ぷろろーぐ 魔法使い(笑)はランクアップするようです
はじめまして、折蓋 無料羅 Hです。
未熟者でありますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
俺は今、非常に混乱している。
なぜなら、何故か真っ白な空間で、心地よい浮遊感に包まれているからだ。
何故こんな事になっているんだ!?さっきまで何してたっけ?ええっと…
確か俺は30歳の誕生日の朝に目を覚まし、彼女いない歴=年齢の俺はついに魔法使い(笑)になってしまい、そのショックで日曜日の朝っぱらから家で一人寂しく酒を飲んで、つまみがなくなってしまったから近くのコンビニに行って適当につまめそうな物買って、それで…
「そのときおぬしは少女を庇って死んだのじゃ」
そうだ!!たしかボールを追いかけて道路に飛び出した小さな女の子が居眠り運転のトラックに轢かれそうになったところを俺が庇って、そのときにそのトラックに轢かれて死んだんだっけ、…て今の誰だ!?
「まったく、やっと気付きおったか。とりあえず自己紹介をしておくと、わしは神じゃ!!」
バッと後ろを振り向くと、そこには今痛い発言をした可哀そうなおじいさんがいた。その格好は、白いローブを着て手には蛇の巻きついた杖を持ち、顎に立派な髭を蓄えていかにもゲームとかに出てくる魔法使いみたいな格好をしている。
…てか何だよその格好は!?それは本日をもってめでたく魔法使い(笑)にランクアップしてしまった俺へのあてつけか!?
「そんなわけないじゃろうが!!それに痛いとはなんじゃ!?これでもわしは再生と生命を司る神じゃぞ!!」
うわっ、気持ちわる!!じじいの涙目なんて需要無いんだよ、とっとと失せろ。…て、あれ?さっきから声出してないのに何で会話が成立しているんだ?てか声が出ない、なんで!?それによく見たら俺の体が真っ赤な人魂みたいになってる!?
「それはおぬしが死んで魂だけの存在になってしまったからじゃ、ゆえにおぬしの考えていることがここでは声となってわしにも分かるのじゃ。ところでそろそろわしの話を信じてくれんかのう、そうせねば話が全然進まん」
たしかにそうだな。にしても昔からばあちゃんに悪い事したら死んでから閻魔大王に舌を抜かれるって脅されて育ったけど、まさか死んでからあったのが神様だとは思いもしなかった…、てあれ?今思ったら宗教的におかしくね?うち仏教だったと思うけど、そもそも神様すら信仰してなくね?
「そっ、そんな細かいことは気にするでない…。それよりも今から大切な話をするぞ」
細かいことなのか?まあ、それはさておき、やっぱりあれか?ここは死後の世界ってやつなのか?
「いや、ここはおぬしのように本来死ぬはずの無い者の魂が集まるところじゃ」
え…?本来死ぬはずが無かった?ちょっと待ってくれ、それってどういう意味だよ!?俺まだ30歳で童貞だったんだぞ!?人生まだまだこれからだってのに、童貞を卒業する前に死んで、しかもそれが死ぬはずが無かったなんて、
そんなのあんまりだろ…
「あ、ちなみに本当ならお主は死ぬ間際まで戦車を素手で破壊できるほど元気で、その100年の生涯は童貞を貫いて幕を閉じる予定じゃった」
なにそのチート!?我ながら恐ろしいわ!!てか結局俺は童貞のままいつか童貞を卒業してやるという叶わぬ夢を抱いたまま死んでいたのかよ… くそぅ…
「これこれそう嘆くでない。ここからが重要なんじゃ!!まだ希望はあるぞ!!」
なに?希望はある?ハハハッ、もう死んでいるってのに何言ってんだよ?もしかして美人な女神様でもここに呼んで卒業させてくれるのか?なあ!?
「こ、これ、少し落ち着け。実はじゃのう、あの時死ぬ運命じゃったのはあの少女じゃった。しかしおぬしはその運命を自分の力で変えたのじゃ」
ハッ!そういえばあの子はあの後どうなったんだ?
「安心するがよい、もちろんあの子は助かった。しかしおぬしは寿命が残っておるにもかかわらず死んでしもうた。じゃからおぬしには転生してもらい、残りの寿命分以上生きてもらいたいのじゃ」
な、なに?生き返らせてくれるのか?いや、でも結局俺は生涯童貞って決まっているじゃないか。期待して損しちまったじゃねえか、くそぅ…
「まてまて違うぞ、生き返るのではなく転生じゃ!!それに生まれ変わる世界はおぬしがすごした世界とは違う世界じゃ!!」
違う世界に生まれ変わる?それってつまり…
「そう!!もちろんここで言ったおぬしの未来は適応されんぞ!!」
なに?てことは転生すれば童貞を卒業できるかもしれないっていうことか。…ぅぅぅやっほぉぉぉ~~~い、こうしてはいられない、はやく俺を転生させてくれ!!
「そうあわてるな、まず最初にいくつか注意事項がある。まず最初におぬしには異世界に転生してもらう。そうせねば先ほど言ったとおりの結末になってしまうからのう」
なに!?それだけは嫌だ!!生涯童貞なんて考えただけでもおぞましいわ!!
「まあ、元々もとの世界に生き返らせること自体不可能なんじゃがのう、では二つ目じゃ。これもさっき言った事じゃが、おぬしには最低でも残った寿命70年分は生きてもらわねばならない。そうせねばおぬしの魂は輪廻の輪から外れてしまうからのう」
ほうほう、つまり70歳を超えるまで自殺とかしないで、病気や事故に気をつけろってことか、なにげにハードル高くね?
「そこは大丈夫じゃ、なんたって転生後も元のおぬしの体のスペックと一緒じゃからのう」
結局俺はチートになんのかよ!?てかそんな体逆に怖いわ!!
「そんなに気にするな、そして最後に一つ、おぬしには生き残ってもらうために護身用として称号が与えられることになっておる。称号とはその者の人生によって変わり、その称号にあった力を発揮できるのじゃ」
へえ~、そうなんだ~。…てちょっと待て、それってつまり、俺の称号は…
「そう!!おぬしの称号は『童帝』じゃ!!力のほうは転生してから確認してくれ」
やっぱりかー!!てか予想のはるか上をいったよ!!なんだよ『童帝』って!?字にしてみればかっこいいけど、声に出したら最低だよ!!今すぐ取り消せ、他にも色々あるだろ!!
「そういえば、たしかおぬしは今日が誕生日じゃったのう。喜べ、わしがおぬしに誕生日プレゼントとして魔法をくれてやろう。嬉しいじゃろう?これでおぬしは本物の魔法使い(笑)じゃなW」
さらに追い討ちかけてくんのかよ!?もうやめてくれ、俺のライフはもうゼロだ!!
「では転生させるぞ、おお忘れておったわい。もちろん赤ん坊からの転生じゃぞ。はじめから意識はあるが、まあ頑張るがよい」
は?今こいつ聞き捨てならねえことをさらっと言いやがった。おいまてクソジジイ!!無視してんじゃねえぞ!!
「それでは『童帝』の新たな旅立ちに祝福を!!」
おいまてなんだこの黒い穴は!?どんどん吸い込まれていくぞ!?おいクソジジイ、なに笑ってんだよ!!おい、吸引力上げてんじゃねえぞ!!ちょ、待てっておい!?うぁ、うわああああぁぁぁーーーーー………
「…ふう、せめて次の人生では幸せになるのじゃぞ」