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心臓は動いてる。
トクントクン
左胸が脈打っている。体温もある。暖かい。
(だから俺は死んでいない)
生きている筈。
……筈なんだけど〜
「フフフ」
なぜ執事さんは何も言ってくれないんだ?
言ってくれないと不安だ。
「生きてるんですよね?」
すーはー
すーはー
呼吸だって、ちゃんとできているから死んではいない筈。
しかし実のところ、死んで生き返った事がないから今一不安だ。
すーはー
息してるんだけど。
すーはー
すっ!
「うきゃー」
呼吸が悲鳴に取って代わる。
なんでっ?
ぎゅむ!
逞しい両腕に閉じ込められている。
「また心拍数が上がりましたね」
「だって」
突然抱きしめられて、ドキドキしない方が変だ。
「それは私のせいでしょうか?」
だって……の続きが言えない。見上げたら美形が触れてしまえるほど間近にある。俺の心臓、絶対、超新星爆発起こす。
「答えて頂けませんか?」
「それは……俺が生きてるかどうか答えてくれたら答えます」
「なるほど、そうきましたか」
いいぞ、俺。初めて優位に立った。
「そうです!答えて下さい。俺がにゃんと生きてるか〜……」
……って、どうして!
なんで大事な時に、ここぞというタイミングで噛んじゃうんだ〜♠
「フフ、はい。では、お答え致しますね」
執事さんに笑われてしまった……
「但し、大きな声でのお伝えははばかられますので、このまま失礼致します」
ぎゅ
体と体が密着する。
どうしよう。
超新星爆発起こしそう。