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 奪われてなんかいない。

 寧ろ与えられている。


 執事さんの肩の上。

 俺だけの場所。

 今だけ俺専用。


「今だけでなく、ずっとこれからも……」


 えっ?


「ヒイロ様のおそばに居られたらと願っております」


(心を読まれたのかと思った)

 ビックリしたのは偶然で、でも。

(これからも一緒にいられたら、ここは俺専用の場所になるのかな?)

 これからも、ずっと。


「ねぇ、執事さん」

「如何なさいましたか」

 伝えていいかな?

 少し傾いだ瞳が映す。柔らかな夕日の色が浮かんでいた。

「俺も、あっという間でした」

 俺の髪にあてられていた指先が一瞬、ピクリと動いた。

「嬉しいです」

 穏やかな微笑みが瞳の漆黒に溶けた。


 唇がゆっくり開いて、何かを伝えようとした瞬間。


 馬車の車輪が声をかき消した。


「お迎えの時間ですね」


 白馬の馬車が止まった。


 二頭だての馬車は天井が取り払われたオープンカーのような造りになっている。


「いってらっしゃいませ、勇者様」

「はい」


 ……でも、執事さん。


「また会えますよね?」

「もちろんでございます」

 フフ、と……

「私は勇者様の専属バトラーでございます」

 闇色の玲瓏に微笑みをたたえた。

「……と同時に、麗しき小鳥。貴方様の伴侶の座を譲る気はございませんよ」


 そうだった!キャー☆



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