89
「お兄様からのご褒美だよ♡」
だからっ!語尾の♡?♡なにっ?
今の、今のは~~~
「陛下、ヒイロ様が困惑しておられます」
背後、王剣を預かる兵士さんが声をかけた。
「それに『お兄様』という呼び方も、ヒイロ様が……」
かツン
靴音が響き、王さ...…お兄様が兵士さんを見返った。
「ヒィッ……ななっ、なんでもございません!!国王陛下、ばんざーいッ!!」
どうしたの?
急に万歳?今、そういう話だっけ?
「……次、話に水を差したら殺す」
「ころ?」
声小さくて聞こえなかったんたけど。
「あぁ、何でもないよ。こちらの話だ」
「はぁ」
「そうだ。夕飯はコロッケにしよう。ヒイロもコロッケ好きだろう。もちろん城で食べて行くよね」
「お邪魔でなければ」
「邪魔であるものか!シェフに伝達。晩餐はコロッケだ!キタアカリのコロッケとズワイ蟹のクリームコロッケは必須。後はシェフのお勧めで」
「御意」
扉近くの兵士が敬礼して駆けていく。
お兄様……漆黒のマントを翻して手を掲げ、無駄にカッコいい。コロッケのオーダーなのに。
それにしてもお兄様。よく俺の好きなコロッケの種類知ってたなぁ。
(でも、一番の好物はマルスさんの手作りコロッケなんだけどね♪)