45
45
なぜに受け様?
俺の受け様疑惑は疑惑だと証明されたのではないのか?
噂の元凶は、イケメンストーカー
良くも悪くも不運にも、顔立ちよろしいイケメンがストーカーだったせいで、俺は受け様疑惑をかけられた。
あくまでも疑惑なのだ。
(ワンナイトしてない!)
ゆえに俺は受け様じゃない!
であるにも関わらず……
「なんでそうなるんですかっ」
「ここまで噂が独り歩きしてしまった以上、今更間違いだったと触れ回るのは難しいのです。貴族の方々の耳にまで、届いているのですから」
「けれど噂ですよ」
「貴族とは得てして、自尊心がとても高いのです。お家を継ぐ良家のご子息が求婚しておりますので、彼らに恥をかかせる事は貴族達を敵に回す行為にほかなりません」
「でも!」
「勇者様」
神妙な面持ちで碧眼が見据える。
「この数ですよ」
「うっ」
天井に届かんばかりに積み上げられた、お見合い写真!
お見合い写真!
お見合い写真!
「勇者様は国内外、ここに集った全貴族を敵に回すおつもりで?」
「うぅ〜」
「それとも彼らを全て、一族郎党まで根絶やしにしますか?」
クク……と乾いた笑いが喉の奥を鳴らした。
仄暗く碧眼が光った。
「簡単な事ですよ。全員殺せば勇者様は晴れて自由の身です」
「とんでもない!そんな事はできません」
「できないのならお見合いして下さい」
「……」
「お返事は?」
「……分かりました」
元々お見合いの件は飲んだんだし。適当な理由を付けて、会った後断ればいい。
「ものわかりの良い勇者様で助かります。これを機会に身を固めて下さいね」
「なっ!」
なんでそうなるんだァーッ