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「待って下さい!」

「我が君主(きみ)との謁見前に、お見合いの手筈を進めたいので余り時間はありませんが、ヒイロ様たっての望みとあれば、多少は待ちます」

「では待って下さい」

「かしこまりました。ご用件は?」

「会ったら断っていいんですよね」

「もちろん。ヒイロ様のご判断でお断り下さい」

「じゃあ、身を固めるってどういう事ですか」

 これではまるで、この山ほどのお見合い相手の中から、結婚相手を探せと言われているようなものだ。


 何度も繰り返すが。

(大事なことなので二回言います)


 俺は受け様じゃない。

 俺は受け様じゃない。


「では逆にヒイロ様に聞きます。あなたはこの山ほどの求婚者を全員、お断りするつもりですか?」

「うっ」

「それこそ、そんな冷やかしは国際問題に発展しますよ」

「でも」

「おやおや。勇者様は平和を壊すおつもりで?」

「うぅっ」

「魔王を討伐した勇者様自ら、世界平和をお壊しになるとは……」

「そんなつもりじゃ」

「平和が続くか、騒乱の世に巻き戻るか……勇者様のお心一つで決まるのですよ」

「大袈裟な」

「大袈裟ではありません。万一、貴族が結託すれば国の内乱。引いては世界戦争が勃発します。戦争とは何気ない小さな火種が連鎖して、思わぬ必然へ向かうものなのです。これは歴史が証明しています」


 歴史にifはない。


「ひとたび決壊した流れは濁流となり、そうなってしまったら誰にももう止められません」

「俺が結婚を断ったら火種に?」

「なるとは言いません。が、可能性はゼロではありません」


 ハラリと落ちた前髪をかき上げ、ゼフィルさんは小さく吐息した。


「とまぁ、御託を並べましたが。単純明快です」

「単純明快?」

 国力と貴族の力関係が複雑に入り組んだ、この話が?


 はい。と彼は艷やかに微笑んだ。



「要はヒイロ様がメス堕ちしてしまう、ご立派なイチモツをお持ちの貴族様と結婚してしまえばいいのですよ」



 ギャアァァアアー!!




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