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今の……
うそ?もしかして?
「おや?反応が薄いね」
チュッ
頬が少しだけひんやりした。
仮面の硬質な唇が触れたんだ。
(ここ……)
これって……
(キスぅー!)
「あぁ、良かった。全く反応していない訳ではないね。頬が赤くなった」
「ひゃう」
当たり前だ。
「けれど、やはり口づけは仮面越しでは物足りないね。……ヒイロ、こちらを見て」
「ひゃい」
頭の中が整理できない。舌が上手く回らないでいる。
「よろしい。いい子だね」
…………………………チュッ
(うそ)
仮面は外さないって、そう……
「王様」
言ったのに。
「お兄様、そう呼びなさいと言っただろう」
端正な唇が動いた。
俺の目の前で動いている。
唇だけしか見えない。ちょっと仮面をずらしただけだから。
でも、この唇がさっき俺の唇に触れて……
(ここ……)
これって………
(ほんもののキス!)
プシュウゥゥゥーー!!




