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 王様がチッなんて舌打ちする筈ないんだ。


「手入れが行き届いている。私の剣を大切に使ってくれたのだね」

「当然です」

 お借りした物なのだから。

「王様」

「なんだい?」

「私の剣って?」

 王国の剣を差し出すなのだから、王様が「私の剣」と言っても何ら構わないのだが、それだけじゃない気がした。

「あぁ、その事なら……」

 にこやかに王様が頷いた。

「昔、冒険者をしていてね」

「王様が!?」

「私だって生まれて王様だった訳ではないよ。諸国見聞の旅をしたんだ」


 あ……

 王様……いや、当時は王子様か。将来のために各国の世情を知るのは大切だ。


「王都や帝都を訪れたり、農村地を見たり、村の人とも話した。民族衣装を着せてもらった事もあるよ」

「民族衣装!?」

「おやおや。王様はいつもいかつい格好をして、眉間に皺を寄せていないといけないのかな?」

「そんな訳じゃっ。俺も王様の民族衣装見たかったなぁって」

「なら、今度私と一緒に行こう。そうすれば見られるよ」


 俺が王様と一緒に旅!?


「でも公務が」

「左様でございます!陛下におかれましては、我が国の公務を優先して頂かねば」


 クルリ。

 声がした方向。

 王剣を預かる兵士さんを王様は見返した。


「………………は?」




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