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「……ふへ?」
今なんつった?執事さん。
「おや?先程、目を開けて気絶なされていた際『結婚』と仰っていらしたのですが?」
「そそそ、それはー」
何となく覚えている。
短い半生を振り返った走馬灯の中で、確か〜
「結婚に憧れたとか何かの話であって、結婚したいとかじゃなくって〜」
「主様のお望みを全力でお支えするのが、私の務めでございます」
「それはつまり、執事さんとしての〜」
「はい。執事という名の伴侶の使命です」
伴侶の割合が大きくなったー!
「王都に戻りましたら早速、式の準備を致しましょう」
「式……って〜」
「もちろん、主様と私の結婚式でございますよ」
「挙げるのー!?」
「はい、王都の皆様に祝福して頂き幸せになりましょう♥」
幸せな結婚の段取り組まれてるー!
「ヒイロ様。世界中の誰もが羨む夫婦となり、幸せの絶頂を二人で極めましょうね」
「で、でもね、俺ね。まだ冒険の旅を続けたいかな〜?……て」
「はい、お供致します」
そう来るか?
「新婚旅行が冒険の旅か」
「フフ……そうですね。主様も乗り気で嬉しゅうございます」
しまった!いらん事言ったー!
「そういう意味じゃなくってー」
「如何なる危険が待ち受けていたとしても、私さえいれば大丈夫です。いつでも蘇生できますからね」
「それはアンデット!」
蘇生じゃない。
………
………
………
ハ☆
「そういえば、さっき」
生きたまま、反魂の秘匿魔術かけられそうになったけど。
「俺、大丈夫だよね?ちゃんと生きてるよね?ゾンビじゃないよね?」
「………………」
なぜ無言になるんだ?
「フフ」
なに?なに?その意味深な微笑みはー!
何とか言ってくれ、執事さんー!