指定のカバン、おそらくは彼女も下校途中なのだろう。
「……いつから気づいていた」
「最初から。それで、何のようだよ源仙さん?」
ホントは四葉に予言された時から予想はついていた。なぜか最初にあった時に殺気を飛ばしてきたし、俺の紋章見て驚いてた。そんな時に四葉の予言だ、彼女以外に俺の後をつけてくるような奴なんて思いつかない。
そんな彼女は俺の言葉の何かがカンに障ったようで怒りをあらわにする。手に持っていたカバンはいつの間にか何処かへ消えていた、おそらくはどこかに投げ捨てたのだろう。
「なんのようだと?そんなもの決まっている、村のみんなの、仲間たちの敵だ!!行くぞ魔王!!」
…………えっ?チョットナニイッテルノカワカラナイデス、ハイ。
はっ!ちょっと意識が飛んでた。なるほど、この子は厨二病なんだな、しかもかなり重症の。これはどうしたものか?この設定に乗ってやるか、それとも無視するか。そんなことを考えてるうちに彼女は木刀を手にこちらに向かってきた、正直相手がなんの武術をやっていようと女子の、さらには無手の相手に負けるつもりはさらさらn……って木刀!?
「覚悟!!」
「ちょっ、あぶねぇぇぇぇ!!」
迫り来る木刀を間一髪で避ける。えっ?えっ?いつの間に木刀なんて持ってんだよ!?いやおかしいだろ常識的に考えて!!いくらなんでも武器持った相手に無手とかしぬはわボケが!!ってなんでまた木刀を振り上げてるんですか?殺す気か!?
「ちょっとタンマ!!えっ、どうなってるの?まずなんで木刀持ってんだよ!!それになんで俺を攻撃…」
「問答無用!!」
「うわぁ!!」
間一髪でよけれたけど、なんか地面が抉れてるぅ!?当たったら死ぬって、てかどうやったらそんな力出せんだよ!?
「避けるな馬鹿者!!」
「避けるわバカ!!こんなのくらったら死んでしまうわ!!」
「ならば死ねぃ!!」
くそっ、聞く耳持たねぇか。こうなりゃヤケだ!!何とかしてこいつを無力化する!!
斬る、斬る、斬る。避ける、避ける、避ける。後ろに下がり、横に転がり、相手の間合いに入らないように逃げ回って隙を狙う。一瞬でも気を抜けば終わりだ、手には先ほど奴が地面を砕いた時に飛んできた小石が一つ、こいつで何とかするしかない。
「おらよ、喰らいな!!」
「甘い!!」
魔力を込めて、小石を投擲する。彼女は木刀で小石を弾き返そうとするが、そいつは俺の特別製だ。小石は木刀にぶつかると破裂し、粉塵になる。目に入れば目晦ましになるし、気道に入れば咳き込ませることができる。これがこの16年間頑張って魔法を練習してきた成果だ!!…正直これくらいしかできないけどな。
「なっ!?げほっ、げほっ」
「今だ!!」
この瞬間を見逃さない。俺は素早く彼女にタックルをかまし、そのまま地面に押さえ込む。彼女の木刀はその勢いでくるくると宙を舞った、これで決まりだ。
「さて、なんで俺を襲ってきたのか説明してもらおうか?」
「…悪いがそれは出来ない相談だ」
「なに?」
なんて往生際の悪い奴だ、今の状況がわかってんのか?ここはちょっといたずらの一つや二つしちゃってもいいよな?そんな邪な考えをしていると、彼女は何かをブツブツと言い始めた。どうしたんだ?もしかして頭でも打ってしまったのか?いや、でもそこらへんはちゃんと気を使っt…
気が付いたら体は宙を浮いていた、彼女がどんどん遠ざかってく。あまりに突然で思考が追いつかない、一体何をされたのか考える暇もなく公園の入口前の民家の壁にぶつかって息が止まる。
「げほっ、ごほっ」
なんとか息を吸い込む、一体なんなんだ?俺は確かに彼女を押さえ込んだはず、それなのに体は吹き飛んだ。あの体勢からこんな威力の攻撃ができるはずない、それに油断していたとは言え反撃を受けても対処はできたはずだ。そうなればこの攻撃の正体は…
「…魔法、か」
「さらばだ魔王、これで終わりだ」
彼女が木刀を振り下ろすが体がうまく動かない、これは避けきれないな。迫り来る凶器がスローモーションに見える。あぁごめんな、父さん、母さん、四葉、みんな、そしてオジさん…。目を瞑る、今までのことが走馬灯のように流れる
そのとき、ガキィィンと何かと何かがぶつかる音が鳴った。
「なっ!?」
「えっ?」
閉じていた目を開ける。目の前には木刀を振り下ろしてきた少女、そしてその木刀を途中で阻む優しい桜色の魔法陣。その魔法陣の中心は俺の胸にある紋章と全く同じで、そのことに気がついた瞬間に胸の中になにか温かいものが溢れてきた。
「…そういうことか」
ふらつく体を無理やり起こす、すると足元に先程とは違う幾何学模様の魔法陣が現れた。何となくだけど解る、これが俺の、いや『童帝』の本当の力だってことが。胸の中の温かいもの、この体から溢れんばかりの魔力を足元の魔法陣に流し込むと、桜色の電撃が走る。
「な、なんだその魔法陣は!?そんなもの見たことがないぞ!!」
「…なら、その目によく焼き付けておけ」
足元の魔法陣を思いっきり踏みつける。すると先ほどより魔法陣より漏れる電撃が激しくなり、輝き始める。これが本当の魔法、そう思うと胸が高鳴る。今までにないくらい興奮している。目の前には俺に襲いかかってきた少女、たしか魔王がどうこう言ってたな。ってことはこいつは勇者のつもりか?バカバカしい、だが魔力を使っていた、それならば俺と同じかこの世界の魔法使いか。そうでなくても一般人じゃない、ならば容赦はいらないな。
「さっきのお返しだ、ちょっと痛い目にあってもらうぜ。自称勇者ちゃん」