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Ⅱ章 勇者死刑 61


「もう。王様を待たせる訳にはいきませんから行きますよ」

 勇者が侍従を促すって、どういう構図だ。

「それに……」

 えっと……

(そういえば)

「あれ?」


 いない。

 また消えた。


「名前聞くの忘れた!」


 なんて事だ。

 侍従さん、お見合い写真の整理までしてくれたというのに。


「お気になさらず。よくある事です。次に会った時にでも聞いてみて下さい」


 影が薄いって、こういう事なんだ。

 よくある事なんだ……


「ところで」

「はい」

 ……と答えて、ん?となった。


(どうしてゼフィルさんのいる方向と反対側から声が聞こえたんだ?)


「勇者様、ここにサインをお願い致します」

「分かりました」


 ………………って。


「ウワー!」


 侍従さん、いつの間に背後に☆


「はい、ここです」

「〜〜ヒイロ」


 力の抜けた筆跡で、とりあえずサインした。


「やっぱり王様との謁見に必要な書類か何かですか」

「いいえ、そうではありません」

「では、王宮に宿泊するための?」

 この時間から考えると、旅立ち前に使っていた王宮内の俺の部屋に泊まる事になるのかなあ。と思っている。

「それも違います」

「じゃあ?」


 何だろう?


 王宮の部屋には泊まれると思うのだけど。まさか謁見が終わったら王宮から勇者をポイ捨てするほど、王様も薄情ではあるまい。


 うーん。

 ……だめだ、全く分からない。


「これはご結婚のための予備書類です」

「結婚?誰の?」

「もちろん、勇者様です」

「ヒャア!」

「貴族のご令息とのご結婚には、様々な煩雑な手続きが必要なのですが、この書類一つで簡潔に済みます」

「俺、結婚しませーん!!」

「しかし……」


 不意に、侍従さんが神妙な面持ちで視線を落とした。


「この書類にサインした者がご婚姻を拒まれると、死刑になります」



 ギャアァァアアアア〜〜〜!!



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