僕は選ばれし勇者！（勘違い）

戦闘能力は皆無。しかし、天性のコミュニケーション能力と、人を信じ抜く心を持つ少年アル 。彼はある日、壮大な勘違いから「勇者の剣」を抜いたことになってしまい、里の期待を一身に背負って魔王討伐の旅に出る 。その武器は、父に教わった一つの「型」と、根拠のない自信だけだった。

そんな彼が最初の仲間として見込んだのは、深い森の奥で「魔女」と恐れられる孤独な少女、リナ。彼女は、歴史に名を刻むほどの才能を持つ天才魔導士だったが、過去にその強大すぎる力が引き起こした悲劇から心を固く閉ざし、自らの力を「呪い」と信じて他人を拒絶していた 。

「すごい魔法が使えるなんて、やっぱり君はすごいよ！」

リナがひた隠す過去も知らず、その力を手放しで賞賛するアル。彼の常識外れの純粋さと、「大丈夫、君ならできるさ」という絶対的な信頼は、リナが何十年もかけて築き上げた心の壁を少しずつ溶かしていく 。やがて、二人の前に絶望的な強さを持つ敵が立ちはだかった時、アルの信じる心が、リナが自ら封印していた本当の力を呼び覚ますことになる。

これは、最弱だけど最高の勇者が、心に傷を負った最強の仲間たちと出会い、その「心の支え」となって絆を結び、やがて世界に希望をもたらす物語。