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 常勝の剣技

「『塵芥』と名付けたのは、お前だったな」

 黒刃の大剣がきらめいた。

「これしきの剣技に名など必要ないが、せっかくの名付けだ。使わせて貰っているぞ」

 鞘へ納刀する一瞬、風が駆けた。



 今まで俺が喋ってたのは、王国騎士団長・シュヴァルツ


 シュヴァルツこそ、勇者として旅立つまで剣を教えて俺を育ててくれた人。



「わっ」

 トスンッ


 重力に導かれて落下する。そのまま腕の中へ。

 琥珀色の瞳が見下ろしている。


 ここは……

 この体勢は……


(お姫様抱っこだァー!)


 健康的に日に焼けた腕の中は、お日様の匂いがした。

 剣を収めた彼が、俺を腕に抱いている。


 気が回らなかったとはいえ、何と失礼な事を!

 そして失礼は現在進行形で続いている。


「……」

「……」


 き、気まずい……

 守護の大剣にお姫様抱っこをさせてしまっている、この状況……


「……」

「……」

「……ごめんなさい」

「重くないから大丈夫だ」

「……」

「……」


 間がもたない。


「……」

「マッドパペットに気づかずすみません!」

 剣技の師にして鬼教官。注意を怠ったと叱られる。

「ヒイロ」

 ……そう思ったのだが。

「城内での勇者様の身辺警護の責任者は、貴殿だと聞いている。この体たらくは何事だ」

 言葉は俺に向けたものではなかった。

 冷たい眼差しが背後を刺した。


「申し訳ございませんっ!」




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