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「おっと」
崩れそうになった体を王さ……お兄様が抱き止めた。
「驚かせてしまったかな?すまないね。それとも刺激が強すぎただろうか」
両方です。お兄様。
「やはり口づけは、唇と唇を合わせたいと思ってしまったものだからね」
俺っ、キスしちゃった〜〜
ヒャーーー!!
初めてのキスがっ
(王さ……お兄さ……王様☆)
プシュウゥゥゥー
「おっと、大丈夫かい?」
大丈夫じゃないです。
「大丈夫……だと思います」
と言うべきだよね。大丈夫じゃなくても。
「良かった」
安堵の息を漏らして、仮面を直した。
あっ、と小さく声を上げてしまった。お兄様の顔、どんなんだったんだろう。
でも見ちゃいけないんだよな。
でも見てみたかったな。
ほんの少し、唇見えただけだったけれど、その唇は形良くて艶かしくて、それだけで誘惑するに十分な色気がある……って。
(俺、なに考えてるんだ!)
と、とにかく!
俺が想像していたよりも若いと思う。それでも十歳くらいは離れているかな?
あくまでも予想だけど。
(それとも、俺が年上の男の人に憧れているのだろうか)
……って!
だからなにをっ。