表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/186

86

 至近距離の眼差しに、首筋が赤くなった。

 吹き掛けられた吐息に、耳のひだが震えたような感覚になる。


「可愛い勇者。さぁ、言いなさい」

「……お兄様」

「いい子だ。今度は私の事だけを思って呼べたね」


 どうして?


 ドクン、ドクン


 俺の心臓……


「おや、少し顔が赤いようだが?」


 ドクンドクン


「大丈夫かい」


 手袋越しの体温が左頬を撫でた。


 ドクンッ


 心音が脈打つ。


「大丈夫……」

 ……じゃ全然ないけど、

「……です」

「ならいいが?」

 声はどこか心配そう。

 あたたかな手の平が、俺の頬をさすってくれる。

「それで?」


 王さ...…お兄様って言ったはいいけど。

 どうしよう?


「遠慮はいらないよ。言いなさい」


 ダメだ、言えない。

 お兄様は間違いでしたなんて、言える空気じゃない。


「あの……魔王の灰ですが」

「君との謁見前に、従者から受け取っているよ。厳重な管理下で保管している」


 魔王は灰になった。

 俺は王さ...…お兄様の命に従って一握りの灰を持ち帰ったんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ