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 触れた指先が額に触れて、俺の前髪を掻き分けた。


「どうやって……」

 漆黒の玲瓏を穏やかに細めた。

「伝えればいいのか、言葉になりません」

 さらさらと、髪を指先から零していく。

「伝えたい言葉は山ほどあるのに、その言葉のどれもが私の気持ちを語りきれません。言い尽くせない感謝の思いをお伝えして、ヒイロ様、貴方様を慈しみたいというのに。言葉が宝石であったとしても、貴方様の前では道端に転がる只の石になってしまいます」


 ドキンッ


「ちょ、大袈裟ですよ」


 突然跳ねた鼓動を気づかれまいと慌てて喋ったら声が裏返ってしまった。

 気づかれてないよね?


「大袈裟なんて、全くそのような事はないのです。麗しき小鳥に、私の想いを理解して頂けないのは、もどかしく存じます。一体、どんな言葉をお伝えすれば、適切であるのか私自身にも分かりかねるのですが……」


 形良い唇が小さく吐息した。


「この想いは、トキメキ」



 ………………。

 ………………。

 ………………。



 誰が、誰に?



 風が吹いた。


 バサッ


 背中のコウモリの羽が風に抗って、大きく羽ばたく。


 ここは、街の上

 大空の中



 俺と執事さん……

 ふたりぼっち……



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