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また瞬間移動した☆
否。
彼にとっては普通の移動なのだが。
影の薄さ恐ろしや。
「勇者様。お見合い写真の整理整頓、完了しました」
「こんな短時間に?すごいです。ありがとうございます」
床に散らばったお見合い写真が、取りやすいよう本立てを使って、テーブルにきれいに立てかけられている。
「ついでに袋とじも全部切っておきましたので、後でご覧下さい」
「……あ、ありがとうございます」
貴族のチソコ……見なきゃいけないんだ。うぅ。
「とまあ、影は薄いですが仕事は大いにできますので。私が侍従に人事移動になった時、暫くして引っ張ってきました」
暫くして……なんだ。
たぶんその「暫く」の間、忘れてたんだろうな。影の薄さで。
「という事は……」
えぇっ、もしかして☆
「諜報員だったんですか?」
「侍従長の補佐をしていました」
「そうだったんですか」
ゼフィルさんは、俺が城を旅立ってから侍従長に就任したから。
「では、初めまして……ですね」
「それが〜」
おや?どうしたんだろう?
言いにくそうに、少し眉をひそめてしまった。
「何でも言って下さい。初対面だからって遠慮しないで下さいね」
俺は勇者だ。
困っている事があれば、力になりたい。