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第2話 辛いときは泣けば良い

ファーーーーーーーーー!!!!

朝、家族の誰とも会わずに家を出ることに成功した!マジすごすぎる俺。ノーベル賞なんて屁でもないかもしれないぞ。いや、そうである!まあ、ところどころで『早くどけ』みたいな視線が俺に突き刺さったのは気にしない気にしない。あの視線は、女のものだった気がするが───気にしたら負け、気にしたら負け。自己暗示だけじゃ物足りなかったようだ。追加で、自己催眠もかけとこう。何もなかった何もなかった。


教室着いた。七峰いた。話しかける。

「お早うございますね」

「ああ、おはよう」

「何かツッコんでくれよ」

「もっと朝早くに言うべきなんじゃないかな」

「違う!『お早うございますね』は朝早くに起きている人に向かって言っていたのがだんだん省略されて、『おはよう』になったっていうのは合ってるんだけど、違う!」

「ええ、答えは何なのさ」

「『お早うござんすね』って返すんだよ」

「へー」

「違~う!『お早うござんすね』って返して、俺が『今じゃねえよ!』ってツッコんで終わるやつだったろ!」

「うんうんはいはい、お早うござんすねお早うござんすね」

こいつ…俺の拳骨一回追加だな。覚えておけよ!

「はいみんな席に座って~」

うるせーな。お前も拳骨食らいたいのか!あ、マイティーチャーだったわ。ごめんなす。


ホームルームが終わった。一時間目は——国語!こ、国語⁉フッ、この石波颯——俺——の得意科目なのだよ。嘘じゃないからね!別に平均点より少し低い国語のテストなんてないからね!よもや、赤点の国語のテストなんて!今までで一度も!生きてきた中で一度も!もしあったとしても、一回だけだから!スランプになってる時だから!


俺は真面目ちゃんだから、授業中に変なことは起こらなかった。寝不足で寝てしまったクラスメイツが教師に怒られるという、面白いものが見れたこと以外は。ちなみに、そいつが寝たの2時間目。ちょっと早くない?


おい待て。弁当持ってき忘れた。終わった。午後の授業は、人の顔がアンパンに見えることだろう。その顔を俺に分け与えてくれ…。七峰から、食料を奪うしかない。待て、恒例の困ったときの足音が聞こえるぞ!

まさか、優しい姉が弁当を届けに来てくれたのか?違いました、不機嫌な姉ちゃんでした。うん知ってた。優しい姉なんて俺の家族にいないってことぐらい常識だもん。当たり前だよね。可愛い妹もいないし…


弁当の中に何か『頑張ってね!』みたいなメッセージが書かれた紙とかは言ってないかなあ。入ってない。うん知ってた。そんな良い姉なんて——この世界に入るかもしれないが——俺の家族にはいないもんな。これ常識。テストに出るとこ。


午後の授業も、追加補給物資のおかげで、凌げたこの俺。あぶねえ、人の頭がアンパンに見えるところだった。もちろん、物理的に。


家着いた。部屋に行こうとした瞬間、俺の中の警報が鳴り響く。キ-ンキ-ンキ-ンって。いや音さが震えてる時の音か!いや、俺の体は震えてる——寒気に怖気づいてるため——からある意味間違っていないかもしれない。

そんな軽口は置いといて、俺の部屋がある2階までに行くのに、リビングの入り口がある。これは難関かもしれないぞ。RPGゲームのやりすぎかな?選択肢が見える。『石波颯は、“リビングの入り口の前を走り抜ける”を選択した!』

うん。何もなかった。俺は何にビクビクしてたんだ…?今、俺の部屋にいるんだぞ。俺の家族、今どこにいるんだよ。

「帰っていたなら何か言いなさいよね」

いた。普通にいた。ちなみに、母か姉か妹、誰がしゃべったかはご想像にお任せします。姉と妹の部屋はそれぞれ、俺と同じ2階。姉と妹の部屋は隣り合ってて、二つの部屋を区切っている壁にはドアがついていて自由に出入れできるようになっている。おのれ、女尊男卑!おのれ、父親!おのれ、己!

「おい、聞いてんのか」

さっきの問題の答えは、不機嫌な———妹でした!俺、一応兄やぞ?そんな強い態度あるか?※絶賛ビビり中

「おい聞いてんのかって!」

「はい聞いてますごめんなさい許して」

クソッ、何たる屈辱!女尊男卑の家庭で生まれてしまって後悔しかない!生まれ変わるときには、親ガチャよりも姉妹兄弟ガチャを引きたい!

「じゃあ、私なんて言った?」

「帰ってきたら金寄越せ」

「は?」

「嘘です冗談ですもう二度としません許してください妹様!」

「あっそ」

帰ってった。猛獣が帰ってった。ふぅ。疲れた。どこが一番疲れてるって、肉体なんだよな。特に下半身やばい。足腰がやばい。もう、足腰が弱いお爺さんみたいになっちゃってるもん。恐怖体験だよ。お化け屋敷よりも怖いからねぇ。でも、実在しない恐怖よりも実在する恐怖のほうが怖いか。なんだ、当たり前のことじゃないか。うん…?待てよ。そもそも、妹に恐怖を覚えてる時点でおかしいんだよな、うん。泣きそうになってきた。もう嫌だ、ゲームしよ。ゲームしか俺の心を癒せない!


ピロンッ!スマホの通知音がなる。誰からだよ…俺のRPGゲーム生活の邪魔をする奴は許さん!まあ、誰かから連絡が来てうれしいという気持ちもなくはないこともない可能性がない。俺みたいな、天才聡明だったらわかるのだろうけど、結局あるってことだ。

【明日委員会あるからな】

おう、七峰!待っていたぜ——俺が妹への恐怖心で震えながらゲームしているときに、良くやった!

【おう、わかった】

図書委員会って図書室にいるだけでいいから人気になるんですね、はい。ちなみに、俺の姉ちゃんは放送委員会に入っています。一緒の委員会にならなくて良かった!来年は、進学していなくなった姉の代わりに妹が来る。悲しいよ。俺の逃げ場は?(泣)


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